The Japanese Journal of Antibiotics
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健康成人におけるCefradineの吸収, 排泄
林 康之小島 敏昌
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1980 年 33 巻 6 号 p. 655-663

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抄録

抗生剤の投与量および投与間隔は, in vitro, in vivoの抗菌活性, 体内動態を基にして決められている。一方, SHIMADA & KATO1) や尾崎ら2) は, 抗生剤の菌抑制作用が抗生剤と菌の接触時間に依存することを示している。
このため, 抗生剤の生体内での効力は, 体内での持続性が長いほど増大すると考えられる。このような点を考慮して, 最近Cephalexinの持続性製剤が開発された3)。しかし, この製剤がその特徴である血中持続性を発揮するためには, 食後投与が必要である3~5)。既に抗生剤の吸収・排泄に対する食事の影響については, いくつもの報告がある。たとえば, ペニシリン類のばあい, 食後経口投与時の血中濃度値は, 空腹時投与にくらべピーク値が低下するとともに, ピーク到達時間の延長化と血中の持続化の傾向がみられる6~10)。セファロスポリン類のCephalexiin (CEX) 11~13) やCefradino (CED) 14~16)でも, 同様の傾向がみられ, 経口投与時の吸収・排泄に対する食事の影響は無視できない。しかし, 文献データには実験報告者間でかなり差がみられ, 吸収・排泄に対する食事の影響を正確に把握するのが困難である。そこで今回, 我々はCEDのヒトでの吸収・排泄を食事の影響という点から検討した。

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