The Japanese Journal of Antibiotics
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胆道感染症に対するApalcillinの使用経験
三島 邦基太田 隆正北川 中行原田 英雄
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1979 年 32 巻 9 号 p. 960-965

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抄録

Apalcillin (APPC) は住友化学工業株式会社研究所で合成された新らしい半合成ペニシリンで, 化学名はSodium (2S, 5R, 6R)-6-[(R)-2-(4-hydroxy-1, 5-naphthyridine-3-carboxamido)-2-phenylacetamido]-3, 3dime。 thyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo [3, 2, 0] heptane-2-carboxylateである。 分子式はC25H22N5NaO6S, 分子量は543.53の白色ないし淡黄色の粉末で, 水, メタノール, ジメチルホルムアミドに溶解しやすく, エタノールに難溶で, アセトン, クロロホルムにはほとんど不溶である。 化学構造式はFig.1に示すとおりである。
抗菌力としては, 本剤は緑膿菌をはじめとするグラム陰性菌に強い抗菌力をもっとともに, グラム陽性菌に対してもCarbenicillin (CBPC) と同程度あるいはそれ以上の抗菌力を示す1~3)。
本剤の特徴は肝臓への移行が良好で, 胆汁中に高濃度に排泄され, ヒトでの尿中への排泄は, 約30%程度である。 胆汁中に排泄されたAPPCは腸管でβ-Lactam環が開かれ不活性化され, 腸管からの再吸収はほとんどない4, 5)。
ここでは, 頑固な高熱の続いた胆嚢炎の3症例に本剤を投与した結果, 著効を得たのでその臨床効果について報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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