The Japanese Journal of Antibiotics
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臨床材料から分離した各種細菌の第2世代セファマイシンセファロスポリン系抗生剤への感受性パターンの比較とこれら薬剤の臨床利用への考察
松尾 清光植手 鉄男
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1983 年 36 巻 7 号 p. 1621-1637

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抄録

現在臨床に利用されているセフェム系抗生剤には, 抗菌スベクトル, 薬動力学, 吸収, 排泄などにおいて様々の差異特徴がある。いわゆる第1世代セファロスポリン系抗生剤のセファロチン (CET), セファピリン (CEPR), セファゾリン (CEZ), セファセトリル (CEC) などは, グラム陽性球菌, 特にブドウ球菌に対し, いわゆる第2, 第3世代のセファロスポリン系抗生剤より抗菌力が強い。しかしグラム陰性桿菌に対して.その抗菌力は比較的弱いと報じられている1)。一方第2世代と言われるセファロスポリン系抗生剤, すなわちセフォチアム (CTM), セファマンドール (CMD) などは, 一部の菌を除きグラム陰性桿菌に対し第1世代セファロスポリン系抗生剤よりも強力であるが, ブドウ球菌に対する感受性は弱い傾向を示すと言われる1)。しかし第2世代のあるもの, 例えばCTMはブドウ球菌にも比較的強い抗菌力を示す1)。セファマイシン系抗生剤のセフォキシチン (CFX), セフメタゾール (CMZ) などは, グラム陰性桿菌により強力であるが, ブドウ球菌への抗菌力は幾分弱いと言われている1)。第3世代のセファロスポリン系抗生剤は一般的にグラム陰性桿菌に対し, 第1, 第2世代のものより強力な抗菌力を示すが, 黄色, 表皮ブドウ球菌に対する抗菌力は弱い1)。上記セファロスポリン系抗生剤の臨床的利用を考える時, その特徴をよく考察の上選択する必要がある。
本研究において, 各種新鮮臨床分離菌株を用いて, いわゆる第2世代のセファロスポリン系抗生剤のCTM, セファマイシン系抗生剤のCMZ, CFXへの各種細菌の感受性を検討し, 他の抗生物質との比較において, これら薬剤の臨床利用 (治療的及び外科的手術における感染予防への利用) への価値を考察した。

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