The Japanese Journal of Antibiotics
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34 巻, 2 号
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  • 村橋 勲, 豊田 晶雄, 高崎 悦司
    1981 年 34 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Kanamycin A (KM) の1位のアミノ基をアシル化することによつて誘導されたアミノ配糖体抗生物質の1つであるAmikacinは, Gentamicin (GM) と同様に広範囲の抗菌スペクトラムをもつ。さらに, アミノ配糖体不活化酵素を産生するKM, GM, Dibekacin (DKB) およびTobramycin (TOB) 耐性菌に対しても抗菌力をもつことが特長とされている。
    Amikacinは, 筋注療法として日常臨床に汎用され, 有用な薬剤として広くみとめられており, 泌尿器科領域ににおける使用経験の報告も多数みられる。また, 白血病に併発した重症感染症に対する大量点滴静注療法の報告もみられる。
    今回, 我々は, 3例の泌尿器科領域の感染症症例に点滴静注を施行し, その血中濃度および尿中排泄を検討するとともにに, 10例の複雑性尿路感染症を対象に臨床的検討を加えたので, ここに報告する。
  • 滝本 昌俊, 長 和彦, 吉岡 一, 早苗 信隆, 丸山 静男
    1981 年 34 巻 2 号 p. 140-142
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 新らしく開発された経口用半合成Cephalosporin剤である。その抗菌範囲からみて, Broadspectmmの抗生剤の仲間に入れられよう。すでに, 一般に使用されているCephalexinやCefradineにくらべて, β-溶連菌, 黄色ブドウ球臨肺炎球菌などのグラム陽性球菌に対する抗菌力がすぐれているとの報告もあるので, 私共は, 8例の溶連菌感染症をはじめとする, 上気道の感染症に使用した。
    また, 年長小児の1例について, 経口投与後の血中濃度を測り, また尿中への排泄も測定した。得られた血中濃度をみると, 溶連菌, ブドウ球菌, 肺炎球菌の感染に対して, 充分な効果を期待できるものであつた。このPharmacokineticな成績と, 8例の治験成績を紹介する。
  • 藤田 誠, 黒沼 忠由樹, 青山 隆蔵, 永田 紀四郎, 泉 幸雄
    1981 年 34 巻 2 号 p. 143-145
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefhdroxil (CDX) は, 米国ブリストル社で開発された新らしい経ロセファロスポリン剤である。本剤は, 抗菌力の面ではCephalexin (CEX) とほぼ同等であるが, CEXにくらべ血中濃度が高く, かつ持続時間も長いという特徴をもつている。また, 食事摂取に, 本剤の吸収が影響をうけないということも, すぐれた点である。我々は, 本剤を呼吸器感染症および尿路感染症に投与する機会をもつたので報告する。
  • 篠崎 立彦, 小牧 久美子, 柱 新太郎, 藤井 良知
    1981 年 34 巻 2 号 p. 146-151
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (CDX) は, 米国Bristol社で開発された経口セファロスポリン剤である1, 2) が, 日本では成人領域における臨床成績が第27回日本化学療法学会総会, 新薬シンポジウム3) で検討され, Cephalexinと臨床効果はほぼ同等であるがいくつかの点で得るところがある, 安全, 有効な経口抗生剤であるという結論が得られた。そこで, 小児科領域でも検討する価値があるものと判定され, 幼若動物に対する急性, 亜急性毒性など安全性とPharmacokineticsに特別のことがないことを確かめた上で, 小児科領域における臨床研究会を組織し, 慎重に研究を進め, その綜括は第27回日本化学療法学会西日本支部総会に研究会として発表した4) が, ここでは, 当教室において検討した症例について報告する。
  • 南里 清一郎, 城崎 慶治, 服部 春木, 堀田 昌宏, 秋田 博伸, 山下 直哉, 砂川 慶介, 老川 忠雄, 市橋 保雄, 高橋 弘剛, ...
