The Japanese Journal of Antibiotics
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尿中細菌の経時的推移によるCefuroximeの抗菌力の評価
辻本 兵博山田 薫山 博
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1979 年 32 巻 9 号 p. 883-889

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抄録

半合成セファロスポリン系抗生物質であるCefuroxime (CXM) は, 7位のAmino基に2-Methoxyiminofurylaceticacid を結合することによって, β-Lactamaseに対する安定性を高めたものである。 したがって, β-Lactamase産生菌に対しても効果を示すので, 抗菌スペクトラムも従来のセファロスポリン製剤のそれよりも広い1, 2)。 血中濃度のPeakは比較的高く3), 臓器内濃度は腎に最も高く, 血清, 肝, 肺の順であり, ヒトの胆汁への移行も比較的良好である4)。 血中半減期も1~1.5時間と比較的長く, 同時に尿中への移行も良好で, 投与量の80~90%が生体内で不活化されることなく, 投与後6時間までに尿中に回収される3)。 以上の成績から, ヒト感染症のうち最も頻度の高い肺, 腎感染症に有効性の高いことが想定される。
前報5, 6) において報告したように, 著者らは抗菌製剤の薬効評価を定量的に, かつ客観的に観察するために新らしい検定法を採用した。 この方法によって, 少ない患者数でもより適確な効果の判定が可能となった。 Cefuroximeにもこの方法を適用し, 臨床効果を細菌学的に把握し, MICとの相関において評価しえた。 その概要を報告する。

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