1978 年 31 巻 7 号 p. 419-426
今日, 小児細菌感染症に対する合成Penicillin系薬剤の使用頻度は, きわめて高い。とりわけ, 広域抗菌スペクトラムをもつAmpicillin (ABPC), またPseudomonas aeruginosaなどグラム陰性菌に有効なCarbenicillin (CBPC) の使用は, 最近の感染症治療において優先して使用されている。
このたび, 住友化学工業株式会社でABPCのAmino基に4-Hydroxy-3-carboxyl-1, 5-naphthyridineを導入したPC-904は, グラム陽性菌に対してはCBPCと同程度またはそれ以上の抗菌力をもち, グラム陰性桿菌に対しては, 従来のPenicillin系薬剤にくらべ, より強い抗菌力を示すといわれる1)。また, 本剤の吸収, 排泄, さらに毒性試験においても, 他のPenicillin系薬剤とほとんど変わらぬことが報告されている2)。
グラム陰性桿菌感染症の難治性に伴ない, その臨床, 治療面で多くの問題が生じている3)今日, 本剤に対する治療効果の期待も大きい。
そこで今回, 著者らは, 本剤の小児科領域における基礎的および臨床的検討をおこなつたのでその成績について述べる。