The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 10 号
選択された号の論文の30件中1~30を表示しています
  • 第2報 Serratiopeptidaseの併用効果について
    石原 陽子, 北村 諭, 高久 史麿
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2665-2670
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 種々のβ-Lactam系抗生物質の開発に伴い, 感染症に対する化学療法におけるβ-Lactam系抗生物質の使用頻度も高くなつて来た。呼吸器疾患, 特に肺炎, 気管支炎, 気管支拡張症などの治療には抗生物質が繁用されており, 抗生物質の選択と使用方法などに関する的確な情報が要求されている。
    β-Lactam系抗生物質の1種であるCefotiam (CTM) は, インフルエンザ菌にも有効である薬剤として近年開発されたものである。著者らは, 前回β-Lactam系のSulbenicillinを用い, その肺・気管支内分布に関して検索を行い報告したが1), 今回も同様にCTMの肺・気管支内分布について検索し, 又同時に本薬剤の肺・気管支内分布に及ぼすSerratiopeptidase (TSP) の影響についても検索を行つた。
  • 日比 道昭, 阿部 稔雄, 村瀬 充也, 田中 稔, 竹内 栄二, 弥政 洋太郎
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2671-2674
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    心臓外科領域では, 人工血管や人工弁, 心内パッチ等の心臓内異物を使用することが多く, 細菌感染は致命的になる可能性が大きく, その防止のための適確な抗生物質の投与は極めて重要である。最近開発されたCephem系抗生物質Cefotiam (Pansporin (R), 以下CTMと略) はGram陽性球菌及びGram陰性桿菌に対して幅広く強い抗菌力を示すこと, 又腎毒性が少なく安全性が高いとされていることなどから, 心臓外科手術後の細菌感染の予防及び治療に最も適したものの1つと考えられ, すでに広く使用されている。しかしながら心臓外科領域において最も重要と考えられる心筋内濃度に関する臨床報告は少ない。そこで開心術症例において, CTMの血清中及び心筋内濃度を測定し, 心筋内への移行性に関する検討を行い若干の知見を得たので報告する。
  • 二木 隆, 小田 恂
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2675-2682
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    当科領域における疾病構造は依然として, 感染症がその主流を占め, 日常臨床においても, 絶えず起炎菌の検索とそれに対する有効薬剤の探求がなされている現状であり, 広域スペクトラムの薬剤使用にもかかわらず, 耐性獲得も早く, むしろその変遷はめまぐるしい程である。
    今回, 優れた抗菌力を持つ新たなセファロスポリン剤Cefotiam (CTM) を使用する機会を得たので, 標題の2疾患に適用, その結果をまとめてみた。
  • 佐竹 敬一, 谷野 徹, 内藤 丈士, 長舩 宏隆, 小松崎 篤
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2683-2687
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 耳鼻咽喉科領域の感染症起因菌はグラム陰性菌の占める割合が増加しつつある。
    特に耐性菌の増加が問題にとりあげられ, これらの菌に対し抗菌力及び抗菌スペクトラムを持つ抗生剤の開発が期待されている。
    今回, 従来のセファロスポリン系製剤に比べ, 特にグラム陰性桿菌に対し, より強い抗菌力を持つとされるCefotiam (CTM) を使用する機会を得たので, その有効性及び副作用等の点につき, 臨床的立場から報告する。
  • 佐藤 文彦, 橘 正芳, 斎藤 等, 水越 治, 西村 武重, 斎藤 章, 中村 明正, 大川 和春, 竹之内 智, 矢野原 邦夫, 水越 ...
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2688-2692
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に広い抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性桿菌中, Haemophilus influenzae, Enterobacter, Citrobacter, インドーール陽性.Proteusにまで抗菌スペクトラムを拡大した新しいセファロスポリン剤である。
    今回著者らは, 耳鼻咽喉科領域感染症に対し本剤を使用し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 馬場 駿吉, 和田 健二, 波多野 努, 木下 治二, 杉森 久一, 佐々木 亨, 宮野 和夫, 円山 宏洋, 滝本 勲, 稲福 繁, 野村 ...
