The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 7 号
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  • 田部井 徹
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1569-1580
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    The current references written in English concerning effect of prophylactic antibiotics in vaginal and abdominal simple hysterectomy have been reviewed.
    Febrile morbidity was evaluated for antibiotic treated and untreated groups.In most studies, the definition of febrile morbidity was a temperature of 38°Cor greater on 2 separate occations excluding the first 24hours after the operation.Fever index in degree hours was also compared between 2 groups in some studies.
    Of 30 studies in vaginal hysterectomy reported between 1969 and 1981, 29 showed that antibiotic prophylaxis successfully decreased postoperative febrile morbidity.Of 15 studies in abdominal hysterectomy reported between 1972 and 1982, 12 showed the significant decrease of febrile morbidity in the treated group.However, pelvic infection in only 2 and wound infection in 5 were reduced.The length of hospital stay was found to be shorter for the treated group in vaginal and abdominal hysterectomy. The beneficial effect of prophylactic antibiotics in abdominal hysterectomy were less compelling than those for vaginal hysterectomy.
    Although recent studies indicated that a short perioperative use of antibiotics or even a single dose was effective as long-term prophylaxis, the most effective method and duration awaits further evaluation.
  • 高瀬 善次郎, 白藤 博子, 清水 哲也, 石川 睦男, 山崎 知文, 真木 正博, 鈴木 美千子, 千村 哲朗, 森崎 伸之, 鈴木 雅洲 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1581-1592
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 産婦人科領域における性器感染症に対し抗生剤を使用する際, その有効性, 安全性の一指標として, 骨盤内臓器濃度が重要視されるようになつた1, 2)。
    今回, 著者らは, 産婦人科領域におけるFosfomycin sodium (FOM-Na) の組織移行を全国24研究施設において検討し, 臨床分離株のMICとの関連を検討した。
    Fosfomycin (FOM) は, Streptomyces fradiae, Streptomyces viridochromogenes, Streptomyces wedmorensis, Streptomyces odainensis が産生する抗生物質で3), Fig.1に示す構造を有している。現在は合成により製造され4), そして静注用製剤としてNa塩が, 又経口用製剤としてCa塩が市販されている。
