The Japanese Journal of Antibiotics
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34 巻, 8 号
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  • (I) Acetylspiramycin投与によるマウスの急性および慢性トキソプラズマ症心筋内虫体に及ぼす影響
    F.M. ESPINAS, 小田倉 義博, 鈴木 直義, 佐々木 博司
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1141-1147
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ (以下Tpと略す) 感染によつて惹起される障害のうち, 主として脳障害および眼疾患などを主徴とした治療は多くの研究者により報告されている。それらのなかでSulfa剤とPyrimethamineの併用療法が顕著な相乗効果をみとめているが, その長期連用による副作用も無視できないのが現状である。特に妊婦でのTp感染治療は宿主の安全性を主点に薬剤が選ばれている。
    マクロライド系抗生物質, Spiramycin (SPM) は蛋白合成阻害をきたし, 抗原虫的に作用するとして人Tp症の治療には内外とも広く使用されている。また, Acetylspiramycin (ASPM) はSPMのHydroxyl基をAcetyl化して得られた誘導体でSPMより臓器親和性が高く, 毒性が極めて少ないことが知られている。
    一方, 実験的Tp感染症の一連の研究において, 心筋内からTpは高率に検出されることが知られている。しかし, 心疾患とTp感染との関連については, 最近のトキソプラズマ性心筋炎の報告を除いて, 殆んど明確にされていない。そこで著者らはTp症の一連の実験的研究領域に, Tp症治療に対するTp治療剤の抗原虫作用を, 主として心筋内虫体の除去効果に主眼をおいて基礎的検討を加えることとした。そして, 今回は研究の第1段階として, 急性および慢性Tp感染に対する抗生物質ASPMおよびSPMの単独投与効果について試験した。
  • 内田 立身, 松田 信, 田中 鉄五郎, 室井 秀一, 木村 秀夫, 佐藤 正, 油井 徳雄, 佐藤 信, 藤野 彰久, 三田 正行, 山田 ...
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1148-1157
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM, SCE-963, Panspolin®) は, 武田薬品研究所において開発された新らしいセファロスポリソ系抗生物質で, グラム陽性菌, 陰性菌に広域抗菌スペクトラムを示し, 従来のセフェム系抗生物質にくらべて, Escherichia coli, Klebsiellaなどのグラム陰性菌に対する抗菌力が著るしく強いといわれている。今回私どもは福島県立医科大学第1内科および関連病院6施設において各種感染症, なかでも血液疾患の合併症としての感染症に対し本剤を投与する機会を得たので, その臨床的効果を中心にここに報告する。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 戸次 英一, 葛西 洋一, 中西 昌美, 加藤 博, 松田 繁雄
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1158-1172
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在, 本邦においては, Gentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Amikacin (AMK), Tobramycin (TOB) 等のAminoglycoside系抗生剤は筋注による投与だけがみとめられ使用されている。しかし筋注による投与は局所痛, 硬結, 投与量の制限等の問題があり, さらに小児においては筋萎縮症の発生があるために適応に制限がある。一方欧米諸国においては, 筋注はもちろん静注あるいは点滴静注による投与法がみとめられており, 臨床的に使用されている現状である。一般にAminoglycoside系抗生剤は, 広い抗菌Spoctrumをもつとともに, 低いMICをもち, しかも炎症組織への移行が良好な反面, 薬剤により差があるが腎毒性と聴器および前庭神経障害をもつており, 腎蓄積性をもつといわれている。
    TOBは1967年, Eli Lilly社にて開発されたAminoglycoside系抗生剤であるが, 本邦においては1975年, 塩野義製薬により開発され, 今日筋注用として広く使用されているものである。欧米においては, 早くから静脈内投与法が検討され, 1973年HELMらは50mgの静注を1日2回投与し有効なることをみとめ, 1976年ALTUCCIらは1日80~160mgの静注および筋注を30例におこない有効なることを報告している。またCARMALTら (1976) は, TOB 1.5mg/kg×3/dayの20~30分間の点滴静注をおこない効果をみとめている。TOB投与時の副作用として腎障害, 聴器および前庭神経障害が主なものとされているが, これは血中濃度のピーク値が12μg/ml以上となると起り易いとされている。TOBの筋注と30分~1時間の点滴静注時の血中濃度のピーク値はほぼ等しく, 60mgの点滴静注および筋注では, 約4~5μg/mlであるとされている。今回, 我々は点滴静注法をおこなうことにより副作用を防ぎ, 有効性を高めることが可能であると考え, TOBを用いて点滴静注法による有効性と安全性を検討することとした。
    一方, 抗生剤投与時に, 人体の目的とする炎症組織内への移行を検索することは, 起炎菌およびそのMICを検討することとともに極めて有意義であり, 既に各種の抗生剤についておこなわれているが, TOBについての検索はいまだ極めて少ない現状である。そこで著者らは, 胆石症, 胆嚢炎5例, 急性虫垂炎10例, その他3例の計18例について, 手術時にTOBを投与し, その切除組織内の濃度および, 胆汁, 腹水等の体液内TOB濃度を測定するとともに, その内の15例にはTOBの点滴静注による治療をおこない, その臨床効果を検討し, 起炎菌のMIC, 体液および組織内濃度と臨床効果との関連について検討し, 多少の興味ある成績を得たので報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 平間 裕一, 新納 憲司, 成田 章, 中沢 進一, 近岡 秀次郎
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1173-1177
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第3群Aminoglycoside系製剤であるTobramycin (TOB) は, 抗緑膿菌作用の外Proteus, Serratia, Escherichia coli, Staphylococcusに抗菌力があり, 耐性および不感受性によるグラム陰性桿菌類に起因する感染症の増加傾向にある現況においてはこれらに対する第1選択剤として使用される傾向になつている。
  • YOSHIRO MORIKAWA
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1178-1184
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin demonstrates a potent bactericidal activity against the common pathogens: Haemophilus influenzae (except for those strains that produce beta-lactamase), Neisseria meningitidis, group A and B Streptococcus, Streptococcus pneumoniae, Listeria, Enterococcus, Proteus mirabilis and Escherichia coli, and has received a wide acceptance as a single antibiotic regimen in the treatment of bacterial meningitis caused by the above organism. Although concentrations of an antibiotic in serum are commonly correlated with the degree of therapeutic effectiveness in systemic infections, cerebrospinal fluid (CSF) concentrations should serve as a therapeutic guide in the case of bacterial meningitis, However, bacterial meningitis is one of the diseases in which therapeutic concentrations of antibiotics are difficult to attain at the site of infections because of the action of blood-CSF barrier. In the treatment of bacterial meningitis, although intravenous administrations of antibiotics are known to be superior to their intramuscular in jections, little published data discussing the duration of intravenous infusion of drugs are available.As ampicillin is the main drug for the treatment of bacterial meningitis, it is chosen as a subject in this study.
