The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 12 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
  • 張 南薫, 福永 完吾, 國井 勝昭, 出口 浩一
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3325-3335
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    婦人の性器感染症では, 腟内, 頸管下部の細菌が上行性に感染して発症することが多いが, この部位には嫌気性菌が多数常在しており, 性器感染症における嫌気性菌の検出頻度はより高くなつて来ていることが知られている。この治療又は予防には, Nitroimidazole系薬剤の投与が行われており, 効果が認められている。
    今回, われわれはNitroimidazole系薬剤であるTinidazole (TDZと略) を投与することによつて婦人性器の嫌気性菌感染症を治療し, いくつかの検討を行つた。
    Tinidazoleは, 米国ファイザー社で開発された抗トリコモナス剤で, 化学名1-2-(Ethyl。sulfonyl) ethyl-2-methyl-5-nitroimidazoleといい, 分子式C8H13N3O4S, 分子量247.27である。
    本剤は本邦では抗トリコモナス剤として開発され, 広く普及しているが, 嫌気性菌に対しても強い抗菌力を有しており, 海外をはじめ本邦でもその効果は広く認められている2)。われわれの経験では婦人科領域からの検出菌に対し, 0.20~3.13μg/mlで大部分の菌の発育を阻止しており, 嫌気性菌に対しては優れた抗菌力を有することが判る。
    本研究は, このTDZを婦人科的性器感染症に対して投与し, 種々の細菌学的, 臨床的検討を行つたもので, 以下の結果を得たので報告する。
  • 岡崎 武二郎
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3336-3342
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, Penicillin耐性淋菌が国内で高頻度に検出されるようになり1, 2), 淋疾の治療における薬剤選択が問題になりつつある。このような現状から, 今回グラム陰性桿菌に対して優れた抗菌力を有し3), β-Lactamaseに安定4) な第3世代のCephem系注射剤Ceftizoximeの臨床分離淋菌に対する抗菌力及び男子淋菌性尿道炎に対する臨床効果について検討した。
  • 夏目 紘, 金井 茂, 三矢 英輔, 三宅 弘治
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3343-3348
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbuperazone (CBPZ) は富山化学工業 (株) 綜合研究所で開発された新しい注射用Cephamycin系抗生剤で, その構造式はFig.1のとおりである。
    本剤は各種細菌のβ-Lactamaseに安定で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有する。特にEnterobacter, Serratia marcescens, Proteus, Bacteroidesなどに対しては従来のCephem系抗生剤に比べて更に強い抗菌力を示し, 且つin vitroよりin vitroの効果の優れている1) と言う特徴がある。
    今回我々は尿路感染症に対し本剤を投与しその臨床効果及び副作用について検討したので報告する。
  • 塩基性アミノ酸を含むα-アシルテトラペプチド類の合成と抗菌活性 第9報
    伊藤 秀雄, 土田 良雄
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3349-3354
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者らは抗菌性ペプチドの研究の一環としてこれまでに, LysineあるいはGlutamic acidを含む直鎖状又は分枝状α-アシルテトラペプチド類を合成し, これらの化合物について抗菌試験を実施し, 化学構造と抗菌性との相関関係を報告してきた1-6)。
    今回, 先に報告したAcyl-Lys-Lys (Thr)-Glu-OH類 (I) 5) と抗菌活性を比較する目的で, Iと同じアミノ酸残基及び同一脂肪酸から構成されるが, 構造的に側鎖ThreonineとC端Glutamic acidとを置換した分枝状α-アシルテトラペプチド類 (9a~c) の合成を試みた。又これらの化合物について抗菌試験を施した結果, 化学構造と抗菌活性との相関関係及びIと9a~cとの抗菌性を比較検討し, 若干の知見を得たので報告する。
  • TOSHIMITSU UCHIYAMA, MADELEINE LEMEIGNAN, PAUL LECHAT
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3355-3358
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    In our previous study on aminoglycoside antibiotic-induced skeletal neuromuscular blockades, we have reported that kanamycin sulfate (KM) has more preferential presynaptic antireleasing action of acetylcholine than gentamicin and neomycin 1-3) and the calcitonin-induced hypocalcemia potentiates presynaptically KM-induced neuromuscular blockade2, 4).In the train of these studies, we noticed that there was a discrepancy between the total infused dose of KM and the strength of its pharmacological actions.When continually and intravenously infused a solution of lower concentration of KM, much higher infused dose was required to induce the same extent of neuromuscular blockade than that of higher concentration.Although this might be explained by the rapid renal elimination rate of the infused KM, there arised a question of KM pharmacokinetics in its plasma levels and its tissue levels probably implicating its properpharmacological actions (neuromuscular and cardiovascular depressions): The plasma level can directly express the tissue level in continual infusion of KM? This question led us to examine the interrelations of the infusion rate, the concentration of infused solutions, the plasma level and the neuromuscular blocking action of KM.
