The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸ペプロマイシン投与によるラット前立腺腹葉上皮細胞の電顕的研究
岡田 清己山本 忠男権 秉震岸本 孝
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1981 年 34 巻 8 号 p. 1196-1201

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抄録

前立腺癌は内分泌療法が有効なことは広くみとめられているが, 一時期反応していても次第にホルモン不応性となり, 臨床的には腫瘍の再燃という型をとる。それ故, 前立腺癌の治療には癌化学療法の単独ないしは内分泌との併用療法も必要となつてきており, 前立腺癌に有効な抗癌剤の開発がのぞまれる。
すでに我々はラット前立腺腹葉上皮細胞の電顕的観察をおこない, 上皮細胞がホルモン療法により種々の変化をおこすことを観察している。さらにEstrogenとNitrogen mustardとの合剤であるEstramustine phosphateをラットに投与すると, 上皮細胞はEstrogen作用による変化だけでなく, Cytostaticな作用による変化も観察しえた。その結果から, 前立腺腹葉上皮細胞の微細構造を検索することにより前立腺癌の新らしい薬剤, ホルモン剤だけでなく, 抗癌剤の効果も推定できるものではないかと考えた。
硫酸ペプロマイシン (以下NK631) はブレオマイシンの誘導体で, マウス臓器分布特異性をみると前立腺においても比較的高濃度に検出される。今回NK631が前立腺癌に有効であるかどうかを評価するため, ラットにNK631を投与し, 同時に比較のため去勢群も作成し, 経時的に前立腺腹葉上皮細胞を電顕的に観察した。

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