The Japanese Journal of Antibiotics
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外科領域における9, 3-Diacetylmidecamycin (MOM) の臨床使用経験
横山 茂樹斉藤 敏明
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1980 年 33 巻 10 号 p. 985-988

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抄録

新らしく開発されたミデカマイシンの誘導体である9, 3-Di-0-acetylmidecamycin (MOMと略する) を外科領域において試用し, その臨床効果について検討した。
MOMの化学構造は, Fig.1のとおりである。分子式はC45H71NO17, 分子量は898.06で, 一般性状は白色の
結晶または結晶性の粉末で, においおよび味はない。クロロホルムまたはジクロルメタンにきわめて溶けやすく, 水にはほとんど溶解しない。また, 常温では非常に安定性が高い。
MOMは, 他のマクロライド系抗生剤と同じく, ブドウ球菌, 連鎖球菌等のグラム陽性菌のほか, 嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示し, 生体内抗菌作用は被検菌によつて異なるが, そのED50はミデカマイシンの1/2~1/10であり, 優れた抗菌作用をもつている。
耐性獲得も比較的少なく, 肝毒性もほとんどない。胃粘膜への刺激作用も非常に軽微で, ヒトにおける吸収試験からミデカマイシンより高い血清中濃度を示すことが明らかとなつている。催奇性についても, 動物実験上みとめられていない。
なお, MOM錠は, 1錠中MOMを100mg (力価) または200mg (力価) 含有する。

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