    FOM-Naの有用性は数多く報告されており10~27) 又, 健康成人男子における生体内動態も既に報告されている5~7)。しかし, 産婦人科領域に関する報告は未だ公にはされていない。そこで, この度, FOM-Naの産婦人科領域での臨床的検討8) と併せて, 成人女性における血清中濃度の測定, 骨盤死腟液及び子宮各部組織への移行性の検討を試み, 臨床分離菌株との関連について考察し, いささかの知見を得たので報告する。
  • 大森 勝寿, 鈴木 正人, 遠藤 清次, 渡辺 岩雄, 遠藤 辰一郎
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1593-1598
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年外科領域, 特に消化器外科の術後感染症では, グラム陰性桿菌が起炎菌として分離される頻度が著しく高く1~3), 治療に難渋することが多い。
    一方, 悪性腫瘍患者では一般に免疫機能が低下しており4~5), このことは癌の予後を左右する因子となるばかりでなく, 術後感染発生の要因ともなり得る。
    我々は, 癌患者の主として術後の感染症に対し, ブドウ球菌をはじめとするグラム陽性菌及び緑膿菌, 変形菌, セラチアなどのグラム陰性桿菌に抗菌力を持つとされる6) 新しいアミノグリコシド系抗生物質ミクロノマイシン (MCR, サガミシン®) を使用し, 若干の臨床検討を行つたので報告する。
  • 栗本 司, 岡地 諒
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1599-1603
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Micronomicin (MCR, サガミシン®) は協和醗酵工業株式会社で開発されたMicromonospora sagamiensisvar.nonreducansが生産する新しいアミノ配糖体系抗生物質である1)。本物質はGentamicin (GM) と類似の構造を持つが, GMが3成分から成る混合物であるのに反してMCRはそのいずれとも異なる単一成分から成ることが特徴である2, 3)。
    本剤は別報4) のようにグラム陽性菌並びにグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌力を示し実験感染症5) 並びに臨床6) でその効果が立証されている。
    一方でアミノ配糖体系抗生物質とβ-Lactam系抗生物質の併用に関する研究は多く, MCRについてもPiperacillin (PIPC), Cefbperazone (CPZ), Cefbxitin (CFX), Cefmetazole (CMZ) などとの併用効果が報告されている7)。
    今回, われわれはMCRとオキサセフェム系抗生物質であるLatamoxef (LMOX) との併用効果について検討したので報告する。
  • 戸次 英一, 阿部 弘, 沢田 康夫, 橋本 伊久雄, 中村 孝, 三上 二郎, 葛西 洋一, 中西 昌美
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1604-1614
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年増加している腹部内臓疾患の1つに急性胆嚢炎, 胆石症などの胆道系疾患がある。特に急性胆嚢炎は日常多く遭遇し, 急性腹症, 胆嚢炎等の病名で治療され, 軽快, 再発を長期間にわたり繰返し, 種々の抗生剤による治療を受け, このために起炎菌がすでに各種の抗生剤に耐性を有し, 治療に困難を来たすことが稀ではなくなつて来た。しかも今日広く用いられているAmpicillin, Carbenicillin SulbenicillinなどのPenicillin系抗生剤や, Cephalothin (CET), Cephalexin (CEX), Cefazolin (CEZ) 等のCephalosporin系抗生剤に耐性を有するβ-Lactamase産生菌の存在, 増加が指摘され, これらの菌が胆道系感染症の起炎菌に比較的多いとされることから, 治療上の大きな問題となつて来ている。
    著者らは最近β-Lactamaseに抵抗性を有する新しいCephalosporin系抗生剤Cefmonoxime (CMX) の試用を行う機会を得た。胆道系感染症患者に対してCMXによる治療を行い, 症状の軽快後の手術時に術前CMX500mgの筋注又は手術中に1gを静注して, 血中濃度, A, B胆汁中濃度, 胆嚢壁内濃度を測定した。この測定結果と臨床効果の関係を検討し, 若干の興味ある所見を得たので報告する。
  • 塩基性アミノ酸を含むα-アシルテトラペプチド類の合成と抗菌活性 第7報
    栗原 藤三郎, 伊藤 秀雄, 土田 良雄
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1615-1620