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2693-2710
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    塩酸Cefotiam (以下CTMと略す) はグラム陽性菌, グラム陰性菌に対し強い抗菌力を持つ新しいセフェム系注射剤であり, その構造式はFig.1に示すようである。
    本剤に関する研究は, 基礎及び臨床にわたり多くなされており, それらのまとめは, 第26回日本化学療法学会総会において新薬シンポジウムとして発表された3)。又本剤はすでに内科4), 外科5), 泌尿器科領域6) で臨床応用されており, 1日0.5~2g投与にて優れた臨床効果が得られている。我々は今回多施設同一プロトコールにより耳鼻咽喉科領域各種感染症における本剤の臨床試験を実施したので報告する。
  • 杉山 正夫, 後藤 和彦, 大橋 淑宏, 中井 義明
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2711-2714
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は武田薬品中央研究所で創出されたCephalosporin系抗生物質で, その抗菌スペクトルは広範囲であり, 従来のCephalosporin剤では抗菌力を示さなかつたEnterobacter, Citrobacter, Indole陽性Proteusにまで拡大している。又病巣からの分離頻度の高いEscherichia coli, Klebsiella, Proteus mirabilisに対しても数段と強力な抗菌力を発揮することなど1~7) から, 耳鼻咽喉科領域においても臨床的な有用性が期待されている。
    今回, 我々は本剤の耳鼻咽喉科領域感染症に対する臨床検討の機会を得, 若干の成績を得たので報告する。
  • 武田 一雄, 吉田 政雄, 石田 達也
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2715-2720
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は本邦で開発された注射用セファロスポリン剤であり, 図1にその構造式を示した。本剤はStaphylococcus aureusをはじめとするグラム陽性菌からHaemophilus influenzae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, インドール陽性Proteusなどのグラム陰性菌にわたる広い抗菌スペ図1. CTMの化学構造式クトラムを有している1)。又これまでに本剤に関する多数の臨床試験が実施されており, 呼吸器感染症2), 尿路感染症3) 及び外科感染症4) に対する有用性が明らかにされている。
    今般われわれは耳鼻咽喉科領域における本剤の有効性並びに安全性を明らかにするために, 耳鼻咽喉科感染症に対する臨床検討を実施したのでその成績を報告する。
  • 夜陣 紘治, 原田 康夫, 竹内 實, 築家 大介, 野田 益弘, 平田 賢三
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2721-2729
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 耳鼻咽喉科領域の感染病巣からは, Staphylocoms aureus, Streptococcus pyogenesを中心とするグラム陽性球菌や, Proteus, Klebsiella, Pseudomonas aeruginosaなどのグラム陰性桿菌が分離される頻度が高くなつており, 耳鼻咽喉科感染症はますます複雑な病像を呈しつつあると言われている1)。このような複雑な或いは重症感染症に対しては, Cephalosporin系抗生物質の投与される頻度が高くなつて来ている。今回, 我々は新Cephalosporin系抗生物質であるCefotiam (CTM) を, 耳鼻咽喉科感染症に対して臨床応用する機会を得たので以下報告する。
    CTMは, 武田薬品, 日本チバガイギー社で開発された注射用Cephalosporin系抗生物質で, 7-ACAの7位側鎖にAminothiazole環, 3位側鎖にTetrazole環を持つ, Fig.1に示すような構造式を有している。本剤のin vitroにおける抗菌力は, 従来のCephalosporin系抗生物質に比べ, 特にグラム陰性菌に対して優れており, Indole陽性Proteus, Enterobacter, Citrobacter及びHaemophilus influenzaeにまで抗菌スペクトラムが拡大されているのが特徴である3, 4)。本剤の基礎的及び臨床的成績は, すでに第26回日本化学療法学会総会において発表されている2)。
    以下, 本剤の臨床成績の大要について報告する。
  • 中島 幹夫, 生駒 尚秋, 横山 道明, 鈴木 健男, 杉原 三郎
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2730-2732
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいCephalosporin系抗生物質であるCefotiam (以下CTM) は広範囲の抗菌スペクトルを持ち, グラム陽性菌だけでなく特にグラム陰性菌に対して有効とされている。静注により高い血中及び組織内濃度が得られ耳鼻咽喉科領域でも感染症への応用が推察されるが実際に感染病巣組織への移行を検討した報告は少ない。今回我々はCTMの上顎洞組織への移行を検討し, CTMの耳鼻咽喉科領域への応用につき検討を加えた。
  • 中島 格, 牧嶋 和見, 鳥谷 陽一, 村田 義治, 渡辺 宏, 金苗 修一郎
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2733-2741
