The Japanese Journal of Antibiotics
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Pepleomycin (NK-631) の生体内動態について
藤田 浩島田 徹小川 カツイ木村 禧代二
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1978 年 31 巻 11 号 p. 664-671

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抄録

Bleomycinの制癌性を高めるため, 種々の剤形が工夫, 考案され, 油性ブレオ, 固型ブレオ, ファットエマルジョンなどが臨床に適用されて, それぞれの剤形の性質に応じた効果を挙げている。
一方, Bleomycinの分子構造を変形した誘導体が数多く製造され, 制癌性, 制癌スペクトル, 肺線維症などを指標にしてスクリーニングがなされた。その結果, 最初NK-5033が肺の副作用の少ない誘導体として登場したが, 薬剤の体内分布量が少なく, 制癌作用が弱いことから研究は中断された。
最近, Pepleomycin (NK-631) が開発され, 基礎および臨床面にわたつて, 多くの優れた改良点をもつことが注目されてきた。NK-631は, ブレオマイシン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フェネチルアミンの一級アミノ基を脱水縮合したブレオマイシン誘導体の硫酸塩である (Fig.1) 。
われわれはNK-631の生体内動態について, 家兎, ビーグル犬, S-180担癌マウスを用い, Regular bleomycin (以下R-Bleoと略す) と比較検討した結果, 本誘導体の血中, 組織内濃度は予想外に高く, しかもそれが長時間持続することが判明したので報告する。

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