The Japanese Journal of Antibiotics
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新型ブレオマイシンNK 631の使用経験
旭 正一
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1979 年 32 巻 7 号 p. 744-750

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抄録

ブレオマイシンが扁平上皮癌に有効であることがみとめられ, 臨床に, もちいられはじめたのは1967年で1), すでに10年余が経過した。 その後, スペクトラムもやや拡大され, 悪性リンパ腫系の疾患にも有効性が高いことが確認されて2・3), こちらのほうはBEMP療法のような多剤併用のかたちで使用されることが多い。 皮膚科領域では有棘細胞癌, 悪性リンパ腫が投与の対象となり, さかんに使用されていて良好な成績をおさめているが, 一方では肺線維症の発生をはじめとする副作用があつて4, 5, 6), さらに改良が望まれていた。
NK 631 (Pepleomycin) は, ブレオマイシンの末端アミンの位置に, アミノプロピルーフェネチルアミンを結合させた形の新らしいブレオマイシン誘導体で, 基礎実験では肺線維化をおこしにくいといわれている7) 。 抗腫瘍効果のほうも, 実験動物によつて, また腫瘍の種類によつて微妙な相違がみられる7)。 今回われわれは, 皮膚科領域の悪性腫瘍など7例についてNK 631による治療をおこなつたので, その臨床使用経験を報告する。

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