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotiam (CTM) は, 武田薬品工業によつて開発された新しいセフェム系抗生物質である。本剤は, グラム陽性菌は言うまでもなく, グラム陰性桿菌特に従来のセファロスポリン剤で効果の期待できなかつたインドール陽性プロテウスやインフルエンザ菌にも有効であることが報告されている。
    今回, 著者らは他領域での効果が報告されてきた本剤を, 耳鼻咽喉科領域の感染症に対して投与し, その細菌学的効果及び臨床的効果を検討したので, その成績を報告する。
  • 古田 茂, 小幡 悦朗, 花牟礼 豊, 福田 勝則, 深水 浩三, 大山 勝
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2742-2749
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 感染症の起炎菌には, 従来のグラム陽性球菌に加えてグラム陰性桿菌の関与が増加しつつある。従つて, First choiceの抗生物質は, グラム陽性菌からグラム陰性菌まで広い抗菌スペクトラムを示すものが理想的で, 且つ安全性の高い薬剤である必要がある。武田薬品工業中央研究所において新しく開発されたCefbtiam (以下CTM) は新しいCephalosporin系抗生物質である。本剤は, 従来のCephalosporinとは違い, 7位側鎖に新規のAminothiazole環を持ち, 3位側鎖にTetrazole環を有すると言う構造上の特徴を備えている。そして, 非常に強いβ-Lactamase抵抗性を持つ薬剤である。又, in vitrol及びin vitroの薬効薬理試験において, グラム陽性菌からグラム陰性菌にわたる広範囲の抗菌スペクトラムを有すると言われている1)。これらの結果に基づき, 各方面において, 基礎的, 臨床的研究が報告されている1~4)。ところで, 耳鼻咽喉科領域感染症にやいては, 他領域のそれと同様に時代と共に, 起炎菌の変遷がみられる。その結果, 耐性菌やOpportunistic infectionの問題がクローズアップされ, しばしば難治性ないしは遷延化傾向のある感染症に遭遇し, その対策に苦慮しているのが現状である。
    今回われわれは, 耳鼻咽喉科領域感染症に対するCTMの臨床効果を検討すると共に, その体内動態についても若干の検討を試みたので, その成績を報告する。
  • 新井 俊彦, 鈴木 恵三
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2750-2756
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近の盛んなβ-Lactam剤の開発・使用によつて, 患者から分離される細菌種が変化していることが予想される。そこで, われわれの病院で, 尿路感染症患者の尿から検出された起因細菌種の年次的変化について集計調査した。又, 集計調査の対象にした主要菌株については, 代表的繁用抗生剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を求め, 現在の菌株はどのような薬剤に感受性であるかを検討した。
  • 佐久 一枝, 杉本 清, 内山 百合子
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2757-2762
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    下痢症の原因菌として最近注目されているCampylobacterはBUTZLER1) 又はSKIRROW2) らによつて選択培地が開発され, 又混合ガス培養法についてはキットの使用によつて, 従来よりも簡単な方法で臨床細菌検査室でも, 容易に分離されるようになつた。
    Campylobacter jejuniは下痢症患者から分離される率が高く, 特に小児においては高率である3, 4)。表1と表2は都立駒込病院における下痢症患者からの分離菌と分離率である。表に示されるようにCampylobacterの分離率は高くなり, 化学療法との関連も問題視されるようになつたので, われわれはCampylobacterのMIC測定に関する検討を行つた。本報では1980年1~12月に分離されたC.jejuniとCampylobacter coliのMIC及びβ-Lactamaseテストの成績を報告する。
  • 小原 康治, 塩味 陽子, 河野 恵
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2763-2768
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリン (PC) やセファロスポリン (CEP) のドラッグデザインによつてβ-ラクタム抗生剤は抗菌力や抗菌域の飛躍的な拡大をみた。しかし一方で耐性菌が増加し, 耐性菌の産生するβ-ラクタマーゼは菌種により性質を異にしていることが分つてきた1~2)。
    β-ラクタマーゼ (β-ラクタム環加水分解酵素) 活性の測定法についても種々の方法が検討され使われてきている3~10)。しかしながらこれらの方法はいずれもβ-ラクタム環の加水分解に伴つて生ずる2次反応に基づいて測定を行つており, β-ラクタム抗生剤の構造変化を直接解析するものではない。最近, 我々の開発したNMR法は, 有機化学の分野で繁用されている核磁気共鳴 (NMR) 分光器を利用し, β-ラクタム抗生剤の構造をNMRチャート上に描いた上で, D2O (2H2O) 中で酵素試料と混合し, 反応させて構造上の変化をプロトン (H) の変化として直接的に観察できるように考えられている11~14)。この方法は, 細菌の酵素液や, 凍結乾燥菌体や生菌を用いる系としてすでに具体化されており, ここではそれらを応用し, 生菌のβ-ラクタマーゼに対する阻害剤活性の測定を試みた成績について述べる。又, 阻害剤活性とその構造との関係について若干の考察を加えた。
  • 大島 信一, 菊入 剛, 村上 匡, 氏家 昭, 伊藤 長英, 矢嶋 戦, 新田 幸夫, 丹呉 幹彦, 一島 嘉明, 荻 光春, 久世 彰彦 ...