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ポリミキシン系抗生物質などの多くの塩基性アミノ酸残基を持つ環状アシルペプチド類は, 一般にグラム陰性菌に著効を示すことが知られており, 著者らもこれまで塩基性アミノ酸としてLysineを含有する種々のアシルペプチド類を合成し, 併せてスクリーニング的に抗菌試験を実施してきた1)。
    今回, 著者らは抗菌スペクトルの拡大を目的として酸性アミノ酸であるGlutamic acidを導入し, 且つ側鎖にアミノ酸残基を持つ (分枝状), 簡易なアシルテトラペプチド類を合成し, これらの化合物について抗菌試験を行い, 化学構造と抗菌活性との相関関係について若干の知見を得たので報告する。
  • 松尾 清光, 植手 鉄男
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1621-1637
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    現在臨床に利用されているセフェム系抗生剤には, 抗菌スベクトル, 薬動力学, 吸収, 排泄などにおいて様々の差異特徴がある。いわゆる第1世代セファロスポリン系抗生剤のセファロチン (CET), セファピリン (CEPR), セファゾリン (CEZ), セファセトリル (CEC) などは, グラム陽性球菌, 特にブドウ球菌に対し, いわゆる第2, 第3世代のセファロスポリン系抗生剤より抗菌力が強い。しかしグラム陰性桿菌に対して.その抗菌力は比較的弱いと報じられている1)。一方第2世代と言われるセファロスポリン系抗生剤, すなわちセフォチアム (CTM), セファマンドール (CMD) などは, 一部の菌を除きグラム陰性桿菌に対し第1世代セファロスポリン系抗生剤よりも強力であるが, ブドウ球菌に対する感受性は弱い傾向を示すと言われる1)。しかし第2世代のあるもの, 例えばCTMはブドウ球菌にも比較的強い抗菌力を示す1)。セファマイシン系抗生剤のセフォキシチン (CFX), セフメタゾール (CMZ) などは, グラム陰性桿菌により強力であるが, ブドウ球菌への抗菌力は幾分弱いと言われている1)。第3世代のセファロスポリン系抗生剤は一般的にグラム陰性桿菌に対し, 第1, 第2世代のものより強力な抗菌力を示すが, 黄色, 表皮ブドウ球菌に対する抗菌力は弱い1)。上記セファロスポリン系抗生剤の臨床的利用を考える時, その特徴をよく考察の上選択する必要がある。
    本研究において, 各種新鮮臨床分離菌株を用いて, いわゆる第2世代のセファロスポリン系抗生剤のCTM, セファマイシン系抗生剤のCMZ, CFXへの各種細菌の感受性を検討し, 他の抗生物質との比較において, これら薬剤の臨床利用 (治療的及び外科的手術における感染予防への利用) への価値を考察した。
  • 青木 功, 外山 圭助
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1638-1644
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質は臨床の各分野において広く用いられているが, 敗血症をはじめとして大量投与が必要とされる場合も少なくない。しかし抗生物質投与により, 白血球数減少や汎血球減少のように末梢血液への影響がみられる場合もみられ, その投与法, 投与量などについては充分に注意を要している。抗生物質が正常個体あるいは各種疾患患者の血液動態へいかなる影響を及ぼしているかについては, いまだ不明な点が多い。
    今回著者らは各種抗生物質並びにかび産生物質の造血へ及ぼす影響を調べるため, 対象として正常ラット及び慢性関節リウマチのモデルとされているアジュバント処置ラット1~4) を用い, 各種抗生物質並びにかび産生物質 (Fusarenon-X (F-X) 5)) を投与し, その造血幹細胞動態について検討を行つた
  • 厚井 文一, 大本 英次郎, 遠藤 裕, 小田 康広, 藤本 修逸, 内田 耕三郎, 高岡 和子, 原 雅道, 頼 敏裕, 高橋 功, 喜多 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1645-1652
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性白血病の化学療法中に発症する感染症は発症初期には感染巣並びに起炎菌の同定が困難な場合が多く, 且つ不十分な対応下に敗血症を発症すれば予後不良となり易いため, その化学療法は極めて初期の段階から完全且つ早期の制圧を目的として, 殺菌力の強い抗生剤の投与がなされるべきである。
    さて最近相次いで臨床導入されているCephem系抗生物質Ceftizoxime (CZX), Latamoxef (LMOX) は別名第3世代Cephem剤と総称されているとおり1), 諸々のβ-Lactamaseに極めて安定であると共に, 従来のCephalosporin剤に比べ広範囲のグラム陰性桿菌 (GNR) に対しより強力な抗菌力を有している薬剤である1~4)。すなわち急性白血病感染症をはじめとするOpportunistic infectionの増加が問題とされ, 且つ広い範囲の抗生剤に対して低感受性であるGNRの出現が指摘されている現在, 本剤の臨床導入は治療上大きな貢献をなし得るのではないかと期待されている。現在のところ急性白血病感染症を対象とした本剤の臨床的検討はほとんど見当らず, 今回我々はCZX及びLMOXをそれぞれ単剤で投与してその有効性を検討すると共に, 従来当教室で行つて来た諸々の併用療法の成績とも比較検討し, 若干の知見を得たので報告する。