  • 90mg×2/日と60mg×3/日の臨床比較試験
    中川 昌一, 斎藤 玲, 吉谷 秀一, 増山 栄一, 菊入 剛, 氏家 昭, 伊藤 長英, 矢嶋 戦, 鎌田 等, 丹呉 幹彦, 一島 嘉明 ...
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3359-3391
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tobramycin (以下TOBと略す) はStreptomyces tenebrariusが産生するアミノグリコシド系抗生物質で, 1970年アメリカEliLilly社研究所で開発されたものであり1), 化学構造式はFig.1に示した。化学名はO-3-Amino-3-deoxy-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-O-[2, 6-diamino-2, 3, 6-trideoxy-α-D-ribo-hexopyranosyl-(1→6) 】-2-deoxy-L-streptamineで, 分子式はC13H87N5O9, 分子量は467である。本剤の作用機序はGentamicin (GM), Dibekacin (DKB) などと同様に細菌の蛋白合成阻害作用を有し, Staphylococcus aureus, Pseudomonas aeruginosa, Escherichia coli, Proteus sp. Klebsiella sp.Enterobacter sp.などの各種グラム陽性及び陰性菌に対して優れた抗菌力を示し2), 各種感染症に繁用されている。アミノグリコシド系抗生物質特有の副作用として第8脳神経障害, 腎障害などがあるが, その程度はGMに比べ弱いと言われている3, 4)。
    今回, 我々はより適正な投与方法を検討するため, 呼吸器感染症に対するTOB 1回90mg 1日2回投与 (以下90mg群と略す) の有効性, 安全性を検討する目的で, TOBの承認用法・用量である1回60mg 1日3回投与 (以下60mg群と略す) を対照として, Well controlled comparative studyを実施し, 興味ある成績を得たので報告する。
  • 藤田 公生, 藤田 弘子, 阿曽 佳郎
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3392-3394
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体系抗生物質は腎毒性, 聴器毒性が強いためにいわゆる治療量の範囲が狭く, 特に腎機能障害例を扱うことの多い尿路感染症においては原疾患による腎機能の低下がアミノ配糖体系抗生物質の体内蓄積, 毒性を助長すると言う関係にあり, 臨床使用における1つの問題点となつている。
    近年, 比較的低分子物質であるホスホマイシン (FOM) が, それ自体抗菌力をもつと共にアミノ配糖体系抗生物質の腎毒性を予防すると言う報告が散見される1, 2)。そこでわれわれもこの点に関連して動物実験を試みた。
  • 静脈炎を中心として
    渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 今野 淳
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3395-3398
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年抗生物質の進歩は特にセフェム系抗生物質において著しく, いわゆる第2, 第3世代と言われる一連の薬剤が実用化されるに至つている。しかしながらこれらの薬剤は全般的にグラム陽性球菌に対する抗菌力がいわゆる第1世代の薬剤より劣つており, 又副作用が多い傾向もみられる。一方, 私共が研究対象としている呼吸器感染症の起炎菌の傾向として次第にグラム陰性桿菌が増加しつつあるもめの依然としてブドウ球菌, 肺炎球菌等のグラム陽性球菌の比率は高く, 又新世代薬剤の使用量の増加に伴つて再び増加する傾向もみられる。従つて呼吸器感染症に対する第1世代の薬剤の価値は依然として高く, 今後も大きぐ低下することはないと考えられる。第1世代の薬剤の中でもCephapirin (CEPR) はCephalothin (CET) と比較して副作用, 特に静脈内投与の際の静脈炎の発現比率が低いとされている1~4)。しかしながら, これらの成績の多くは重症感染症症例での広域合成ペニシリンやアミノ配糖体系抗生物質との併用によるものが主であり, 単独投与による成績は少ない。今回, 私共は中等症を中心とする呼吸器感染症を主な対象として単独投与によるCEPRとCETとの静脈内投与による副作用発現比較試験を行い, 特に静脈炎を中心として副作用の解析を行つたので以下に報告する。
  • 藤田 信一, 吉田 知孝, 尾角 信夫, 松原 藤継
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3399-3404
