1983 年 36 巻 6 号 p. 1359-1376
マイコプラズマ肺炎の化学療法はMacrolide系抗生物質 (MLs) 及びTetracycline系抗生物質(TCs)が第1次選択剤とされているが, TCSが有する種々の副作用を考慮すると小児科領域では使用しがたい。MLsは現在市販されているものにErythromycin (EM), Oleandomycin, Triacetyloleandomycin, Leucomycin (Kitasamycin), Acetylspiramycin, Josamycin (JM), Midecamycin (MDM) があり, いずれも優れた抗マイコプラズマ作用を有しているが, EMが最も強く, JMはEMに次ぐ1)か, ほぼ同等2) であると述べられている。
一方JMのマイコプラズマ肺炎に対する臨床成績は成人では岩崎ら1), 泉川ら3), 小児では中沢ら4)の報告がありいずれも良好な臨床成績が得られているものの未だ本症には適応とされていない。
そこで私たちは本剤とEMを小児のマイコプラズマ肺炎に投与し, 投与症例から分離したMycoplasma pneumoniaeについて両剤の薬剤感受性を測定すると共に, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用及び有用性を比較検討したのでその成績を報告する。