  • 小西 一樹, 滝島 任, 本田 一陽, 熊谷 朗, 金沢 幸夫, 村中 一文, 吉田 洋一, 金沢 知博, 高橋 寛, 本間 光信, 荒井 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1653-1675
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefbtaxime (CTX) は, ルセル・ユクラフ研究所においてBUCOURT et al.により合成された半合成セフェム系注射剤である1)。本剤は図1に示したように, 7位の置換基にsyn-Methoxyimino基と2-Aminothiazolyl環を導入し, β-Lactamaseに対する安定性と共に, グラム陰性菌群に対する強い抗菌力を有している2~4)。
    近年, 呼吸器疾患領域においても, グラム陰性菌群による感染症の増加傾向が指摘されており5), かかる特徴を有する本薬剤の有用性が期待されるところである。
    われわれは今回ルセル・メディカ及び中外製薬からCTXの提供を受け, 呼吸器感染症を中心とした内科領域疾患に対して本薬剤を使用する機会を得て, 臨床効果及び細菌学的効果を検討したので報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫, 松本 清幸
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1676-1682
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefuroxime (CXM) は英国Glaxo社で開発された注射用セフェム系抗生物質で, グラム陽性菌, 陰性菌に幅広いスペクトルを有し, 特にグラム陽性菌ではStreptococcus pyogenes, 肺炎球菌に, グラム陰性菌ではHaemophilusinfluenzae, Neisseria gonorrhoeaeに対し優れた抗菌力を示し, 大腸菌, 肺炎桿菌, Proteus mirabilis, Citrobacter, Enterobacterなどにも強い抗菌力を有し, 各種細菌の産生するβ-Lactamaseに対しても安定であると報告されている1~8)。臨床検査としてのディスク法による感受性測定法を検討したので報告する。
    CXMのように新しく出現した薬剤の臨床的な感受性, 耐性に相当する最小発育阻止濃度 (MIC) 値の基準は全く不明で, 暫定的には推定される体液中有効濃度との関連から一応の基準が論ぜられたとしても, 最終的には多くの起炎菌について得たMIC値と, 薬剤投与による臨床効果との集計の上に将来定められるべきものであり, 従つて現時点においては適当に規定された実験条件でのMIC値を推定することが, 臨床的感受性検査の目約と考えられる。この目的に沿うように, すでに金沢4~7) により設定されたMIC値の推定を目的とするSingle-disc法による各種化学療法剤の感受性測定法についてたびたび報告して来たが, CXMについても本法が適用されるかどうかを検討した。
  • 西村 憲一, 野崎 善弘, 吉見 彰久, 中村 正平, 北川 明子, 桶谷 智子, 掛谷 宣治, 北尾 和彦
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1683-1691
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン (ABPC) はグラム陽性菌及び陰性菌に殺菌的な作用を有する広域ペニシリン剤1) であり, 有用な抗生物質として汎用されている。全身作用を目的とする抗生剤には注射剤及び経口剤の2種の剤型があるが, 更にこれらに加え新しい剤型として特に小児科領域で坐剤の開発が嘱望されてきた2)。最近, それに応じてABPCとしては最初の坐剤であるABPC坐剤 (KS-R1) が京都薬品工業株式会社研究所において創製された。
    そこで, 今回KS-R1直腸内投与時のマウス, ラット及びウサギにおける体内動態を, ABPC経口投与時及び注射時と比較検討した。
  • 西村 憲一, 野崎 善弘, 吉見 彰久, 掛谷 宣治, 北尾 和彦
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1692-1698
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン坐剤 (KS-R1) は京都薬品工業株式会社研究所において創製されたアンピシリンナトリウム (ABPCNa) の坐剤であり, アンピシリン (ABPC) としては全く新しい剤型である。