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2769-2812
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefamandole sodium (CMD) は, 1972年にEli Lilly社によつて創製された注射用セラァロスポリンC系誘導体 (Fig.1) で, グラム陽性菌にCefazolin sodium (CEZ) の数倍の抗菌力を有すると共に, グラム陰性菌にもCefmetazole sodium (CMZ) に近似した強い抗菌力を示し, 又, Haemophilus influenzaeに対してはAmpicillin sodium (ABPC) に匹敵する抗菌力を持つ1~5)。
    本剤に関して, 本邦においてすでに多くの研究が行われ, 昭和53年度の第26回日本化学療法学会総会において, 基礎的・臨床的検討による評価が行われた4~9)。
    更には, 既報のように我々の研究班において, 本剤の細菌性肺炎・肺化膿症 (肺炎群) 及び慢性気道感染症の急性増悪期 (慢気群) に対する臨床上の有用性についてCEZを対照薬として二重盲検法による比較試験を行い, 本剤はCEZに比べて, 同等又はそれ以上の有用性の高い薬剤であるとの評価がなされている11)。
    今回, 著者らはあらためて第2世代を代表するセラァマイシン系注射用抗生剤であり, 内外の臨床家において呼吸器感染症に対するその有用性が高く評価され, 現在繁用されているCMZを対照薬として表題のように上記感染症に対する同様の検討を行つたので報告する。
  • 前山 拓夫, 橋本 真実, 小川 敬, 花牟礼 豊, 清田 隆二, 黒野 祐一, 飯田 冨美子, 大堀 八洲一, 小川 和昭
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2813-2819
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Aminoglycoside (AG) 剤は本邦では主に筋注で用いられているが, 諸外国ではすでに点滴静注が行われており1~4), 本邦でも必要症例に対するAG剤の点滴静注の報告がなされている5~16)。こうした趨勢下に, 術後症例を対象にAG剤であるAmikacin (Biklin®, 略号AMK) の点滴静注を行いAG剤の臨床上重要な副作用である聴器及び腎障害について検討した。
  • 小池 晧弌, 大嶋 勉
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2820-2824
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 産婦人科領域における感染症に対する抗生剤の使用機会がますます増える傾向にある。抗生剤の使用に際しては, 投与指標として抗生剤の血中濃度, 組織への移行濃度, MICなどを参考としているのが現状である1)。従つて, それぞれの抗生物質の組織への移行濃度を知ることは抗生物質の投与にあたり重要な点である。
    今回, われわれは富山化学工業株式会社綜合研究所で開発されたペニシリン系抗生物質であるPiperaciliin (以下PIPCと略す) 2) の2g One shot静注投与を行い, 血清中及び骨盤死腔排液中への移行濃度を経日的に測定し検討したので報告する。
  • 特にLatamoxefの検討
    飯田 秀治, 井上 育夫, 山森 秀夫, 滝沢 淳, 伊藤 文雄, 香田 真一
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2825-2832
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児虫垂炎は小児急性腹症のうちでも乳児期以降では最も頻度の高い疾患でありながら, 早期診断がしばしば困難で, 更に発症から比較的短時間に穿孔をおこすため, 穿孔性腹膜炎として手術される症例も多い1~8)。小児では1度穿孔すると大網の発達が未熟なため, 汎発性腹膜炎となり重篤となる傾向が強い。しかし近年小児外科の発達に伴い全身管理の向上により死亡例は極めて稀になつたが, 未だ術後の合併症, 特に創感染, 創移開などの創治癒の遷延や遺残膿瘍, 癒着性イレウスなどの再手術を必要とする合併症も多く治療上の問題を残している。我々は小児虫垂炎の術後合併症は嫌気性無芽胞グラム陰性桿菌のBacteroides fragilisに感受性の少ない抗生剤を使用した症例に高頻度に発症していることに注目し, 虫垂炎術後の抗生剤療法はB.fragilisに高い感受性を有する抗生剤の使用が重要であると報告してきた1, 4)。我々はこれまでに小児虫垂炎, 特に穿孔性虫垂炎の術後抗生剤療法としてLincomycin (LCM) とGentamicin (GM) やTobramycin (TOB) などのAminoglycosideとの併用療法を行い, 術後の合併症の減少に務めて来た。そして最近開発された所謂る第3世代のCephem系Latamoxef (LMOX) が大腸菌などの好気性グラム陰性桿菌と嫌気性のB.fragilisの両者に強い抗菌力を持つことに着目し, 小児虫垂炎の術後抗生剤療法としてLMOXの単独投与を行い良好な結果を得たので報告する。