    1981 年 34 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    米国ブリストル社で開発された経口用Cephalosporin剤, Cefadroxilは, 化学構造上Cephalexinに類似し, 抗菌スペクトラムは, Cephalexinとほぼ同様である。この薬剤は, Cephalexinにくらべ, Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Streptococcus pyogenes, S. pneumoniaeに対して, 優れた抗菌力を示し, 従来の経口用Cephalosporin剤にくらべ, よく吸収され, 持続性がよく, また, 食事による吸収への影響を少なくするように改善されたものである1)。今回, ブリストル・マイヤーズ株式会社から本剤のシロップ用散剤の提供を受けたのを機会に, 小児の感染症に使用し, 臨床的検討をおこなつたので, ここに報告する。
  • 菅谷 憲夫, 市橋 治雄
    1981 年 34 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxilは, 化学的にはCephalexin (CEX) のべンゼン環のパラ位に水酸基が付け加わつているだけであるが, 酸に安定性で, CEXと等量で比較すると, 血中の半減期が長く尿排泄速度がゆるやかであることと, 抗菌スペクトルはCEXとほぼ同一であるが, Streptococcus pyogenesをこ対する抗菌力では優位にあることが特長とされている。今回, Cefadroxilを中等症の小児感染症に臨床使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 中沢 秀夫, 友利 典子
    1981 年 34 巻 2 号 p. 161-170
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin C系抗生物質では, Cephalothin, Cephaloridineが細菌感染症に対する治療薬剤として登場し, 次いでCefazolin (CEZ) が開発されて広く臨床的に応用され, 期待された治療効果をあげ, その後も新らしい開発が進められている。しかし, これらはいずれも注射薬であり, 中等症以下の感染症の治療として, 殊に小児科領域における使用には困難を感ずるものであつた。経口剤には, Cephaloglycinに次ぎCephalexin (CEX) が実用化され, 今日までヵプセル剤とともに小児用ドライシロップが多く用いられてきた。
    Cefadroxil (CDX) は, 米国Bristol-Myers社で開発された半合成の経口用Cephalosporin剤で, 分子式はC16H17N3O5S・H2O, 分子量は381.40で, Fig.1のようなCephalexinに類似した構造式で, 7位置換基のフェニル核のパラ位に水酸基をもつ点が異なる。本剤の抗菌スペクトラムは, Cephalexinとほぼ同じであるが,Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Streptococcus pyogenes, Klebsiella pneumoniaeに対しては, Cephalexinよりも優れた抗菌力を示すとされる。また, 本剤は極めてよく吸収され, 血中濃度のピークはCephalexinとほぼ同等であるが, 持続性は長く, 食事による吸収への影響も少ない成績5) が示されている。
    各種の動物試験による安全性, 臓器移行などの基礎試験およびPhase1試験ののち, わが国でも, 1978年2月から研究会が組織され, 成人に対する臨床治験が開始された。約1年間にわたる治験の結果, 成人1,377例の各種感染症に使用6) して, 74.5%の有効率をあげ, 副作用は軽度なものを含めても, 3.41%にすぎなかつたと発表された。
    今回われわれは, Cefadroxilのシロップ用散 (1g中Cefadroxil 100mg含有, 淡黄白色) を猩紅熱を主とした2, 3の小児急性感染症に対し治験使用する機会を得たので, ここにその成績を報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 進一, 鈴木 博之, 岩崎 章宣, 平間 裕一, 成田 章, 近岡 秀次郎, 山口 剛
    1981 年 34 巻 2 号 p. 171-179
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefadroxil (CDX) は, 内服によつて速やかに吸収され, Cephalexin (CEX) に比較して生物学的半減期が長く,Streptococcus pyogenes, Klebsiella pneumoniae等に対する抗菌力がすぐれている点が特徴の一部とされている。
    本剤を使用しての, 成人各種感染症1,377例についての治療成績は, 昭和54年6月, 第27回日本化学療法学会総会で報告されているが, 急性上気道感染症に対する有効率は85.7~94.6%という結果であつた。
    今回私等は, 本剤のDry syrupを使用しての小児科領域における一連の基礎的, 臨床的検討をおこなつてきたので, 以下今日までの概況について報告する。
  • 井本 隆
    1981 年 34 巻 2 号 p. 180-187
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephaloridine (CER) は, グラム陽性球菌およびEscherichia coliをはじめとするグラム陰性桿菌にすぐれた抗菌力を示し, 注射用セファロスポリン剤として永年にわたり広く使用されてきた。特に起炎菌として, グラム陽性球菌の多く検出される口腔外科領域においては, 有用性の高い抗生物質と思われる。従来, CERは筋注用として使用されることが多く, 1日使用量も1~2gと少なく, 静注および点滴静注のデータも比較的少ない。
    私どもの教室では, 先に薬剤と菌の接触時間に限り有る条件での有効濃度は最小発育阻止濃度 (MIC) よりかなり高いという結果を示したが, 実際臨床上得られる血中濃度が, 有効性を発揮するに足りる濃度に達しているかどうかを検討することは興味ある問題である。
    薬剤の血中濃度およびその持続時間をコントロールするに最も適切な投与法は, 点滴静注法であるが, CERについてはすでに, 真下ら, 山作が点滴時における薬動力学的な解析をおこなつている。
    今回, 接触時間に限り有る条件での有効性を検討するという観点から, CERの点滴静注時におけるヒト血清中濃度を経時的に測定し, 薬動力学的解析をおこなつたので報告する。また, 併せて, FOORD3) のCERの血中濃度の腎毒性安全域の提唱および血中濃度と組織移行の関連についても, 多少の検討をしたので報告する。
  • 沢木 政好, 成田 亘啓, 竹沢 祐一, 安達 一雄, 三上 理一郎, 松岡 洋一, 播金 収, 増谷 喬之, 石井 勇次, 大堀 真知子, ...