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    起炎菌の分離と同定, 更に薬剤感受性の結果により抗生剤を選択することが感染症治療の原則である。しかし, 重症の感染症症例では細菌検査のための材料採取が行われると直ちに起炎菌を推定して抗生剤投与が開始される。この起炎菌不明の時期に適切な抗生剤を選択するためには感染病巣や患者の病態に加えて分離材料別に分離菌の推移と薬剤感受性の動向を把握しておく必要がある。更に近年, 耐性菌の増加が指摘1~3) されているが, 耐性菌の分離頻度は薬剤の使用状況, 院内感染の有無等に影響されることから薬剤感受性の集計はできるだけ多くの施設において行われる必要がある。今回は血中分離株を中心にその推移と耐性菌の分離状況について検討したのでその結果を報告する。
  • 喀痰中濃度に関する考察
    野口 行雄, 田口 幹雄, 隆杉 正和, 坂本 翊, 松本 慶蔵
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3405-3411
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    日本人の平均寿命1) の長さが男女とも世界のトップクラスにある今日, 呼吸器疾患の罹病者の年令分布も高令者に多い傾向を示していることは, 私共の日常の診療活動を通して実感していることである。産業活動の興隆に伴う工場の排煙, 増加する自動車の排気ガス等の大気汚染2) は, 規制がなされているとは言え高令者の肺を襲い, 肺に障害を与えていることも否定できない。特に喫煙者は長期にわたる喫煙の結果による肺のコンプライアンスの低下にかかる障害因子が加わり, 気道の過分泌をきたし, 細菌感染の好適の場となつている。それ故呼吸器感染症, 特に慢性呼吸器感染症の増加をもたらしている。又腎機能, 肝機能などが生理的にも低下している高令者の場合, 抗生物質の全身投与に際してはその投与量を適宜調節して用いねばならない。従つて投与量を減らせると言うことと, それによる他臓器に対する影響を軽減し得ると言う2つの意味でも抗生物質の局所投与は, 特に高令者にとつて意義のあることと思われる。
    私共は抗生物質の吸入療法の基礎となる肺における抗生物質の吸収に関する研究3) を行い, 重要な発見をし報告した。すなわち, アミノ配糖体剤が経気管支的に肺内に投与された場合, その吸収の場は主として肺胞にあること, ペニシリン剤, セファロスポリン剤の吸収の場は主として気管支にあると言う事実の発見である。更に, 抗生物質の全身投与時の肺における分泌部位が, 吸収部位と一致するとの仮説が成立すれば, 説明しやすい事実が多いと言うことの指摘である。従つて, このことから呼吸器感染症にアミノ配糖体剤を全身投与で用いる場合, 起炎菌の因子を度外視して考えれば, 肺炎がその第1の適応となり, 気道感染症に対してはβ-ラクタム剤に併用して用いる以外, 単独ではほとんど用い得ないと考えられる。アミノ配糖体剤を気道感染症に対して用いる場合には局所療法, すなわち一般にはネブライザー吸入療法を行うことが最も理にかなつた用い方と言えよう。
    Streptomycinに始まつたアミノ配糖体剤の歴史は, Gentamicin (GM) で抗菌スペクトラムが広く, 強い抗菌力を有するようになり, その後次々に新しい優れた薬剤が発見されてきた。私共はその中の1つであるDibekacin (DKB) を用いて, 上記の事由により超音波ネブライザーによる吸入療法に関する研究を行つた。
  • 微量試料にて可能な測定法の検討
    西代 博之, 中西 昌美, 葛西 洋一, 橋本 伊久雄, 沢田 康夫, 中村 孝, 畚野 剛, 前田 憲一
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3412-3421
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Concentrations of cefotiam (CTM) in the exudate after abdominal operation were studied. The exudates were collected by 6 mm paper discs and the antibiotic concentrations were determined by the paper disc method using Proteus rettgeri ATCC 9250 as test organism. Comparison between agar well and paper disc assay for CTM in ascites specimens showed good correlation. Two grams of CTM was intravenously given to the patients after abdominal operations. The concentration of CTM in the exudate for 6 hours after injection was 0.4-14.2μg/ml and this value exceeded the antibacterial level of CTM.It is, therefore, concluded that CTM will be effective for the postoperative prophylaxis.
