1977 年 30 巻 7 号 p. 471-478
グラム陰性菌尿路感染症のうち, 尿流障害を伴なうものおよび変形菌, 緑膿菌による尿路感染症は, 難治のものが多く, 経口剤投与による難治性・慢性尿路感染症の治療には困難な面が多い。したがつて, 変形菌, 緑膿菌等を含む抗菌スペクトラムをもっ内服抗菌剤の開発が待たれていた。今回我々が大日本製薬株式会社から供与をうけたPipemidic acid (PPA) は, Piromidic acid (PA) の誘導体であり, 経口投与後の吸収, 尿中排泄がよく, 主としてグラム陰性菌に有効であり, 緑膿菌, 変形菌およびPA, Nalidixic acid (NA) 耐性菌にも有効であるといわれている1, 2)。今回我々は, 27例の尿路感染症の患者に本剤を投与し, 治療経験を得たので, その成績を報告する。