The Japanese Journal of Antibiotics
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作用時間から見たLatamoxefのグラム陰性菌に対する抗菌力の変化
増田 剛太根岸 昌功楊 振典向山 雄人花井 直子内川 清次当真 隆則山崎 悦子
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1983 年 36 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

抗菌製剤のin vitroでの抗菌力の評価は, 一般に, 最小発育阻止濃度 (MIC) 又は最小殺菌濃度 (MLC) 1) で見られるように, 菌と抗菌製剤を1夜という長時間接触させた後の菌数変化を指標として行われる。しかし, これら製剤の常用量を経口, 筋注又は経静脈内等の方法で投与した場合の体液や病巣内におけるその有効灘 (MICやMLCなどに相当する濃度) の持続は, 多くの抗菌製剤で数時間程度である。我々は, 臨床における抗菌製剤の効果を演繹的に解析する手段の1つとして, 菌・抗生剤の接触時間を変数とした静・殺菌力 (いわば, Timed MICとTimed MLCとも言うべき数値) の測定法を開発し, 発表して来た2~4)。
Latamoxef (以下LMOX, シオマリン, 塩野義製薬) は最近発売された新しいβ-Lactam系製剤で, 嫌気性菌及びグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムと極めて強い抗菌力を示す5)。本稿では抗生剤としてLMOXを, 被検菌種として日和見感染症で分離頻度が高いグラム陰性菌を選び, その抗菌力を, 特にその作用時間との関係から検討し, 解析を試みた。

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