The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
産婦人科領域におけるCeftazidimeの組織移行性及び臨床的効果
小川 英弐太田 博孝真木 正博
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 36 巻 12 号 p. 3476-3482

詳細
抄録

産婦人科領域においても感染症並びに感染予防に各種の抗生物質が用いられている。
しかしその目的を達成するためには, それら抗生物質の組織移行性を検討することが必要である。今回, われわれは英国グラクソ社で開発したCeftazidime (CAZ) について, 女性性器各部位における組織移行性について検討し, 更に本薬を臨床応用する機会を得, 若干の知見を得たので報告する。
CAZは新しいCephalosporin系の注射用抗生物質であり, Fig.1のような構造式を有している。本薬は, 7-Aminocephalosporanic acidの7位側鎖にAminothiazolyl carboxypropyl oxyimino基を, 又3位側鎖にPyridineを導入し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定である。本薬はCophem系抗生物質の中でも抗菌スペクトルが広域であり, なかでもPseudomonas aeruginosa, ブドウ糖非発酵のグラム陰性桿菌並びにSerratiaに対して強い抗菌作用を示す。又, 各種細菌に対する本薬の抗菌力は他剤に比べて平均しており, in vivo実験的混合感染に対して優れた防御効果を示す。
本薬はヒト静脈内投与により, 投与量に比例した高い血中濃度が得られ, その半減期は90~100分である。本薬は体内では代謝を受けず未変化体のまま大部分は尿中に排泄され, 投与後6時間までの尿中回収率は約85%である。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top