  • 斎藤 正人, 吾妻 共子, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2833-2843
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sisomicin (SISO) は放線菌Micromonospora inyoensisの産生するAminoglycoside系抗生物質である1)。
    Aminoglycoside系抗生物質は同じ蛋白合成阻害作用を示すMacrolide, ChloramphenicolあるいはTetracycline系抗生物質と異なり, 短時間内に非常に優れた殺菌作用を示す。しかし, 第8脳神経障害や腎毒性などの副, 作用を有するために臨床的に使用する場合には注意が必要と思われる。
    最近いわゆる第3世代に分類されるCephem剤が臨床的に頻繁に使用されてきている。相乗効果による抗菌力の増強あるいは副作用の軽減などの目的で, これらの第3世代のCephem剤とAminoglycoside系抗生物質との併用が考えられる。我々は前報2) ですでにPseudomonas aeruginosa及びSerratia marcescensに対してSISO, GentamicinとPiperacillin, Cefmetazole間に併用効果があることを報告したが, 今回我々は第3世代のCephem剤としてCefotetan, Cefbtaxime, Latamoxef及びCefsulodinを, Aminoglycoside系抗生物質としてSISO及びDibekacinを用い, これらの薬剤間のin vitroにおける併用効果についてEscherichta coli, S.marcescens並びにP.aeruginosaを試験菌として検討を行つたので報告する。
  • 出口 浩一
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2844-2848
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinの経口剤 (Fosfomycin calcium, 以下FOM) の臨床細菌学的有用性を検討するために, 耳鼻咽喉科領域似下耳鼻科領域) の各種感染症患者採取材料から検出された臨床分離株を用いて, FOMと対照剤に対する感受性を検討した。耳鼻科領域の感染症で起炎菌となり得る大部分の菌種1, 4) が, FOMのMIC80で3.13~6.25μg/mlと安定した感受性を示したが, 対照として検討したPipemidic acid (PPA) に対しては, Pseudomonas aeruginosaの感受性の減退傾向がみられ, Ampicillin (ABPC) に低感受性を示すHaemophilus influenzaeのβ-Lactamase産生株, Cephalexin (CEX) に低感受性を示すStaphylococcus aureusの増加傾向が現われていた。
    以下, 今回の検討で得られた成績を報告する。
  • 渕上 達夫, 大滝 厚子, 藤田 之彦, 与座 明雄, 梁 茂雄, 西山 宣子
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2849-2855
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1977年, SKIRROW1) による新しい選択培地の開発により, 便細菌培養からCampylobacter jejuniが検出されはじめ, 近年小児細菌性下痢症の起因菌として重視されるようになつてきた。当科でも1981年5月から1982年9月までの17ヵ月間にC.jejuni203例を検出した。
    今回著者らは, C.jejuniに対する薬剤感受性試験の結果, 現在までに多数例検討した報告がないFosfomycin (FOM) に非常に良好な感受性が得られた。更に小児C.jejuni腸炎45例につき臨床的効果を検討し, 有効性を認め, 又下痢症状改善及び菌陰性化までの期間などにつき検討したので, 若干の文献的考案を加え報告する。
  • 豊永 義清, 杉田 守正, 黒須 義宇, 堀 誠
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2856-2868
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児における化学療法の特殊性は年令が幼若な程きわだつており, 殊に新生児, 未熟児, その中でも生後1週間未満のものにあつては, 諸種の問題を考慮せねばならない。すなわち, 肝腎機能の未熟性のため, 抗生物質の排泄が遅延し代謝の面でも年長児に比べ, 代謝が異なることもあり得る。更に, 抗生物質の蛋白結合の問題, ビリルビンとの競合による黄疸の増悪についても考えねばならない。
