The Japanese Journal of Antibiotics
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33 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 林 康之, 小島 敏昌
    1980 年 33 巻 6 号 p. 655-663
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生剤の投与量および投与間隔は, in vitro, in vivoの抗菌活性, 体内動態を基にして決められている。一方, SHIMADA & KATO1) や尾崎ら2) は, 抗生剤の菌抑制作用が抗生剤と菌の接触時間に依存することを示している。
    このため, 抗生剤の生体内での効力は, 体内での持続性が長いほど増大すると考えられる。このような点を考慮して, 最近Cephalexinの持続性製剤が開発された3)。しかし, この製剤がその特徴である血中持続性を発揮するためには, 食後投与が必要である3~5)。既に抗生剤の吸収・排泄に対する食事の影響については, いくつもの報告がある。たとえば, ペニシリン類のばあい, 食後経口投与時の血中濃度値は, 空腹時投与にくらべピーク値が低下するとともに, ピーク到達時間の延長化と血中の持続化の傾向がみられる6~10)。セファロスポリン類のCephalexiin (CEX) 11~13) やCefradino (CED) 14~16)でも, 同様の傾向がみられ, 経口投与時の吸収・排泄に対する食事の影響は無視できない。しかし, 文献データには実験報告者間でかなり差がみられ, 吸収・排泄に対する食事の影響を正確に把握するのが困難である。そこで今回, 我々はCEDのヒトでの吸収・排泄を食事の影響という点から検討した。
  • 高木 清, 福島 孝徳
    1980 年 33 巻 6 号 p. 664-667
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 術後髄膜炎においては, グラム陰性桿菌が重要な起炎菌となつてきている。これに対して, 従来Gentamicin (以下GM) の髄腔内投与が有効であるとの報告がなされている5, 6, 9)。しかし最近は, GMに対しても耐性をもつ菌種が出現してきており, これを補うことのできる抗生物質が望まれる。我々は, Kanamycinからの半合成Aminoglycoside系抗生物質であるAmikacin (以下AMK) を, 全身投与に加えて髄腔内投与を併用することによつて, 髄膜炎の治療に好成績を得た。諸外国においては, AMKの髄腔内投与についていくつかの発表があるが2, 4, 7), 本邦では,まとまつた報告をみない。ここに, 1978年5月から1979年4月までに当科においてAMK治療をおこなつた術後髄膜炎4例についての使用経験を報告したい。
  • 小酒井 望, 小栗 豊子
    1980 年 33 巻 6 号 p. 668-674
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌は, Opportunistic pathogenとして重要な位置を占めており, 重篤な基礎疾患をもつ患者に敗血症, 髄膜炎, 肺炎など各種感染症をおこすことが知られており, 終末感染, 病院感染の原因菌としての重要性がみとめられてすでに久しい。また, 慢性尿路感染など慢性感染症の化学療法中に, 本菌による菌交代症がみられるばあいも多い。
    Gentamicin (GM), Carbenicillin (CBPC) にはじまる緑膿菌にも有効なアミノグリコシッド剤や, ペニシリン剤の開発も盛んで, つぎつぎに新薬が開発, 使用され, 本菌感染症の制圧も一見容易になつたようであるが, これら薬剤の使用にともない, 耐性菌も次第に出現, 増加しつつある。
    私どもは, 臨床材料から最近分離した緑膿菌について, その各種抗菌剤感受性を測定し, 感受性の推移を観察したので報告する。
  • 坂本 博, 村川 武雄, 西田 実
    1980 年 33 巻 6 号 p. 675-678
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新Copbalosporin誘導体, Ceftizoximeの結合ビリルビンの遊離に与える影響を2, 3のβ-Lactam剤を対照として比較した。ヒト・アルブミン濃度が正常値域のばあい, Ceftizoximeを含む被検薬剤は, いずれもin vitroにおいてビリルビン-アルブミン結合体から競合的にピリルピンを遊離しなかつた。しかし, アルブミン濃度が正常値の約1/5濃度 (0.87g/dl)の条件では, 高濃度の薬剤(640μg/ml) の存在によつて, MDIPC, CEZおよびCMZで, ある程度のビリルビンの遊離がみとめられた。Ceftizoximeではこの条件においてビリルピンの遊離に影響を与えなかつた。
  • 村川 武雄, 中本 昭治, 西田 実
    1980 年 33 巻 6 号 p. 679-684
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftizoximeのウサギおよびイヌにおける腎排泄機作を検討し, つぎの結果を得た。Probenecidの併用によつて, ウサギにおけるCeftizoximeの血清中濃度の半減期は約2倍となつたが, イヌではほとんど変化しなかつた。また, 腎クリアランス実験で, ウサギにおけるCeftizoximeのクリアランスは, クレアチニンのクリアランスの約3.2倍大であつたが, イヌではCeftizoximeとクレアチニンのクリアランスが比較的よく一致した。Stop flow法で, ウサギではCeftizoximeは近位尿細管における分泌がみとめられたが, イヌではこの部位における分泌と再吸収は, ほとんどみられなかつた。
    以上の結果から, Ceftizoximeの腎排泄機作としては, 次のように結論できる。すなわち, この薬剤はウサギでは糸球体炉過と近位尿細管から分泌され, 尿中排泄量の60%が尿細管分泌量である。イヌでは, 主として糸球体炉過によつて排泄される。
  • 友野 法子, 仲由 武實, 藤田 正敬, 鬼海 庄一郎, 大石 正夫
    1980 年 33 巻 6 号 p. 685-689
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    硫酸ジベカシンはH. UMEZAWAら1) によつて, Kanamycin Bから合成されたアミノ配糖体系抗生物質で, 緑膿菌をはじめとする多くの耐性菌にもすぐれた抗菌力をもち, 現在, 注射剤として広く臨床応用されている。今回, 本剤の眼科領域における点眼剤としての適用を考えて, 点眼時の眼組織内移行性について検討を加えたので, その成績を報告する。
  • 宗光 博文, 松田 昌之
    1980 年 33 巻 6 号 p. 690-692
    発行日: 1980/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域では, 救急入院患者に緊急手術を施行するばあいが数多くあるが, 術後の一般血液検査で, 梅毒反応が陽性である例がしばしば見受けられる。そして, 患者自身は梅毒に罹患していることを認識していないことが多く, したがって, それらの例では未加療例が多い。
    今回, われわれは, これらの陳旧性梅毒例に, 内服によって高い血中濃度が得られ, かつ, 殺菌的に作用する合成ペニシリン製剤のAmoxicillin (Pasetocin ‘Kyowa’) を用いて, その効果, および, 副作用について検討したので, 報告する。
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