The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 1 号
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  • Latamoxef産婦人科感染症研究会
    高瀬 善次郎, 白藤 博子, 松田 静治, 丹野 幹彦, 柏倉 高, 張 南薫, 福永 完吾, 国井 勝昭, 穂垣 正暢, 室之園 悦雄, ...
    1983 年 36 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (以下LMOXと略す) は塩野義製薬研究所で開発された新しい注射用Oxacephem系抗生物質で, Fig.1に示す構造式を有している。グラム陽性菌, グラム陰性菌及び嫌気性菌までの幅広い抗菌スペクトラムを持つうえ, 従来のCephalosporin系抗生物質が無効であつたProteus, Enterobacter, Serratia, Pseudomonas及びBacteroidesにも極めて強い抗菌力を備えている1, 2)。又, 各極の細菌が産生するβ-Lactamaseに対しても極めて安定であると報告されている3)。
    今回, 産婦人科領域の研究会を組織し, 昭和53年10月から55年9月までの2年間にわたつて実施されたLMOXについての産婦人科領域感染症に対する基礎的・臨床的効果についての成績をいささかの文献的考察を加えて報告する。
  • 増田 剛太, 根岸 昌功, 楊 振典, 向山 雄人, 花井 直子, 内川 清次, 当真 隆則, 山崎 悦子
    1983 年 36 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗菌製剤のin vitroでの抗菌力の評価は, 一般に, 最小発育阻止濃度 (MIC) 又は最小殺菌濃度 (MLC) 1) で見られるように, 菌と抗菌製剤を1夜という長時間接触させた後の菌数変化を指標として行われる。しかし, これら製剤の常用量を経口, 筋注又は経静脈内等の方法で投与した場合の体液や病巣内におけるその有効灘 (MICやMLCなどに相当する濃度) の持続は, 多くの抗菌製剤で数時間程度である。我々は, 臨床における抗菌製剤の効果を演繹的に解析する手段の1つとして, 菌・抗生剤の接触時間を変数とした静・殺菌力 (いわば, Timed MICとTimed MLCとも言うべき数値) の測定法を開発し, 発表して来た2~4)。
    Latamoxef (以下LMOX, シオマリン, 塩野義製薬) は最近発売された新しいβ-Lactam系製剤で, 嫌気性菌及びグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムと極めて強い抗菌力を示す5)。本稿では抗生剤としてLMOXを, 被検菌種として日和見感染症で分離頻度が高いグラム陰性菌を選び, その抗菌力を, 特にその作用時間との関係から検討し, 解析を試みた。
  • 礒部 博行, 豊浦 友也, 坂本 春生, 山田 善雄, 後藤 潤, 佐々木 次郎
    1983 年 36 巻 1 号 p. 22-30
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephamycin系抗生物質のCefmetazole (CMZ) は, 三共株式会社で開発された抗生物質で, その化学名及び構造式は次の通りである。
    本剤は, 水に溶けやすい白色~微黄白色粉末で, 筋注, 静注共に高い血中濃度が得られ, 代謝されず活性型のまま, 尿中に速やかに排泄される。又, 本剤はβ-Lactamaseに強い抵抗性を持ち, グラム陽性菌及び陰性菌に対して優れた抗菌力を発揮し, 従来のCephem系及びPenicillin系抗生物質の耐性菌に強い抗菌力を示す特徴を持つている。
  • 宮野 武, 新井 健男, 駿河 敬次郎
