抄録
Pepleomycin (以下NK631と略す) は, Bleomycin (以下BLMと略す) の末端アミンを変えた約300のBLM誘導体から選ばれた新規な化合物で, 3- [(S)-1'-Phenylethylamino] propylaminobleomycinの構造をもっ。
NK631の特徴は, BLMにくらべて, マウスの肺毒性試験1, 2) で肺線維化の程度および発生頻度とも低い点にあり, そのマウス・ラットの分布実験3) でほ, BLM以上に肺, 皮膚などに高濃度分布する一方, リンパ移行性もよく, 今までBLMが検出できなかつた腺組織の一部 (胃, 前立腺など) にも, わずかながら分布する点である。塔種の動物実験2) での抗腫瘍作用においても, BLMと同等またはそれ以上の活性を示している。
今回, われわれは, これらの特徴をもっNK631について, 安全性評価の一環として特殊毒性試験, すなわち, ウサギ, モルモットにおける抗原性試験, 免疫抑制作用としてマウスにおける遅延型皮膚反応試験, 局所刺激性試験としてウサギにおける眼粘膜刺激試験, およびSalmonella typhinmurium strain TA 100, TA 98を用いた突然変異誘発試験を検討したので報告する