The Japanese Journal of Antibiotics
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胆道感染症に対するCefotiamの効果
小沢 国雄中川 浩之佐藤 修前川 武男和賀井 和栄城所 仂
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1982 年 35 巻 5 号 p. 1163-1166

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抄録

胆道感染症に対する治療は, 肛管などの胆道閉塞を伴つている場合には, 胆道の閉塞解除と胆汁のドレナージが最も重要で, これと共に適切な化学療法が必要となる. 一方, 急性胆嚢炎では, まず化学療法が優先される. これら化学療法は, 感染症の起因菌を調べ, これに対して抗菌力が強く, 病変部への移行が良い抗生剤が要求される.
最近2年間の教室における肝, 胆道疾患手術例で胆汁中細菌をみると (表1), Klebsiella, Escherichia coliが最も多くみられるが, 次いでEnteroわacter cloacae, Pseudomonas, 腸球菌など種々の細菌がみられる. そこで胆道感染症に対しては, これら細菌を目標として広範囲スペクトルを有する抗生剤を使用しなければならない. 近年, 胆道感染症に対してはFirst choiceにセフェム系抗生物質を使用することが多くなつたが, 今回は, その中でもスベクトルが広く, 抗菌力も優れているといわれるCefotiam (略号CTM, Pansporin®) に注目し, CTMの胆汁排泄および胆嚢壁への移行について検討した.

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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