    1983 年 36 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    先天性胆道閉鎖症 (以下CBAと略) の根治術として肝門部肝空腸吻合術術後の予後を左右する最も大きな問題の1つに, 術後上行性 (あるいは逆行性) 胆管炎 (いわゆるAscendingcholangitis) がある。本症の治療には当然抗生物質の使用が極めて重要である。すなわち術後上行性胆管炎の発生あるいは発生が予測される場合に,いかなる抗生物質をいかなる方法で使用するかが, 我々臨床医の最も知りたいところである。しかし現在まで幼若乳児はもとより小児における胆汁中への抗生物質の移行に関する詳細な報告は皆無に等しい。特にCBA患児の抗生物質の胆汁中移行に関して千葉ら1), 由良ら2) の報告はあるが, 極めて少なく, 実際の臨床上は胆汁の細菌培養, 分離菌の感受性試験は当然行うとしても, 我々の実地臨床上は単に経験により用いられていたに過ぎないと言つても過言ではない。
    さて, 我々がCBA根治術時に腸内容の肝門部への逆流防止目的で造設する外胆汁痩としての空腸痩 (駿河II法3)) はFig.1に示すように, 肝門部肝空腸吻合部から流出する胆汁の全量が採取可能である。
    今回, 成人での胆汁中移行が極めて良好で且つ, 胆道感染の主たる起因菌に対して著効が示され, 臨床的にも優れた報告がなされているセフェム系抗生物質Cefmetazole (以下CMZと略す) を経静脈的に投与し, 外痩から流出した胆汁中の移行濃度を測定することにより, 乳幼児, 特に肝機能障害児におけるCMZの胆汁中移行の実態を知る若干の知見を得たので報告する。
  • 斎藤 正人, 芝田 和夫, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1983 年 36 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sisomicinは放線菌Micromonospora inyoensisの産生するAminoglycoside系抗生物質である。本剤はGentamicin同様幅広い抗菌スペクトラムを有し, その抗菌力はGMよりやや強く, Pseudomonas aeruginosa及びStaphylococcus aureusに対する殺菌率はGMより優れており, 又in vivoの効果はGMに比べ優れていると報告されている1~6)。
    Aminoglycoside系抗生物質は同じ蛋白合成阻害作用を示すMacrolide, ChloramphenicolあるいはTetracycline系抗生物質と異なり, 短時間内に非常に優れた殺菌作用を示す切れ味の良い抗生物質と言われている。しかし, 第8脳神経障害や腎毒性などの副作用を有するために使用時には注意が必要と思われる。これらの副作用の軽減あるいは相乗効果による抗菌力の増強の目的でPenicillin系あるいはCephem系抗生物質との併用が考えられる。今回, 我々は比較薬としてGMを用い, Penicillin系抗生物質としてPiperacillinを, Cephem系としてはCephamycin系抗生物質のCefmetazoleを用い,in vitro及びin vivoにおける併用効果をP.aeruginosa並びにSerratia marcescensを試験菌として用い, 検討を行つたので報告する。
  • 砂川 慶介, 秋田 博伸, 城崎 慶治, 岩田 敏, 岩崎 由紀夫, 佐藤 吉壮, 東條 雅宏, 若林 良, 早野 紳哉, 小佐野 満, 松 ...
    1983 年 36 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年グラム陰性桿菌感染症の増加に伴い, 小児科領域においても他剤に抵抗を示す重症感染症に遭遇することが多く, アミノ配糖体系抗生剤を使用せざるを得ない場合もしばしばある。しかも, これらの薬剤は筋肉内投与だけが許可されているが, 小児科領域では筋拘縮等の局所の毒性の問題があり, 主に静脈内投与が行われているのが現状である1)。
    アミノ配糖体系抗生剤を一定時間かけて点滴静注した場合の血清中濃度推移は, 筋注時とほぼ同じであるとされており1), 我々が行つたTobramycin (TOB) に関する検討2, 3) においても30~60分点滴静注が筋注時と同様のバターンを示すことが確認されている。
    今回, Gentamicin (GM) を小鼎こ点滴静注にて投与し, その薬動力学的検討を行つたので報告する。
  • 中村 孝, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 三上 二郎, 斉藤 美知子, 八反田 薫, 戸次 英一, 西代 博之, 中西 昌美, 葛西 洋一, ...