  • Cefbtiam髄液内移行から
    今川 健司, 野村 隆吉, 浅井 昭, 林 誠之, 戸田 稲三, 川崎 道朗
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3422-3428
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域での術後感染における頭蓋内感染症のなかでも髄膜炎の予防を目的として, 手術に際し消毒操作を徹底し無菌的な状態にする一方, 抗生物質の全身投与が行われている1, 2)。
    抗生物質は全身投与により循環系を経て各臓器に移行するので, 各臓器の濃度が実質的な濃度として重要視されている。中枢神経系への移行については, 従来から正常な髄液循環動態では, Chloramphenicol, Sulfonamide, Tetracycline以外の抗生物質は, 全身投与の場合, 血液, 脳及び脳脊髄液関門のためにほとんど髄液中に移行しないか, 移行しても少量であるとされている3~8)。
    一方, 脳神経外科領域で何らかの侵襲が加わつた場合の髄液内移行は, 手術侵襲, 疾患などの条件が, 血液, 脳及び脳脊髄液関門の程度にも反映されることが考えられる。
    そこで, われわれは, 広域抗生剤で安全に使用できるCephem系薬剤であるCefotiam (以下CTMと略す) を全身投与し, 経時的に髄液内濃度を測定し, 抗生物質の予防的投与法につき検討した。
  • 宮野 武, 新井 健男, 駿河 敬次郎, 西遠寺 克
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3429-3436
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    先天性胆道閉鎖症 (以下CBAと略) の治療成績は年々向上しつつあるものの未だ幾多の困難な問題点を残している。特に長期生存例の増加に伴い, 門脈圧亢進症の合併が問題となりつつあるものの, なお根治術後早期及び長期の治療成績に影響を与える最も重要な因子として, 術後の逆行性胆管炎がある。
    この胆管炎の予防及び治療に際しては, 抗生剤投与が最も重要であることは言うまでもない。しかしながら, 小児期の抗生物質の胆道への排泄に関する研究は極めて少なく1~3), 特に肝機能障害を有する小児, ましてCBA症例における抗生物質の胆汁中移行に関する報告は極めて少ない4~6)。
    我々がCBA根治術に際し, 逆行性胆管炎の防止術式として用いる駿河II法による外胆汁空腸瘻は, 肝内部から流出する胆汁を全て採取可能である (写真1, 図1)。従つて, 本術式は胆汁中への抗生物質の移行を知るには極めて好都合な術式となつている。そこで今回, 我々が本術式により根治術を行つたCBA術後症例につき, 経静脈的に投与したCefotiam (以下CTMと略) の血清中及び胆汁中移行を測定し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 渡辺 泰雄, 南 新三郎, 四辻 彰, 荒木 春美, 保田 隆, 才川 勇
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3437-3443
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) はグラム陽性菌及びグラム陰性菌, 特にPseudomonas, Enterobacter, Serrotia等に強い抗菌力を示す注射用セファロスポリン剤である1~3)。今回我々はCPZの抗菌力, β-Lactamaseに対する安定性及びβ-Lactamase誘導活性等について, Cefotiamと比較し若干の知見を得たので報告する。
  • 南 新三郎, 四辻 彰, 中島 博美, 渡辺 泰雄, 保田 隆, 才川 勇
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3444-3449
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1) においてCefoperazone (CPZ), 及びCefotiam (CTM) のin vitro抗菌活性, β-Lactamaseに対する態度, β-Lactamase誘導活性, 培養液中の安定性の検討から, CPZはグラム陽性菌, グラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有し, 特にCephalosporinase (CSase) を産出するグラム陰性菌に対しCTMより優れた抗菌活性を示すことを明らかにした。今回, in vitroで優れた活性を有するCPZがマウスを用いたin vivo感染実験でいかにその効果を発揮するかを検討するため, β-Lactamase非産生菌及び産生菌を用い, マウス腹腔内感染系でCTMを対照に検討を加え, 若干の知見を得たのでその成績を報告する。
  • 熊野 克彦, 西田 亨子, 林 敏雄, 春日 千恵子, 渡辺 泰雄, 保田 隆, 才川 勇
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3450-3455
