The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸ペプレオマイシン (NK631) の生体内分布および吸収排泄に関する研究
安部 史紀吉岡 修海老原 和雄小結 明子鈴木 肇井上 博小高 章松田 明
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1978 年 31 巻 12 号 p. 886-894

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抄録
硫酸ペプレオマイシン (以下NK631と略す) は, ブレオマイシン似下BLMと略す) の末端アミン部分を種種変化させてつくられたBLM誘導体から選ばれた新規な化合物で, 3- [(S)-1'-Phenyl-ethylalninolpropylaminobleomycinの構造をもつ。
本物質は, 基礎的研究において, 従来のBLMに比較して, 低肺毒性であること, 抗腫瘍性が同等またはそれ以上の活性を示すこと, 制癌スペクトルの拡大および生体内分布に特異性をもつことの諸点を目標としておこなわれたスクリーニングによって選択された。
海老原等1) が報告したように, NK631は肺毒性に関して, マウスを用いる実験において肺線維化の頻度および程度がBLMに比較して1/3および1/4に減じた低肺毒性の物質であった。また, 抗腫瘍活性は動物の移植癌, 化学発癌系においてBLMと同様のスペクトルの範囲にあるものにおいては同等またはそれ以上であり, さらにBLMの作用しないラットの化学発癌胃癌に効果を示した。
梅沢2) は, BLMの初期の研究において, そのマウスの生体内分布を抗菌活性と放射活性の2点から詳細に検討して, 制癌性物質の分布特性の検討は, その物質の有効性および毒性の標的臓器を見い出すのに有用であることを示した。
本報において我々は, 上記の観点から, NK631の生体内分布の特徽および動態を解明する目的から, 臓器による不活化を, 主に生物検定法を用いて検討した。また, 吸収排泄動態についてもBLMと比較検討したので, 合わせ報告する
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