    1983 年 36 巻 1 号 p. 55-70
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminoglycoside系抗生剤のGentamicin (GM), Dibekacin (DKB), Tobramycin (TOB), Amikacin (AMK)などは, グラム陽性菌から陰性菌に及ぶ幅広いスペクトラムを有し, 少量にて殺菌的な抗菌性を発揮する比較的低濃度の最小阻止濃度 (MIC) を持ち, しかも炎症組織への移行が良好な抗生剤として, 今日広く使用されている。しかし一方において, 腎毒性と聴器及び前庭神経障害の副作用が起り易く, 蓄積性もあるとされ, 有効量と副作用発生量との差が比較的少ない薬剤とされているために, 本邦においては, 筋注による使用だけが認められている。しかし筋注による投与は, 局所痛, 注射部位の硬結, 投与量の制限などの問題があり, 又白血病などの出血傾向のある患者では, 注射部位の出血の問題もあり, 更に小児, 特に新生児, 未熟児では筋萎縮症の発生があるために反復, 長期間の使用は困難であり, これらの点から適応が制限されている現状である。
    その一方において, 現在広く使用されているPenicillin系合成抗生剤及びCephalosporin系抗生剤に対する耐性菌の増加が近年問題となり, グラム陰性桿菌群がこの耐性菌の大部分を占めることから, Aminoglycoside系抗生剤の効果が再認識されることとなつてきた。
    欧米諸国においては, 以前からAminog1ycoside系抗生剤の静注又は点滴静注による使用法が検討され, 臨床面に応用されてきている1~4, 6~8)。本邦においても, 最近Aminoglycosideの点滴静注による投与法の検討が行われるようになり, 特に筋注との比較が血中濃度, 尿中排泄の動態について検索され, 臨床使用経験の報告と相まつて, 点滴静注法の有用性が認められてきている9~14)。これらの報告によると,筋注投与法と30分ないし1~2時間の点滴静注時の血中濃度のピーク値の数値はほぼ等しく, GM60mgの筋注及び点滴静注では, そのピーク値は4~6μg/mlであるという9)。
    一方, 抗生剤投与時に, その目的とする炎症組織の抗生剤濃度を測定することは, 起炎菌及びそのMICを検討することと共に臨床上極めて有意義であり, 臨床効果の検討と併せて検討すれば, より一層の価値があると考えられる。著者らはすでにAminoglycoside系抗生剤の点滴静注による検討をDKB, 16, 30, 33) TOB, 31) AMK32) について行い報告したが, 今回はGMについての検索を, 点滴静注による臨床効果, 起炎菌のMIC, 更に筋注及び点滴静注による炎症組織内濃度の検索を行つて, 若干の興味ある所見を得たので報告する。
  • 石山 泰二郎, 宮山 龍雄, 菅谷 直樹, 野本 晴夫, 杉本 正邦, 若林 芳久, 塩川 優一
    1983 年 36 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性白血病の治療はTotal cell killの概念1) に基づく, 強力な多剤併用療法が行われるようになり, 寛解率は著明に改善したが, 出血傾向, 易感染性という新たな問題を引きおこした。現在出血傾向に対しては成分輸血法が進歩し, 血小板輸血が広く行われているが, 感染症が白血病の直接死因を占める割合は高く, CHANGら2) は自験白血病315例中約75%が感染症が直接死因であつたとしている。このように感染症に対する対策は白血病治療に際して極めて重要な問題であることは周知のとおりである。
    今回, 白血病随伴感染症に対するCefotiam (CTM)・Sulbenicillin (SBPC)・Cefsulodin (CFS) の併用療法に関する臨床的検討を行つたので報告する。
  • 田中 一誠, 細馬 静昭, 大城 久司, 山本 泰次, 杉野 圭三, 住元 一夫, 岸 直彦
    1983 年 36 巻 1 号 p. 76-83
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹部外科領域において, 腹膜炎及び胆道感染症は, 日常よく遭遇する疾患ではあるが, 適当な治療がなされなければ, 極めて重篤な状態に陥る事は周知の事実である。かかる感染症に対して, 適切な手術療法, 起炎菌に抗菌性のある抗生物質投与, それに全身的な管理を行う事が治療の原則であろう。これらめ起炎菌のほとんどは腸内細菌由来のグラム陰性桿菌であり, 有効な抗生物質が使用されるべきである。
    近頃, 武田薬品工業株式会社から新しいセフェム系抗生物質Cefotiam (以下CTMと省略する) が開発発売され, グラム陰性桿菌に特有なβ-Lactamaseに抵抗性が強く, 従来のセファロスポリン系, セファマイシン系抗生物質より強い抗菌力を有し, 胆道移行の良好なる事が報告されている1~3)。
    今回我々は, 腹部外科手術症例においてCTMの血中, 腹水中及び胆道系への移行につき検討し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 伊藤 章, 進藤 邦彦, 坂本 洋, 佐野 文彦, 石ケ坪 良明, 松村 正典, 谷 賢治, 丸田 壱郎, 児玉 文雄, 福島 孝吉
    1983 年 36 巻 1 号 p. 84-92
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cebxitin (商品名マーキシン注射用, 以下CFX) は, 米国メノレク社によつてStreptomyces lactamduransが産生する. Cophamycin Cの誘導体として最初に開発された新しいCophamycin系抗生物質で, β-Lactarp環の7α位にMethoxy基を有するため, 各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である。
    本剤はクマム陰性桿菌4のうちでもEscherichia coli, Klebsiella, Proteusに対して強い抗菌力を示し,従来のCephaiospofin, Penicillin系抗生物質に耐性を宗す菌に対しても抗菌力を有する1~3)。
    CFXの通當投与量は1日2gから4gであり, これらの投与量を用いた本剤の各科領域にお6る臨床試験の検討がすでに報告されており4), そのなかで当教室における成績も報告されている5)。
    今回, 各種重症感染症に対して比較的大量, すなわち1日6g投与した症例を経験したので, その場合の有効性, 安全性忙ついて, 検討を試みた。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康一, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文 ...
