The Japanese Journal of Antibiotics
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婦人科領域の嫌気性菌感染症に対するTinidazoleの臨床的検討
張 南薫福永 完吾國井 勝昭出口 浩一
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1983 年 36 巻 12 号 p. 3325-3335

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抄録

婦人の性器感染症では, 腟内, 頸管下部の細菌が上行性に感染して発症することが多いが, この部位には嫌気性菌が多数常在しており, 性器感染症における嫌気性菌の検出頻度はより高くなつて来ていることが知られている。この治療又は予防には, Nitroimidazole系薬剤の投与が行われており, 効果が認められている。
今回, われわれはNitroimidazole系薬剤であるTinidazole (TDZと略) を投与することによつて婦人性器の嫌気性菌感染症を治療し, いくつかの検討を行つた。
Tinidazoleは, 米国ファイザー社で開発された抗トリコモナス剤で, 化学名1-2-(Ethyl。sulfonyl) ethyl-2-methyl-5-nitroimidazoleといい, 分子式C8H13N3O4S, 分子量247.27である。
本剤は本邦では抗トリコモナス剤として開発され, 広く普及しているが, 嫌気性菌に対しても強い抗菌力を有しており, 海外をはじめ本邦でもその効果は広く認められている2)。われわれの経験では婦人科領域からの検出菌に対し, 0.20~3.13μg/mlで大部分の菌の発育を阻止しており, 嫌気性菌に対しては優れた抗菌力を有することが判る。
本研究は, このTDZを婦人科的性器感染症に対して投与し, 種々の細菌学的, 臨床的検討を行つたもので, 以下の結果を得たので報告する。

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