    前報1) で, 著者らは本剤をマウス, ラット及びウサギに直腸内投与した時の吸収性が経口投与時より優れ, 注射時の40~100%と良好な吸収率を示すことを報告した。
    今回, KS-R1を成熟及び幼若イヌに直腸内投与後の吸収及び排泄について市販の内服用アンピシリン及び注射用アンピシリンと比較検討したので報告する。
  • 西村 憲一, 北川 明子, 野崎 善弘, 掛谷 宣治, 北尾 和彦
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1699-1705
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン (ABPC) はグラム陰性菌及びグラム陽性菌に対して抗菌活性を示す広域ペニシリン系抗生物質1) で, 経口剤及び注射剤として臨床に供されている。しかし, ABPCを経口投与した場合に下痢を起すことが知られており, 腸内細菌叢の変動がこれに関係していると言われている2)。又, 動物実験でもABPCの投与により盲腸内菌叢又は糞便中菌叢が変動し, 盲腸の湿潤重量が増加することが報告されている3~5)。
    最近, β-ラクタム系抗生物質として国内で初あての坐剤であるABPC坐剤 (KS-R1) が京都薬品工業株式会社研究所において創製され, 本剤の動物での吸収率は経口投与と同等以上であることが見い出された6)。
    そこで, 今回マウスを用いKS-R1の直腸内投与時の盲腸内菌叢及び盲腸重量への影響を検討すると共に盲腸内ABPC濃度も併せて測定し, 経口投与時及び皮下投与時と比較検討した。
  • 尾花 芳樹, 西野 武志, 西村 憲一, 野崎 善弘, 吉見 彰久, 掛谷 宣治, 北尾 和彦
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1706-1712
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法の著しい進歩に伴い, 抗菌物質の使用頻度が高くなり, 感染症は大きく変遷してきた。小児科領域においても, 抗菌剤の使用頻度が高く, 乳幼児の死亡率は減少しつつある。しかしながら乳幼児に対する投薬方法を考えてみると, 経口投与は必ずしも容易ではなく, 静注, 筋注なども困難であり, 特に筋肉内投与においては, 筋拘縮などの問題点があげられ, これらの患者への薬物投与方法が問題となる。そこで, 直腸投与による投薬方法が恰好の投与経路であろうと考えられるが, 抗生物質の坐剤については, 若干の臨床的あるいは基礎的検討1~5) がなされているに過ぎない。
    本報では, 経口用抗生剤として頻用されているAmpicillin (AEPC) の坐剤製剤設計6, 7) を行い, マウス実験的感染症に対する治療効果などについて基礎的検討を行い, 2, 3の知見を得たので報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 久田 直樹, 石本 耕治, 富永 薫 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1713-1768
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児を除く小児の呼吸器感染症の起炎菌は宿主側に感染防禦能の低下のない限り, 今日でもグラム陽性球菌はStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, グラム陰性桿菌ではHaemophilus influenzae, 急性単純性尿路感染症ではEscherichia coli, 軟部組織感染症ではS.aueusがその大部分を占めていると言つても過言ではない。
    一方これらの種々の細菌に対する抗菌製剤のなかではβ-Lactam系薬剤の開発がめざましい。しかし同じβ-Lactam剤のPenicillin系抗生物質であるAmpicillin (ABPC) は1963年7月に経口剤, 1965年11月に注射剤が開発され, 経口剤の開発からすでに19年になるが, グラム陽性球菌中S.pyogenes, S.pneumoniae は依然として感受性は良好でH.influenzae2) には耐性菌が少なからず出現しているものの末だ第1選択剤であり, 尿路感染症中急性単純性尿路感染症の主な起炎菌であるE.coliに対してもABPC感受性株の占める率は決して低率3) ではなく, Streptococcus faecalis に対しては新しい薬剤が開発されている今日でも本剤より優れた抗菌力を有する薬剤の出現はない。
    ABPCの投与方法には経口, 筋注及び静注があるが, 本剤の経口剤の血中濃度及び尿中回収率は低く, そこで, その欠点を補うためにエステル化剤が出現しているが, エステル化剤のドライシロップはMacrolide, Tetracycline系抗生物質及び抗菌化学療法剤の同じ剤型に比較し, 服用しやすいものの苦みが少なからずあり, 乳幼児は時に服薬拒否例を経験する。