    1983 年 36 巻 1 号 p. 93-102
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephem系抗生物質の経口剤としては現在Cephaloglycin (CEG), Cephalexin (CEX), Cephradine (CED), Cefatrizine, Cefaclor, Cefroxadineの6剤が市販されているが, CEGはCEXの出現以来使用量は激減しているが, 他5剤はPenicillin系抗生物質の経口剤と共に非常に多く用いられている現状である。
    Cefadroxil (CDX) は米国ブリストル研究所で開発された新しい経口用Cephem系抗生物質で, Fig.1に示すような化学構造で, CEX, CEDと同じくグラム陽性菌及び陰性菌に幅広い抗菌力を有していると言われている2, 3)。
    本剤はすでに1979年の第27回日本化学療法学会総会新薬シンポジウムにとりあげられ4), 成人での基礎的検討及び臨床評価が論じられ4), 又同年の第27回日本化学療法学会西日本支部総会で小児科領域においても種々の細菌性疾患に対する成績が発表されている5)。
    そこで私たちも本剤を小児の細菌感染症6疾患に投与し, その臨床効果, 細菌学的効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1983 年 36 巻 1 号 p. 103-110
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefsulodinは武田薬品工業中央研究所により開発された注射用合成セフェム系抗生物質で, 緑膿菌に対して特異的に優れた抗菌力を示すと報告されている1, 2)。今回われわれは, 臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    Cofsulodinのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論じられたとしても, 最終的には多くの起因菌について得たMIC値と, 薬剤使用による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMICを推定することが, 臨床的感受性検査の目的と考えられる。われわれはこの目的に沿うように, すでに金沢3~6) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告した。
    今回はCefsulodinについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1983 年 36 巻 1 号 p. 111-116
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Flavobacterium meningosepticumFlayobacterium属の1菌種で, グラム陰性桿菌で運動性がない。又, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌の1種である。
    本菌は元来ヒトの感染症の原因菌となることは極めてまれなもので, 平素無害菌と呼ばれるものの1つである。
    しかし, 最近では各種臨床材料からの検出率が次第に増加し, 感染防御能の低下したいわゆるCompromisedhostにみられるOPPortunistic infectionの原因菌として, 本菌による感染症例の報告も多くみられている1~4)。
    私共は以前に本菌によると思われた感染例を臨床細菌学的に検討し, 又各種抗菌薬感受性について検討し,報告した3)。
    今回は1981年の1年間に順天堂大学付属病院中央臨床検査室で臨床材料から検出された本菌の薬剤感受性を検討し, 併せて前回報告した成績と比較検討したので報告する。
  • 井上 松久, 益吉 眞次, 三橋 進
    1983 年 36 巻 1 号 p. 117-123
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbtaxime (CTX) はセフェムの母核7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位にα-(syn-Methoxyiminoaminothiazolyl) acetyl基を導入された新しい世代のセフェム系抗生物質であり, 前回, 本剤の臨床分離株に対する抗菌力, 殺菌作用, β-Lactamaseに対する安定性及びマウス感染治療効果について検討を行い, 優れた成績を得たことを報告した1, 2)。
    今回, 本剤の抗菌力を更に検討するためβ-Lactamase産生株に対する抗菌活性, R-plasmidに対する抗菌活性の影響, β-Lactamaseに対する結合親和性及びペニシリン結合タンパク質に対する結合親和性について, 各種薬剤と比較検討を行つたので報告する。
  • 阪口 勝亮, 村田 健二郎, 木村 雅英, 山ノ下 宇佐美, 下敷領 健二, 坂本 美也子
    1983 年 36 巻 1 号 p. 124-128
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (Claforan® CTX)は, 7-Aminocephalosporanic acid骨格の7位にAminothiazolyl核とMethoxyimino基を有する第3世代に属するセフェム系抗生物質である。グラム陰性桿菌に対する抗菌力は従来のセフェム系抗生物質に比べて, 格段に優れているが, グラム陽性球菌に対する抗菌力はやや低下している1, 2)。
    我々は, 関西医科大学病院において分離した腸球菌に対してCTXと, Ampicillin (ABPC)が, 1濃度ディスクの感受性平板上で相乗作用を認めたので, これに注目して腸球菌に対するCTXとABPCとの併用効果について検討した。
  • 大川 光央, 平野 章治, 中嶋 孝夫, 徳永 周二, 元井 勇, 黒田 恭一, 中村 武夫, 岩佐 嘉郎, 田近 栄司, 酒井 晃, 萩中 ...
