1983 年 36 巻 3 号 p. 573-584
近年, アミノ配糖体系抗生物質である硫酸Paromomycin (Humatin あるいは Aminosidine) が条虫類に対して高い駆虫効果を示すことが報告され, 新しい形の抗寄生虫剤として注目をあびてきている。
この様な今までは抗蠕虫剤として全く顧みられなかつた抗生剤が蠕虫類に対して駆虫効果を示すことは学問的にも極めて興味があり, その作用機序を知ることによつて今後更に多くの, しかも種々の寄生虫に対して著効のある抗生剤の出現をみる可能性をも示唆するものである。
そこで本実験では本剤の投薬量に対する検討とその作用機序について実験感染を行つた動物条虫症について検討を加え, 更に人体条虫症例についても検討を加えた。