    1981 年 34 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    国内で研究開発された半合成Cephalosporin系抗生物質であるCeftezole (CTZ) について, 呼吸器感染症に応用する機会をえ, 本剤投与後の血中および喀痰中の濃度測定とともに, 本剤による臨床治験をおこなつたので, それらの成績をのべ, 多少の考察を加える。
  • 増田 剛太, 矢島 太郎, 中村 毅志夫, 清水 長生, 玉川 重徳
    1981 年 34 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症は, 時代とともに変貌する。昨今の臨床医学では, とくに, 日和見感染が広く注目を浴びており, 原因微生物としては, グラム陰性菌の分離頻度が高い。その制禦には, 抗菌製剤が有力な武器となるが, とくにPenicillin, Cephalosporin系, Aminoglycoside系製剤などの, いわゆる殺菌性と称する一群の抗生剤が広く大量に用いられており, これらが入院患者群でみられるような, 重症難治性感染症の治療に果たす役割は大きい。その試験管内抗菌力は, 一般に, 被検菌を各種の抗生剤に1夜接触させたのちの菌数の変化により測定される1)。しかし, これらの方法で得られた抗菌数値の生体内における持続時間は, 一般に短い。すなわち, 抗菌製剤を経口, 筋注, 静注投与したばあいの血中または病巣内における有効抗菌濃度は, 一般に, 長くとも数時間程度持続するに過ぎない。
    本論文では, 抗菌製剤としてCephalothinを用い, とくに被検菌との接触時間の概念をも含めた実験系を開発し, その作用様式について得た多少の知見を報告する。
  • 寺本 忠司, 貫名 正文, 小出 道夫, 春田 恒和, 森川 嘉郎, 藤原 徹, 小林 裕
    1981 年 34 巻 2 号 p. 200-204
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1970年代に入つて, B群溶連菌による感染症が急激に増加してきた1, 2)。本菌の感染は, 主に新生児におこるが, 成人にもあり, 種々の臓器の疾患がみられる3)。しかし, 重要なのは新生児期の敗血症および髄膜炎で, 致命率および後遺症率が高いことである。
    新生児期の感染症は, 症状所見が乏しく, 感染の認知さえ困難である4)。しかも, 原因菌はB群溶連菌とともに, 大腸菌, その他のグラム陰性桿菌が多く, 多彩である1, 2)。病状の進展が急速であるから, 感染を疑つたら, すぐ, 化学療法を開始する必要があり, それには, 広くこれらの菌種をカバーできなければならない5)。このような観点から, われわれは臨床材料から分離したB群溶連菌について, 抗生剤感受性を中心として細菌学的検索をおこない, さらに, Penicillin GとAmpicillinについて, B群とA群溶連菌の感受性を比較したので, 報告する。
  • 浅川 三男, 吉田 宇角, 原田 孝子, 島津 隆
    1981 年 34 巻 2 号 p. 205-210
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbxitin (以下CFX) は, 化学構造上Cephem環7α 位にMethoxy基をもつことから, 強いβ-Lactamase抵抗性をもち, このため従来のCephalothin (CET), Cafazolin (CEZ) に低感受性または耐性のEscherichia coli, KlebsiellaまたIndole (+) のProteus, Serratiaにもすぐれた抗菌力を示すことが知られている1~3)。
    著者らは, 呼吸器感染症の中でも, 治療の困難な慢性呼吸器感染症におけるCFXの有用性を検討するために, 血清中濃度と喀痰中への移行を測定するとともに, 臨床応用として慢性呼吸器感染症の患者で, 特に従来の抗生物質で効果のみられなかつた症例に対して, CFXを投与し, 多少の知見を得たのでここに報告する。
  • YOSHIRO MORIKAWA
    1981 年 34 巻 2 号 p. 211-218
    発行日: 1981/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pharmacokinetic differences between ampicillin and carbenicillin in the cerebrospinal fluid (CSF) were evaluated in experimental staphylococcal meningitis in rabbits after a single intravenous administration of 100 mg/kg dose of each drug. Half-lives (T1/2) in CSF and CSF/serum ratios of T1/2 were 52 minutes and 2.1 for ampicillin and 23 minutes and 1.3 for carbenicillin, respectively. These findings indicate that ampicillin is eliminated from CSF more slowly than carbenicillin. Penetration rates were calculated from CSF/serum ratios of area under the curve (AUC) and were 16.8% for ampicillin and 11.6% for carbenicillin, although the maximum concentration (Cmax) of carbenicillin in CSF was twice as high as that of ampicillin. Thus the penetration rate appeared to be influenced more by T1/2 in CSF than by Cmax. Cmaxin CSF was obtained at 15 minutes for carbenicillin and 30 minutes for ampicillin. As to carbenicillin there were considerable individual variations in CSF levels. The above observations suggest that T1/2 and AUC in CSF are important parameters when evaluating the usefulness of an antibiotic in the treatment of bacterial meningitis.
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