1982 年 35 巻 6 号 p. 1567-1578
Aminoglycoside系 (AGs) 抗生物質の投与経路は, 従来から菌血症や筋注投与不能例を除けば, 筋注投与だけに限定されてきた. しかし最近では, 本剤の体液内濃度測定法や薬動力学的研究等の基礎的分野での研究が飛躍的に進み, 安全性の確認がより的確にかつ迅速に行えるようになつてきた。こうしたことを背景に, 多方面にわたる感染症の治療分野で, AGsの点滴静注投与 (Dripinfusion, 以下d.i.) が試みられている.
筆者はこうした多くの報告を参考として, AGsのうちGentamicin (GM) を用い, 一部の症例で血中濃度を測定した上で, 慢性複雑性尿路感染症を対象に, d. i. による治療を行い, 臨床成績と安全性について検討を行つたので報告する.