    1983 年 36 巻 1 号 p. 129-149
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole sodium (CMD) は, 新しく開発された注射用セフェム系抗生剤である (Fig.1)。本剤は, グラム陽性菌に対する抗菌力を劣化させることなく, グラム陰性菌に対渉る抗菌力を増強し, そのため広い抗菌スペクトラムを有するのが特徴である1吻。本剤の基礎的, 臨床的評価は第26回日本化学療法学会の新薬シンポジウムでなされ, 抗菌剤としての有用性がほぼ確認されている5)。
    我々は, 尿路感染症 (以下, UTI) のうち難治性と言われる複雑性UTIに対する本剤の有効性,安全性及び有用性をCefmetazole sodium (CMZ)(Fig. 1) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討したのでその成績を報告する。
  • イヌの静脈内投与による亜急性・慢性毒性試験
    原 卓司, 西川 智, 宮崎 英治, 大黒 友路
    1983 年 36 巻 1 号 p. 150-173
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR) は, 協和醸酵工業株式会社東京研究所, 奈良ら1~3) によつて相模原の土壌から分離されたMicromonospora sagamiensis var. nonreducansによつて生産される新規アミノ配糖体系抗生物質である。すでに筆者ら4) は,本物質の筋肉内投与によるイヌの亜急性及び慢性毒性試験について報告したが, 今回, 静脈内投与によるイヌの亜急性及び慢性毒性試験を実施したので報告する。
    使用薬剤のMCRは,塩基性水溶性の白色粉末でFig.1に示す化学構造式を有している。
  • イヌの静脈内連続投与による投与局所の刺激性について
    原 卓司, 西川 智, 宮崎 英治, 大黒 友路
    1983 年 36 巻 1 号 p. 174-176
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質Micronomicin (MCR, KW-1062) の静脈内投与による局所刺激性を検討するため, 筆者らは前報1) のイヌにおける投与部位の損傷の程度を病理学的に検討したので報告する。なお, 本文, Table, Plate中の用量は, すべて力価衷示である。
    使用薬剤のMCRは前報において報告した, 塩基性水溶性の白色粉末である。
  • 静脈内投与によるラットの器官形成期投与試験
    原 卓司, 西川 智, 宮崎 英治, 大黒 友路
    1983 年 36 巻 1 号 p. 177-181
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR)は,協和醗酵工業株式会社東京研究所,奈良ら1~3)によつて相模原の土壌から分離されたMicromonospora sagamiensis var. nonreducansによつて生産される新規アミノ配糖体系抗生物質である。すでに筆者ら4) は, 本物質の筋肉内投与による生殖試験については報告*したが, 今回, 静脈内投与によるラットの器官形成期投与試験を実施したので報告する。
    使用薬剤のMCRは第1報, 第2報のイヌの静脈内投与試験のばあいと同一のものを使用した。
  • 秋吉 正豊, 奈良 哲次, 原 卓司
    1983 年 36 巻 1 号 p. 182-188
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR)を1日1回ずつ静脈内投与したモルモットの内耳に対する影響を明らかにするために, 25, 50, 100mg/kgの各投与群について耳介反射試験及び内耳の病理組織学的検索を行つて次の点を明らかにした。
    1. 聴覚系末梢のラセン器に対するMCRの毒性は弱く, 投与量の増加によつてもラセン器の外有毛細胞の消失の頻度の著しい増加や拡大はみられなかつた。
    2. 前庭器に対しては, MCRはラセン器に対するよりもより高い親和性を示していて, その親和性は投与量の増加につれて多少強くなる傾向を示した。
    3. 前回行つた筋肉内投与実験との比較考察では, MCRの毒性はラセン器では静脈内投与によつて増強する危険は少ないようであるが, 前庭器では静脈内投与によつて多少増強する可能性が示唆された。
  • 山下 錦也, 皆川 治重, 佐藤 清, 北浦 晧三, 岡地 諒
    1983 年 36 巻 1 号 p. 189-193
