The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域に於けるCefotiamの組織移行に関する検討
館野 政也舌野 徹林 義則中曽根 敬一
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1982 年 35 巻 5 号 p. 1127-1130

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抄録

産婦人科感染症の中で従来から子宮内感染, 殊に子宮筋層炎などは重篤な感染症としてとり扱われている. 子宮内には投与された薬剤の到達性が他臓器に比べて必ずしも良好とはいい難いからである. そこで我々の領域の感染症の抗生物質による治療では常に組織内移行が問題となる. 我々は今回Cefbtiam (略号CTM, Pansporin®)を使用する機会を得たのでCTMの点滴静注の際の子宮や子宮付属器などの臓器内移行について検討を加えた.
CTMは武田薬品中央研究所で新しく合成された注射用セフェム系抗生物質である. 本剤はグラム陰性菌に対してはCefazolin (CEZ) の数倍ないし10数倍の抗菌力を示し, しかも従来のセフェム系薬剤では効果の期待できなかつたインドール陽性ProteUS, HaemophilUSinflUenZae, CitrObaCterおよびEnterObaCterなどに対しても抗菌力を示すという. またグラム陽性菌にも従来のセフェム系薬剤と同等以上の抗菌力作用をもつている1, 2). またβ-Lactamaseに対しても抵抗性を有し3), 注射により速やかに高い血中濃度が得られ, 活性のまま主として尿中に排泄される4).

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