The Japanese Journal of Antibiotics
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女子急性淋疾に対するSpectinomycin, Ampicillinの併用療法に関する検討
増田 幸子出口 浩一
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1982 年 35 巻 6 号 p. 1562-1566

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抄録

近年, 急性淋疾は, 国際交流の高まり, 不純性交遊技, ペニシリン, テトラサイクリンなどの耐性菌の出現1) などの要因から, 増加傾向が指摘されている2).女子における淋疾の淋菌性頸管炎においては, 定型的な症状をともなわないこともあり, 慢性化すると, その頸管帯下は, 淋菌性以外の原因による帯下との区別がつけ難いなどから, 感染源を温存する場合もある2).
淋疾に対する治療薬としては, ペニシリン系抗生物質が今日においても基本とされているが3), ペニシリン, テトラサイクリンなどの耐性菌の出現1), ペニシリン療法の有効性の低下4), さらには, ペニシリンによるアナフィラキシー・ショックのために, 第一線の診療施設では, 選択剤に苦慮することも多い.
そこで, 私たちは, 1回量として比較的大量に筋注が可能であることから, 長時間の血中濃度および体内で有効活性濃度を持続させることができるSpectinomycin (Trobicin®, 日本アップジョン, 以下SPTMと略) および経口投与が可能なAmpicillin (Viccillin, 以下ABPCと略) の併用療法について一定の検討を行つたので, 報告する.
尚, 本検討については, 子宮頸管分泌物中の淋菌の検索の他に, 好気性菌, 嫌気性菌の検索, 検出菌のSPTM, ABPCのMICおよびSPTM+ABPCの試験管内抗菌協力作用等の細菌学的検討を合わせて行つたが, 本稿では, 淋菌に関する細菌学的検討成績だけを報告し, 他の成績は, 別稿7) として扱つたことを付記しておきたい.

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