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR,サガミシン®) は緑膿菌に対してアミノ配糖体系抗生物質の中でも最も強い殺菌力を示すグループに入り, CPZより強い殺菌効果を示した。
    MCRはチェッカーボード法で緑膿菌に対してCPZとPIPCとの間に相乗効果を示し, 大腸菌に対してはCMZ, CFXとの間に相乗効果を示した。
    又MCRは緑膿菌の臨床分離株に対してPIPCとの間にFICindex 0.5以下で40.7%, CPZとの間に同じく44.4%の相乗効果を示した。部分的相乗効果を含めると全株が何らかの相乗効果を示した。一方, 大腸菌の臨床分離株に対しては部分的相乗効果を含めてCFXとの間に63.0%, CMZとの間に88.9%の相乗効果が認められた。
    更に, 緑膿菌に対するMCRとPIPC又はCPZとの間の相乗効果を増殖曲線から検討した。
  • 佐藤 清, 栗本 司, 岡地 諒
    1983 年 36 巻 1 号 p. 194-198
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床から分離された緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa F 4150株はMicronomicin (MCR) 及びGentamicin (GM) にはそれぞれ1.56mcg/ml, 6.25mcg/mlのMICを示し, Sisomicin, Dibekacin, Amikacin, Netilmicin, Tobramycin, Ribostamycin, KanamycinにはMICは25mcg/ml以上であつた。
    本菌を超音波処理した無細胞抽出液から得た粗酵素画分を用いて, 上記アミノ配糖体系抗生物質をCoenzyme A, ATP存在下でTris-HCl緩衝液 (pH 7.8) 中37℃, 3時間反応したところ, MCRは88%の残存力価が認められたがGMは33.6%に減少し, 他のアミノ配糖体系抗生物質はすべて完全に抗菌力を失つた。
  • 山田 規恵, 磯野 美登利, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1983 年 36 巻 1 号 p. 199-204
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (サガミシン(R)) は協和醗酵工業株式会社が発見, 開発したAminoglycoside系抗生物質で, 緑膿菌, Proteus, Serratia, 大腸菌, Klebsiella, Enterobacter, Staphylococcusなどに優れた抗菌力を有し, 強い殺菌力を示す2~7)。本剤は緑膿菌の持つAminoglycoside 6'-acetyltransferaseに対して極めて安定であることが知られている7)。
    著者らは尿路感染症からの新鮮分離株を用いてMicronomicinに対する感受性分布をAmikacin, Gentamicin, Cefmetazole, Cefoxitinを対照薬剤として検討したので報告する。
  • 平山 隆, 菊地 金男, 千葉 和男
    1983 年 36 巻 1 号 p. 205-208
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR, サガミシン(R)) は協和醗酵工業 (株) 東京研究所において発見された新Aminoglycoside系抗生物質で, その構造式はGentamicin (GM) に類似し, その抗菌スペクトラムは, ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性球菌及び緑膿菌, 変形菌, セラチア, 肺炎桿菌をはじめとするグラム陰性桿菌に対し強い抗菌力を有すると言われている1, 2)。本剤の体内動態, 物理的性状はGMに類似するが, 動物による安全性の研究ではGMに比較して毒性の弱いこと, 特にAminoglycoside系抗生物質で問題視される第VIII脳神経系及び腎臓に対する影響の弱いことが特徴的である3)。
    今回, われわれはMCRの試験管内抗菌力を検討し, 更に重症感染症に対してMCRの投与を試み, 臨床的検討を加えたので報告する。
  • 1983 年 36 巻 1 号 p. 209-212
    発行日: 1983/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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