The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
硫酸Paromomycinによる条虫症の治療と駆虫作用の検討
新村 宗敏横川 宗雄畑 英一小林 仁時田 賢蓮沼 洋子
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 36 巻 3 号 p. 594-601

詳細
抄録

最近の食生活の多様化, 複雑な社会環境の変化のためか, 各種の寄生虫感染者の増加が目立つが, なかでも広節裂頭条虫症患者の増加は著しい。条虫症の治療剤としては, 綿馬, 石榴根皮, コソ, Kamala, Niclosamide, Quinacrine及びBithionolなどが知られているが, 著者らはこれまで広節裂頭条虫症及び無鉤条虫症の治療には主としてBithionolを用い極めて良好な駆虫成績をあげてきた(横川ら1, 2))。近年, Aminoglycoside系抗生物質である硫酸Paromomycin (Aminosidine) が条虫症に対しかなりの駆虫効果を示す知見が次々と報告され, 新しい形の抗寄生虫剤として注目をあびてきている(ULIVELLI3), BOTERO4), WITTNERら5), 金沢6, 7), 吉村ら8), 谷ら9), 石田ら10), 大島11), 山口ら12), 吉田ら13), 織間ら14), 影井ら16))。著者らも, 教室に紹介されてきた広節裂頭条虫症患者及び無鉤条虫症患者の硫酸Paromomycinによる治療を試みると共に, in vitroにおける条虫の自動運動と解糖系及び寄生虫のエネルギー生成系として知られているPhosphoenolpyruvate (PEP)-succinate系(SAZ16)) に対する影響などについて検討してみたのでこれらの成績を併せて報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top