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は先にCefoperazone (CPZ) 及びCefotiam (CTM) のin vitro抗菌活性, β-Lactamase誘導活性及び培養液中での安定性の検討からCPZはCephalosporinase (CSase) 産生菌に対しCTMより優れた抗菌活性を有していることを明らかにし, 更にマウス腹腔内感染系を用いCPZのin vivo効果を検討した結果, おおむねin vitroの抗菌力に相関した成績が得られ, 特にCSase産生菌に対してはCTMより優れていることを報告した1, 2)。
    今回, マウス皮下膿瘍及びラットPouch内感染等の局所感染系を用い, CPZの炎症巣への移行性並びにin vivo効果をCTMと比較し若干の知見を得たので報告する。
  • 加治木 章, 山崎 裕, 長谷川 治, 中島 康秀, 黒岩 昭夫, 原田 進, 城戸 優光, 飯田 恭子
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3456-3462
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone (CPZ) は, 富山化学工業綜合研究所で開発された, いわゆる第3世代のCephem系抗生物質である。本剤は, グラム陽性菌, 陰性菌の各菌種に広い抗菌スペクトルを有し, 特に従来のCephem系抗生物質に比し, Haemophilus influenzae, Pseudomonas aeruginosa に対する抗菌力が優れている1, 2)。
    呼吸器感染症における起炎菌の同定は, 検査材料としての喀痰が, 常在細菌叢のある上気道, 口腔を通過して得られると言う制約があるため, 一般に困難であることが多い3, 4)。しかし多くの場合, Streptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, β-Streptococcus, H.influenzae, Klebsiella pneumoniae, P.aeruginosa, Escherichiacoliなどが起炎菌である事が多い5)。
    最近, 抗生物質の開発がめざましく, 感染症は軽視されがちである。しかし, 死因別統計でみると, 肺炎及び気管支炎は死因の第4位の地位を占め6), まだ呼吸器感染症が日常診療上重要な疾患であることを示している。又, 急性呼吸器感染症による死亡は, 発病後早期におこることが多い。このような観点から, 前述の起炎菌のすべてをカバーできるCPZをFirst choice抗生物質として使用し, その臨床効果を検討した。
    又, 抗生物質の胸水中移行に関する研究はまだ報告が少なく7~15), 特にCPZの胸水中移行の報告はない。今回は, CPZの胸水中移行に関しても検討したので, 合せて報告する。
  • 張 南薫, 原 豊, 野口 有生, 近藤 秀弥, 村上 基, 関 正計, 丸山 正義, 青木 一石, 福永 完吾, 國井 勝昭
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3463-3475
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発された新しいCephem系の注射用抗生物質である。本剤は7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolyl carboxypropyl oxyimino基を, 又, 3位側鎖にPyridineを導入し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して安定である。本剤は広域の抗菌スペクトルを有し, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌, Serratiaなどに対し強い抗菌力を示す。
    本剤の体内動態は静脈内投与により, 投与量に比例した高い血中濃度が得られ, その半減期は90~100分である。又, 本剤は体内で代謝されず, 未変化のまま大部分が尿中に排泄される1)。
    今回, われわれは産婦人科領域において, 本剤について基礎的・臨床的検討を行つたのでその成績を報告する。
  • 小川 英弐, 太田 博孝, 真木 正博
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3476-3482
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域においても感染症並びに感染予防に各種の抗生物質が用いられている。
    しかしその目的を達成するためには, それら抗生物質の組織移行性を検討することが必要である。今回, われわれは英国グラクソ社で開発したCeftazidime (CAZ) について, 女性性器各部位における組織移行性について検討し, 更に本薬を臨床応用する機会を得, 若干の知見を得たので報告する。
