The Japanese Journal of Antibiotics
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家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における抗生剤の髄液中移行に関する実験的研究
I. 半合成Penicillinについて
森川 嘉郎春田 恒和藤原 徹小林 裕
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1978 年 31 巻 5 号 p. 260-268

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抄録
化膿性髄膜炎化学療法の成否は, 使用抗生剤の髄液中濃度が起炎菌に対する最小発育阻止濃度 (MIC) を十分越えるかどうかに負うところが大きい。しかし, 個々の例において測定された抗生剤の髄液中濃度値は治療成績, その症例のと必ずしも平行せず1~4), 直ちに使用航生剤の適否を判断する資料とはなり難い。その主な理由は中濃度値がそ, 髄液の抗生剤の性格以外に患者の病態, 病日, 抗生剤使用量, 方法, 投与後の髄液採取時間く, その他の多の因子によって左右されるためと考えられる5, 6) 。これをできるだけ補うためには, 頻回採取によって継時的にその推移をみるほかはないが, 人体においてはまず不可能である。それはまた, 人体での抗生剤間の髄液中移行の優劣を決めることの困難な理由でもある。
そこで, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎を用いて, 各種抗生剤の髄液中移行の優劣を比較し, ある抗生剤の髄膜炎に対する臨床応用の適否を推定する資料とすることを企てた。
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