科学・技術研究
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原著
酸化チタンの表面コーティングに関する基礎的研究
吉岡 啓夢森 力宏百田 潤二大角 義浩武井 孝行吉田 昌弘
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2017 年 6 巻 2 号 p. 135-138

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抄録
有機-無機ナノ複合材料は、無機ナノ粒子および有機ポリマー両方の長所を取り込み、短所を可能な限り排除した材料である。無機ナノ粒子の特性が組み込まれたナノ複合材料は、塗料、光学デバイスおよび薬物担体など多岐に渡って利用されている。しかし無機ナノ粒子は、有機モノマーとの親和性が低いため、凝集体となり、有機ポリマーマトリックス中への分散が困難である。そこで有機ポリマーマトリックス中での無機ナノ粒子の分散性を向上させるため、シランカップリング剤を用いた無機ナノ粒子の表面コーティングに着目した。本研究では、無機ナノ粒子として酸化チタン(TiO2)を選択した。またシランカップリング剤としてビニルトリエトキシシラン(VTES)、モノマーとしてメタクリル酸エチル(EMA)およびメタクリル酸(MA)を選択し、粒子の調製を行い、その特性評価を行った。FT-IR測定結果およびTG-DTA測定結果より、TiO2粒子表面が有機ポリマーでコーティングできており、そのコーティング率が9.2 %であることがわかった。TEM観察結果から、有機ポリマーでコーティングしたTiO2粒子に約5 nmのポリマー層を付与することができた。粒度分布測定結果から、TiO2粒子を有機ポリマーでコーティングすることで、平均粒子径を著しく小さくすることができた。
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© 2017 科学・技術研究会

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