    又小児での本剤の筋注は他剤と同じく大腿四頭筋拘縮症を来たす恐れがあることからほとんど筋注での投与はされていない現状である。これらの理由から経口, 可能ならば筋注に代るBioavailabilityを示す坐剤の出現が望まれていたところ4), 京都薬品工業株式会社研究所が本剤の坐剤化に成功し, Ampicillin suppository (KS-R1) として住友化学工業株式会社と共同開発を行うことになつた。しかしその基礎的資料は動物すなわちビーグル犬, ウサギ, ラット, マウスによる成績であり, いずれもKS-R1の投与で血中濃度は良好であるが, 動物により差があることから, 私たちはヒトにおける体内動態及び坐剤の宿命である刺激性の検討を依頼されたのでその成績を報告する。
  • 西村 忠史, 高島 俊夫, 田吹 和雄, 広松 憲二, 藤井 良知, 篠崎 立彦, 有益 修, 金 保沫, 中沢 進, 佐藤 肇, 平間 裕 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1769-1784
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin坐剤 (KS-R 1) は住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) で抗生物質の直腸投与を目的として新規に開発されたウィテプゾールを基剤とするAmpicillin (ABPC) 125mg (力価) 又は250mg (力価) 含有の坐剤で, すでに薬動力学的並びに臨床的検討によつて直腸投与による安全性と, ABPC筋注投与時と近似の吸収, 排泄パターンを示すこと1), 更に, 1日25~50mg/kgの投与で十分な臨床効果を示すことが確認された。
    ABPCは, 従来, ブドウ球菌, 連鎖球菌, 肺炎球菌などのグラム陽性菌, 及び赤痢菌, 大腸菌, 変形菌, インフルエンザ菌などのグラム陰性菌に対し抗菌作用2, 3) を示し, 我国においても注射剤, 経口剤として汎用され, その効果と安全性は確認されている4~6)。
    さて, KS-R1は125mg (力価) 坐剤1回直腸投与により, 最高血中濃度は約5.0μg/mlと筋注製剤に匹敵する体内動態が得られ, 且つ小児急性呼吸器感染症の主たる起炎菌であるStreptococcus pyogenes, Streptococcuspneumoniae, Haemophilus influenzae7, 10) 等に対するABPCの抗菌力8~10), 並びに軽, 中等症の急性呼吸器感染症治療におけるABPC経口剤繁用の現状からみて, 十分な臨床効果を期待できるものと判断された。
    そこで, 今回著者らは, 本剤の急性呼吸器感染症に対する治療効果と安全性の評価をより高めるため, ABPCの経口剤を対照薬として, Well-control法により比較試験を行つたのでその成績について述べる。
  • 本廣 孝, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄, 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 溝口 文子, 中村 は ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1785-1805
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (ABPC) は1961年英国Beecham社のP.DOYLEにより合成されて以来, 今日まで経口剤, 注射剤として汎用されており, その有効性, 安全性については十分に確立されている抗生物質である。しかしながら小児の中でも年少児は他の経口剤と同じく本剤の内服をきらう例が少なくなく, 注射剤は大腿四頭筋拘縮症のこともあつて筋注は行われず, 静注により投与されている現状である。そこで本剤を経直腸的に投与することにより, 経口と同等かそれ以上, できれば筋注に匹敵するBioavailabilityを有する製剤すなわち坐剤の出現が望まれていたところ1), 京都薬品工業株式会社の研究所が坐剤化に成功し, KS-R 1として京都薬品工業株式会社と住友化学工業株式会社が現在共同で開発中である。
    KS-R 1は油脂性基剤にABPCを125mg力価又は250mg力価を含有する2剤型があるが, いずれも投与後速やかに吸収され, 血漿中濃度のピークは成人では投与30分後, 小児は15分後に認められ, 最高血漿濃度は経口剤投与と比較すると成人ではほぼ同等, 小児は約4倍と高濃度で個人差は少なく, 成人だけの検討であるが筋注時のピーク値に比べ約1/2を示した2)。又刺激性は市販のErythromycin (EM) 坐剤と変らず, 排便率はEM坐剤よりやや高いが, 解熱剤の坐剤とほぼ同等で, 小児における種々の細菌感染症に対し非常に優れた成績が得られている3)。そこで小児科領域の呼吸器感染症のうちStreptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, HaemophilusinfluenzaeなどのABPC感受性菌による細菌性肺炎に対する有効性と安全性を, ABPCの静注剤を対照薬としてWell-control法 (封筒法) により比較検討したので, その成績を報告する。
