The Japanese Journal of Antibiotics
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HI-78の試験管内抗マイコプラ界マ作用
大田 迪祐池辺 璋泉川 欣一岩崎 博円原 耕平
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1979 年 32 巻 5 号 p. 638-641

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抄録

ロイコマイシン (LM), ジョサマイシン (JM) などの16員環マクロライド系抗生物質は, 経口剤としてはアシル化して使用され, 注射剤としては, 酒石酸塩などの形で一般に使用されているが, 14員環マクロライド系抗生物暫にくらべて, その血中濃度が低いとされている。その原因としては, これら16員環マクロライド系抗生物質のマイカローズの4'位に結合するアシル残基が分解をうけたり1, 2), 体内で大環状ラクトンの14位が水酸化をうけたりして3)抗菌活性を失うためであろうと報告されており, したがつて, 直ちに分解されないような誘導体の開発が望まれている。Isoleucomycin A5 (以下HI-78と略) は, 一応この条件を満足させたもので, 東洋醸造によつて開発された, 図1のような構造式を示す誘導体である4)。図1 HI-78の構造式一方, マイコブラスマのうちでも, Mycoplasma Pneumoniae (以下M. pneu.と略) は, ヒトの異型肺炎をおこさせる病原体として知られているが, このものは細胞壁をもたないため, これら細胞壁に障害を与えて抗菌作用を示す抗生物質であるペニシリン系やセファロスポリン系抗生剤には感受性を示さない。最も強力な抗マイコプラスマ作用を示す抗生物質は, マクロライド系抗生物質であることは, 諸家の成績にもみられているが5~7), 新らしいマクロライド系抗生物質が登場すれば, 当然のことながら, 抗マイコプラスマ作用についても充分の検討を加えなければならない。
我々は, 本剤のマィコプラスマに対する試験管内抗菌力と, さらにはM. pneu.に対しての試験管内抑制効果について検討をおこなつたので, その成績について報告する。

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