The Japanese Journal of Antibiotics
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核磁気共鳴 (NMR) 法による数種化合物のβ-ラクタマーゼ活性阻害効果の比較
小原 康治塩味 陽子河野 恵
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1983 年 36 巻 10 号 p. 2763-2768

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抄録

ペニシリン (PC) やセファロスポリン (CEP) のドラッグデザインによつてβ-ラクタム抗生剤は抗菌力や抗菌域の飛躍的な拡大をみた。しかし一方で耐性菌が増加し, 耐性菌の産生するβ-ラクタマーゼは菌種により性質を異にしていることが分つてきた1~2)。
β-ラクタマーゼ (β-ラクタム環加水分解酵素) 活性の測定法についても種々の方法が検討され使われてきている3~10)。しかしながらこれらの方法はいずれもβ-ラクタム環の加水分解に伴つて生ずる2次反応に基づいて測定を行つており, β-ラクタム抗生剤の構造変化を直接解析するものではない。最近, 我々の開発したNMR法は, 有機化学の分野で繁用されている核磁気共鳴 (NMR) 分光器を利用し, β-ラクタム抗生剤の構造をNMRチャート上に描いた上で, D2O (2H2O) 中で酵素試料と混合し, 反応させて構造上の変化をプロトン (H) の変化として直接的に観察できるように考えられている11~14)。この方法は, 細菌の酵素液や, 凍結乾燥菌体や生菌を用いる系としてすでに具体化されており, ここではそれらを応用し, 生菌のβ-ラクタマーゼに対する阻害剤活性の測定を試みた成績について述べる。又, 阻害剤活性とその構造との関係について若干の考察を加えた。

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