  • 城崎 慶治, 岩田 敏, 岩崎 由紀夫, 佐藤 吉壮, 若林 良, 早野 紳哉, 砂川 慶介, 小佐 野満, 広瀬 誠, 本多 正直, 土屋 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1806-1813
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン坐剤 (KS-R1) は, 住友化学工業株式会社と京都薬品工業株式会社で新たに開発されたアンピシリン (ABPC) 含有の坐剤で, この薬剤は基剤として脂肪酸ナトリウムを含有するウィテプゾールを使用したことにより, 直腸からの吸収が高まり, 経口に比べ高い血中濃度が得られる製剤である。今回我々は小児科領域における本剤の血中濃度及び臨床的検討の機会を得て若干の考察を加えたので報告する1)。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 中沢 進一, 近岡 秀次郎, 田添 克衛
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1814-1820
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    邦の小児科領域においても, 最近各種製坐剤が服用のいやがる年少小児や緊急時又筋注による筋拘縮症の防止の目的から実用化されているが, 常用されているのは解熱, 鎮痛剤, 抗けいれん剤, 気管支拡張剤等であり, それぞれの臨床効果からその有用性が認められている。抗生剤坐剤としてはMacrolide系のものが市販されているが, 吸収が不充分のためか臨床効果に期待ができず, 又有用性のある抗生剤の坐剤が世界的にも製作されていないのが現況である1)。
    坐剤がその目的を達するためには, いずれの製剤も使用後局所並びに全身的な副作用がなく, 吸収が良好である点であろう2, 3)。
    今回, 使用後の吸収が早く確実で, 同量内服時に比較してより血中濃度が高くなり, 尿中排泄率も良好である等の従来この種製剤にはみられない利点を特徴とする邦製Ampicillin (ABPC) 坐剤 (KS-R1) を入手する機会を得, 小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行つてみたので以下今日までの概況について報告する。
  • 篠崎 立彦, 金 保洙, 有益 修, 柱 新太郎, 藤井 良知
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1821-1826
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R 1は住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) で新たに開発されたアンピシリン (ABPC) 含有の坐剤である。坐剤1個中にそれぞれABPC 125mg (力価) と250mg (力価) 含有の2種類がある。基剤としては脂肪酸ナトリウムを含有するウィテプゾールが用いられている。
    基剤の安全性, マウスの実験的感染症に対する治療効果, 動物及びヒト (成人, 患児) のKS-R 1の吸収, 排泄, 及び動物, ヒトに対する直腸刺激性等についてあらかじめ検討された。その結果小児に対するKS-R 1使用の安全性が確認された1)。又, その薬物動態学的研究から, KS-R 1の吸収能率と確実性が保証され, 小児期感染症に使用して充分な臨床効果をあげ得ることが推定された。我々も急性上気道炎患児にKS-R 1を使用したので, その成績について報告する。
  • 保科 弘毅, 三国 健一, 市橋 治雄, 高橋 慎太郎, 長谷川 廉, 長田 亮, 小林 清
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1827-1833
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン (ABPC) はC16H18N3O4SNaの分子式を持つ白色~淡黄色の粉末で, 大腸菌, 変形菌, インフルエンザ菌などのグラム陰性菌及びベンジルペニシリン感受性ブドウ球菌, 溶血連鎖球菌, 肺炎球菌などのグラム陽性菌に抗菌作用を示し, その作用は殺菌的である1) と言うことは周知の事実である。KS-R1は住友化学工業と京都薬品工業で新たに開発されたアンピシリン含有の坐剤であり, 脂肪酸ナトリウム含有のウィテプゾ-ルを基剤とし, 本剤1個中にアンピシリンを125mg (力価) 又は250mg (力価) を含有している。本剤を直腸から投与することで十分な血中濃度が得られることがヒトにおける吸収・排泄試験から明らかにされており, 又局所の刺激も少なく, 坐剤の肛門からの排出率についても他の各種の坐薬と比べて多くないことが明らかにされている2)。今回我々は本剤を軽度から中等度の小児感染症に臨床使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 杉田 守正, 熊谷 公明, 堀 誠, 城 宏輔, 山崎 寿仁