    アミノ配糖体系抗生物質はPseudomonas aeruginosa及び他のグラム陰性桿菌の感染症の場合, 最も信頼し得る薬剤であり, 他系抗生物質無効の際には単独あるいは併用療法として使用されている1, 2)。しかし本系の薬剤は, 周知のように高い血中濃度を維持する場合, 腎障害, 聴神経障害を起しやすく, 本邦では, 筋肉内投与だけが許可されているのが現状である。
    しかし, 特に小児においては, 抗生物質の投与は, 筋肉内投与においては筋拘縮症の問題があり, 一般的には静脈内投与がなされていることが多い。しかし小児科領域におけるアミノ配糖体系抗生物質の薬動力学の検討はあまりなされていない。我々はTobramycin (TOE) について, 学童期における静脈内投与時の安全性及び臨床的効果について報告3) をしたが, 今回, 新生児, 未熟児について更に検討を加えたので報告する。
  • 田中 真由美, 河端 繁勝, 西野 武志, 谷野 輝雄
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2869-2880
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗菌剤の併用は, その協力作用, 起炎菌の耐性化の防止, 副作用の軽減などの目的で, 種々検討されてきた。特にβ-ラクタム系抗生物質とアミノ配糖体系抗生物質との併用では種々のグラム陰性桿菌に対して, 広く協力作用が認められ, 臨床的にも広く使用されている1~8)。
    又, 新しくβ-ラクタマーゼに安定な薬剤として開発されたセファマイシン系抗生物質とアミノ配糖体系抗生物質とのin vitroでめ併用においても, その協力作用と拮抗作用について報告されている9, 10)。
    今回, 私どもは, セファマイシン系抗生物質であるCefoxitinと, アミノ配糖体系抗生物質であるAmikacin, Gentamicin, Dibekacinを用いて, 協力作用の有無を, iin vitro及びin vitroについて検討を行い, 2, 3の知見を得たので報告する。
  • 南 信行, 宇野 伸郎, 片山 直之, 片岡 吉貴, 神尾 典彦, 岩田 吉史, 田中 公, 仮谷 嘉晃, 白川 茂
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2881-2886
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoxitin (商品名マーキシン注射用, 以下CFX) は, Streptomyces lactamduransが産生するCephamycin Cの誘導体として開発されたCephamycin系抗生物質である1)。本剤の抗菌スペクトラムは, グラム陽性菌からグラム陰性菌の広範囲にわたり, 特に, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus, Serratia等のグラム陰性桿菌及び従来のCephalosporin, Penicillin系抗生物質には感受性のないBacteroides fragilisに対しても優れた抗菌力を示すことが注目されている2, 3)。又, β-Lactamaseに対して極めて安定であり, β-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌作用を発揮することが知られている4)。
    今回, 我々は造血器腫瘍疾患の経過中に合併した難治性感染症に対してCFXを投与し, その臨床効果, 肝機能, 腎機能に及ぼす影響について検討する機会を得たので, その結果を報告する。
  • 藤田 信一, 吉田 知孝, 尾角 信夫, 松原 藤継
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2887-2892
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 従来の抗生剤よりも抗菌力が強く, 広い抗菌スペクトルを有する薬剤が多数開発され使用されつつある。特に, 最近市販されたCefotaxime (CTX Claforan (R)) はCitrobacter, Enterobacter, Serratia, Pseudomonas aeruginosa, 嫌気性菌等にも強い抗菌力1) を有している。一方, CTX耐性菌の分離頻度は同一菌種であつても報告者により著しく異なる1) ことから, 各々の施設において薬剤感受性の動向を把握しておくことが感染症の治療に極めて重要である。又, 臨床検査室ではディスク法により感受性試験が行われていることから, ディスク法による感受性結果と最小発育阻止濃度 (MIC) との関係を明らかにしておく必要がある。
    今回は臨床材料からの主要分離菌に対するCTXとその他のセフェム系抗生剤 (CEPs) の抗菌力をMICの測定とディスク法により検討したのでその結果を報告する。
  • 椿尾 忠博, 金山 良男, 米沢 毅, 木谷 照夫, 谷口 信博, 正岡 徹, 柴田 弘俊, 堀内 篤, 長谷川 廣文, 川越 裕也, 篠原 ...
