The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCefuroximeの基礎的ならびに臨床的検討
西村 忠史広松 憲二高島 俊夫田吹 和雄小谷 泰
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1979 年 32 巻 12 号 p. 1211-1218

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抄録

細菌感染症に対する化学療法の進歩は, 実際の治療面に大きな効果を上げてきた。とくに, セファロスポリン系薬剤の発展は, 広域性と同時に, 耐性菌に対しても有効性を上げている。しかし, 今日の化学療法において, 感染症にみられる宿主側および病原微生物側因子の影響は大きく, 重症難治感染症の増加および耐性菌, とくにβ-Lactamase産生菌による耐性化傾向など, 考慮すべき問題は多い。今度, 英国のGlaxo研究所で開発された新らしい注射用セファロスポリン系であるCefuroxime (CXMと略す) は, 7位のAmino基に2-Methoxyimi-nofurylaceticacidを結合することによつて, β-Lactam環のC-N結合に対するβ-Lactamaseの作用を阻害し, そのためβ-Lactamaseに対する安定性も高められたものである。本剤は, グラム陽性および陰性菌, とくにCitrobacter, Enterobacter, Indole陽性Proteus, セファロスポリン耐性Klebsiella, Escherichia coliに優れた抗菌力を示す。また, さらに従来のセファロスポリン剤では抗菌力が弱いとされるH. influenzaeに対しても, 優れた抗菌力をもつている。本剤は体内で代謝を受けず, 腎を介して排泄され, 投与量の80~90%が活性型のまま尿中に回収される。その一般毒性の検討によつても, それは従来のCephalosporin系薬剤と同程度, もしくはそれ以下で, とくに腎毒性についてはCephalothin (CET) と同等または, それより低い程度であるといわれている。すでに本邦では, 成人において基礎的, 臨床的検討, 評価がおこなわれているが1), 今回著者らは, 本剤の基礎的および臨床的検討をおこなう機会を得たので, その成績について述べる。

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