The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるPC-904の臨床的検討
本廣 孝阪田 保隆西山 亨中島 哲也横地 一興石本 耕治富永 薫山下 文雄
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1978 年 31 巻 7 号 p. 427-436

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抄録

抗緑膿菌製剤として現在使用されているPenicillin系薬剤にはCarbenicillin (CBPC) およびSulbenicillin (SBPC) があるが, 両者ともにPseudomonas aeruginosaにたいする抗菌力はそれほど強くはなく, 重症感染症にはアミノ配糖体系製剤の併用療法がおこなわれているが, アミノ配糖体系薬剤は筋注製剤であり, 筋注剤よりすぐれた薬剤の出現がのぞまれていたところ, 住友化学工業株式会社でAmpicillinのAmino基に4-Hvdrox V-3-carboxyl-1, 5-naphthyridineを導入したFig.1の化学構造をもっPC-904が開発された。
本剤はPs.aeruginosaをはじめとする多くのグラム陰性菌にすぐれた抗菌力をもち, グラム陽性菌にもCBPCと同程度かそれ以上で, 肝臓への移行がよいことから胆汁中へ高濃度に排泄される特徴1)をもち, その有用性が1977年の第25回日本化学療法学会総会新薬シンポジウム2)で論じられた。
私たちは, 本剤を1977年2月から1977年11月の10カ月間に当科および関連病院に入院した各種細菌感染症および細菌感染が疑われた患児に使用し, その臨床効果および副作用を検討したのでその成績を報告する。

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