1979 年 32 巻 3 号 p. 387-450
硫酸ペプレオマイシン (以下NK631と略す) は, 扁平上皮癌・ホジキン病等に著効を示す抗腫瘍性抗生物質ブレオマイシン (以下BLMと略す) の誘導体で, マウス・エー・リッヒ固型癌その他の実験動物腫瘍に対して, BLMに比較して優れた治療係数を示し, また, マウスにおける肺の線維化がBLMにくらべて弱く, かつ組織分布性に特徴をもち, その臨床有効性が期待されている。
今回, 雄性および雌性ビーグル犬における亜急性毒性 (30回連続筋肉内投与) に続いて, 雄性および雌性ビーグル犬に180回毎日連続筋肉内投与の慢性毒性試験をおこない, さらに5週間の休薬による回復性とその毒性の雌雄差の有無を検討し, 前回の亜急性毒性の成績と比較検討したので, 報告する。