    The present study was designed to determine the pharmacokinetic differences in CSF between 60 minutes continuous and bolus intravenous administrations of ampicillin by analysing the pharmacokinetic indices such as half-lives (T1/2), maximum concentrations (Cmax), the time when Cmax was obtained (Tmax), and the area-under-the-serum or CSF concentration-time curve (AUC), using a serial sampling method from an individual rabbit with staphylococcal meningitis.
  • 中尾 恿, 長谷川 節雄, 安水 美代
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1185-1190
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    白血病・骨髄腫などの造血器腫瘍, 再生不良性貧血, 無顆粒細胞症などは, 白血球数, 分類比率, 細胞性および体液性免疫の異常により, 防禦能を喪失した易感染状態にあり, ことに白血病では寛解導入療法後に重篤な骨髄抑制期を経過するので, 感染症対策は, 基礎疾患の治療と一体不離の関係にある。また, 免疫異常に起因する広義の膠原病に包括される副腎ステロイド投与中の症例も, Compromised hostとして常に感染への警戒を要することは言うまでもない。
    過去2年間に私どもが扱つた重症血液疾患の主たる感染症は, 敗血症12例 (Pseudomonas 4例, Klebsiella 5例, Enterobacter 1例, Staphylococcus aureus 1例, Group A α-Hemolytic Streptococcus 1例), 肺炎8例, その他であり, 重症感染症に進展する例が多かつた。無菌室導入により, 感染発症の頻度は減じたが, 根絶は困難であり, ましてガウソテクニックの加療例における感染症の頻発は, 不可避であつた。さらに, 生体防禦能の破綻に根ざす宿主条件下での抗生物質療法は, 菌交代, 再燃を見ることも多く, 難治性であつた。そこで広域のスペクトラムをもち, 強力かつ低毒性の抗生物質の出現が望まれてきた。
    今回用いたCefoxitin (MERXIN, CFX) は, Cephem環の7α位にMethoxy基を導入することにより, β-Lactamaseに対して安定性があり, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対して幅広い抗菌スペクトルをもつている。特に, グラム陰性桿菌のEscherichia coli, Proteus, Klebsieltaの他, Serratia, Bacteroides fragilisにも高い抗菌活性をもつ。そこで, 重症血液痴患の続発性感染症を主たる対象とし, 一部は免疫異常を伴なう疾患の感染症や重症骨髄抑制時の感染予防を目的とした投与成績をここに報告する。
  • 古澤 太郎, 板倉 康啓, 宮下 浩明, 中尾 昌宏
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1191-1195
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Pivmecillinam (PMPC) は既に現在Melysinなる名称で市販されている経口抗生剤で, 周知のとおり腸管内にて非特異的エステラーゼにより加水分解を受けてMecillinam (MPC) となり吸収されて抗菌力を発揮するものである。
    既に本剤による各種尿路感染症に対する臨床成績については諸家によつても多数報告され, その評価もおよそ良好な結果を得ている。この度, Pivmecillinam (Melysin 100mg錠) の急性尿路感染症への臨床効果を評価する機会があつたので報告する。
  • 岡田 清己, 山本 忠男, 権 秉震, 岸本 孝
    1981 年 34 巻 8 号 p. 1196-1201
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前立腺癌は内分泌療法が有効なことは広くみとめられているが, 一時期反応していても次第にホルモン不応性となり, 臨床的には腫瘍の再燃という型をとる。それ故, 前立腺癌の治療には癌化学療法の単独ないしは内分泌との併用療法も必要となつてきており, 前立腺癌に有効な抗癌剤の開発がのぞまれる。
    すでに我々はラット前立腺腹葉上皮細胞の電顕的観察をおこない, 上皮細胞がホルモン療法により種々の変化をおこすことを観察している。さらにEstrogenとNitrogen mustardとの合剤であるEstramustine phosphateをラットに投与すると, 上皮細胞はEstrogen作用による変化だけでなく, Cytostaticな作用による変化も観察しえた。その結果から, 前立腺腹葉上皮細胞の微細構造を検索することにより前立腺癌の新らしい薬剤, ホルモン剤だけでなく, 抗癌剤の効果も推定できるものではないかと考えた。
    硫酸ペプロマイシン (以下NK631) はブレオマイシンの誘導体で, マウス臓器分布特異性をみると前立腺においても比較的高濃度に検出される。今回NK631が前立腺癌に有効であるかどうかを評価するため, ラットにNK631を投与し, 同時に比較のため去勢群も作成し, 経時的に前立腺腹葉上皮細胞を電顕的に観察した。
  • 1981 年 34 巻 8 号 p. 1202-1204
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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