    CAZは新しいCephalosporin系の注射用抗生物質であり, Fig.1のような構造式を有している。本薬は, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolyl carboxypropyl oxyimino基を, 又3位側鎖にPyridineを導入し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である。本薬はCophem系抗生物質の中でも抗菌スペクトルが広域であり, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。又, 各種細菌に対する本薬の抗菌力は他剤に比べて平均しており, in vivo実験的混合感染に対して優れた防御効果を示す。
    本薬はヒト静脈内投与により, 投与量に比例した高い血中濃度が得られ, その半減期は90~100分である。本薬は体内では代謝を受けず未変化体のまま大部分は尿中に排泄され, 投与後6時間までの尿中回収率は約85%である。
  • 千村 哲朗, 後藤 正, 松尾 正城, 小関 憲, 青山 新吾
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3483-3490
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたCephalosporin系抗生物質であるCeftazidime (CAZ) は, 化学構造上7位側鎖にAminothiazolyl carboxypropyl oxyimino基を有し, 3位側鎖にPyridineを有している。本剤の抗菌Spectrumは広域であり, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対し極めて安定であり, 各菌種に対する抗菌力の強さが他剤に比べ平均していることが, 混合感染に対しても優れた効果が期待できると言う1)。本剤の抗菌力はPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌に対し強く, Serratiaにも同様である。
    今回, われわれは本剤の産婦人科領域での感染症に対し使用する機会を得たので, その成績を報告したい。
  • 小幡 功, 劉 福勝, 落合 和彦, 小池 清彦, 森本 紀, 蜂屋 祥一
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3491-3506
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceftazidime (CAZ) は, 英国Glaxo社で開発され1979年HARPERら1) により初めて報告されたAminothiazole環を有する半合成のCephalosporin系の注射用抗生物質である。本剤はCephalosporin Cの誘導体であるが7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolyl carboxypropyl oxyimino基を, 3位側鎖にPyridineを結合しているのが化学構造上の新たなる点である (Fig.1)。
    CAZは静脈内投与により投与量に比例した高い血中濃度が得られ, 生物学的半減期も90~100分と長く, 体内で代謝されず未変化体のまま大部分が尿中に排泄される特性を有する2)。一方, 抗菌力も従来のCephem系抗生物質に比べてよりBroad spectrumを有し, なかでもグラム陰性桿菌, 特にPseudomonas aeruginosa, Serratiaに対し強い抗菌力を示し, 更にβ-Lactamaseに対し極めて安定であると報告されている2)。
    今回, 著者らはCAZについて基礎的には子宮附属器及び子宮組織への移行性について検討すると共に, 臨床的には婦人性器感染症に投与し, 有効性及び安全性について検討したので, その成績について報告する。
  • 舘野 政也
    1983 年 36 巻 12 号 p. 3507-3516
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科感染症, 殊に骨盤内感染症に関しては, 部位的な関係から起炎菌の証明がかなり困難な場合が多く, 感受性のある抗生物質を選択的に使用することがなかなか困難で, 従つてこれらの感染症に対しては抗菌スペクトラムの広い抗生物質の使用をFirst choiceとして使用せざるを得ない場合が多い。
    今回我々は, 英国グラクソ社で開発された新抗生物質Ceftazidime (CAZ) を分娩後の子宮内感染, 子宮頸癌後に合併した子宮労結合織炎, バルトリン腺炎など20例に対して使用し, その有効性について臨床的に検討を加えたので, 以下にこれらの成績について述べる。
  • 1983 年 36 巻 12 号 p. 3517-3520
    発行日: 1983/12/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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