The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
Cephaloridipe点滴静注時の薬動力学的解析
井本 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 34 巻 2 号 p. 180-187

詳細
抄録

Cephaloridine (CER) は, グラム陽性球菌およびEscherichia coliをはじめとするグラム陰性桿菌にすぐれた抗菌力を示し, 注射用セファロスポリン剤として永年にわたり広く使用されてきた。特に起炎菌として, グラム陽性球菌の多く検出される口腔外科領域においては, 有用性の高い抗生物質と思われる。従来, CERは筋注用として使用されることが多く, 1日使用量も1~2gと少なく, 静注および点滴静注のデータも比較的少ない。
私どもの教室では, 先に薬剤と菌の接触時間に限り有る条件での有効濃度は最小発育阻止濃度 (MIC) よりかなり高いという結果を示したが, 実際臨床上得られる血中濃度が, 有効性を発揮するに足りる濃度に達しているかどうかを検討することは興味ある問題である。
薬剤の血中濃度およびその持続時間をコントロールするに最も適切な投与法は, 点滴静注法であるが, CERについてはすでに, 真下ら, 山作が点滴時における薬動力学的な解析をおこなつている。
今回, 接触時間に限り有る条件での有効性を検討するという観点から, CERの点滴静注時におけるヒト血清中濃度を経時的に測定し, 薬動力学的解析をおこなつたので報告する。また, 併せて, FOORD3) のCERの血中濃度の腎毒性安全域の提唱および血中濃度と組織移行の関連についても, 多少の検討をしたので報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top