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2893-2900
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Seventy-five patients with severe infection accompanying hematologic disorder, including leukemia and malignant lymphoma, were treated with cefotaxime (CTX).
    CTX was administered by intravenous drip infusion at a daily dose ranging from 4 to 16 g for terms of 3 to 21 days. The total doses were ranged from 12 to 226g.
    The results obtained were as follows:
    1. Clinical effects: Excellent in 20 cases, good in 21 cases, fair in 7 cases and poor in 27 cases. The efficacy rate was 54.7% (41/75).
    2. Clinical effectiveness on isolated organisms (27 cases): In single infection (21 cases), the efficacy rates were 80% for Gram-positive cocci, including S. aureus and 63.6% for Gram-negative bacilli other than P. aeruginosa. In mixed infection (6 cases), the rate was 50.0%.
    3. There were no significant differences in the efficacy rates for those patients who were grouped by the initial number of neutrophil (less than 100, 101-500 and over 501/mm3).
    3. There were no significant difference in the efficacy rates for those patients who were grouped by the initial number of lymphocyte (less than 500 and over 501 /mm3).
    5. Side effects and abnormal laboratory findings: One case of skin rash and 2 cases of elevated GOT and GPT were observed.
    CTX was therefore considered as a clinically useful antibiotic for the severe infections even in neutropenic state in patients suffering from malignant hematological diseases.
  • 斎藤 博, 山田 和義, 後藤 由夫, 小林 正資, 堀米 賢, 中野 昇, 酒井 秀章, 北村 英武, 佐藤 英幸, 斎藤 不二夫, 阿部 ...
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2901-2912
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotaxime (CTX, Claforan (R)) は新注射用Cephem系抗生物質で1), 構造上の特徴としてはFig.1の構造式で示すように, 7-Aminocephalosporanic acid (7-ACA) の7位にアミノチアゾール核とメトキシイミノ基を有することにある。本剤はβ-Lactamaseに対する安定性が極めて高く2), 抗菌力を従来のCephem系抗生物質と対比すると, グラム陽性菌のブドウ球菌には他剤と同程度, 溶連菌には優れた抗菌力を示し, グラム陰性菌, 特に腸内細菌に対しては極めて強い抗菌力を示す。これに加えて緑膿菌に対してもCarbenicillinより強い抗菌力を有していると言われている3)。これら優れた抗菌力を有するCTXは特に難治性の感染症の治療に極めて有益であると考えられるので, 今回我々は, 種々の基礎疾患を有する感染症を中心に検討し, その有用性について若干の知見を得ることができたので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2913-2920
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR) は協和醗酵工業 (株) において発見・開発された新しいアミノグリコシド系抗生物質である1~3)。本剤はGentamicinと抗菌性, 体内動態などはほぼ同様である4) が, アミノグリコシド系抗生物質で問題視される第VIII脳神経系及び腎臓に対する影響が, 同系の抗生物質の中でもかなり弱いことが報告されている5~7)。又, 本剤は6'-アミノ基にメチル基がついているので, 近年Serratia sp.などで増加傾向にあるとされるAAC (6')-IVにも不活性化されない長所があり, 臨床的にも今後広く使用されるアミノグリコシド剤の1つと考えられる。
    MCRのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に, 将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが臨床的感受性検査の目的と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢9~12) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告した。今回はMCRについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 朴沢 孝治, 渋谷 守, 湯浅 涼
    1983 年 36 巻 10 号 p. 2921-2924
    発行日: 1983/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin sulfate (MCR) is a new aminoglycoside antibiotic, and its antibacterial spectrum is similar to that of gentamicin (GM).According to the animal test, MCR has less ototoxicity than other aminoglycoside antibiotics such as GM.To check its clinical ototoxicity, MCR was given intramuscularly to20patients at dose o120-240mg/day, respectively for 8 days, and audiometry was carried out before and after administration of MCR.No evident change was detected between the preadministration hearing levels and the postadministration hearing levels.These data suggest that MCR is sufficiently safe in ototoxicity within dose of 120mg/day for 4days.
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