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1834-1845
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (ABPC) はβ-Lactam系抗生剤の代表的なものであり, 広域スペクトルで, その作用は殺菌的で, 毒性も低いことなど, 現在まで, 我国では最も頻用されている薬剤の1つである。しかし, 1977年以降, 我国における抗菌剤の消費量は, いわゆるβ-Lactam系抗生剤が増加し, その内でも経口剤の伸長が著しく, 耐性菌の増加が問題になつており, ABPCに関しても種々の菌株に対してその耐性率の増加は衆知の事実である。
    小児科領域の細菌感染治療, 特に外来での加療において, 静脈内及び筋肉内投与では肉体的侵襲も強く, 又連続投与も不可能である点から投与しにくい。一般に行われている経口投与では, 腸管からの吸収が悪く, 外来診療において起因菌として多いStaphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae, Haemophilusinfluenzae 及びEscherichia coli 等に対して耐性菌が増加している現在, それらのMICを上回る血中濃度を維持するのは, 非常に困難である。これらの背景から, 血中濃度を注射剤のそれに近づけられる投与方法についての開発が望まれ, 坐剤での検討が行われたのである。現在まで, 抗生物質坐剤は吸収が悪く, 経口剤の血中濃度推移にも及ばず頻用するに至つてはいなかつたが, 基剤に脂肪酸のナトリウム塩を添加することにより, 吸収が非常に優れる結果を得, ABPC坐剤, すなわちKS-R 1が開発された。
    今回, 我々はKS-R 1を使用する機会を得たので, 本剤について血中濃度などの基礎的研究を行うと共に, 各種細菌感染症に使用したのでそれらの成績について報告する
  • 屋冨祖 正光, 中島 崇博, 麻生 幸三郎, 宮地 幸紀, 小川 昭正, 久野 邦義
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1846-1850
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R1は住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) で新たに開発されたAmpicillin (ABPC) 含有の坐剤である。坐剤1個中にABPC 125mg (力価), 又は250mg (力価) を含有する。基剤は脂肪酸ナトリウムを含有するウィテタゾールで, 各種坐剤に汎用されている。本坐剤はすでに各種動物に対する毒性試験, 吸収排泄試験も済み, 高い安全性と有効性が認められている。今回我々も本剤を使用する機会を得, 小児の感染症に対する有効性及び安全性について検討したので報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 溝口 文子, 中村 はるひ
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1851-1862
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R 1は, 住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) で新たに開発されたAmpicillin (ABPC) 含有の坐剤である1)。抗生物質坐剤については, すでにErythromycinの坐剤が市販されているが, 小児科領域では, 従来からβ-Lactam系抗生剤についての開発が強く望まれてきた。しかし, 基剤等の改良にもかかわらず, 薬物そのものの刺激や組織液の移動によつておこる排出と言う問題点をどうしても解決できなかつた。本剤は, 基剤の中にカプリン酸ナトリウムを加えることにより, ABPCの吸収を良くし, しかも排出を少なくさせることに成功した製剤である1)。
    本剤肛入後の吸収は極めて速やかであり, 同一量のABPCを内服させた場合に比べて, 約4倍高い血清濃度ピーク値が得られると言われている1)。従つて, 本剤は, 種々の理由で内服できない場合や静脈注射が困難な症例には, 内服剤や注射剤に代り得るABPC製剤として, 極めて有用であると考えられる。
    今回, 我々は本剤について, 小児における吸収・排泄を検討すると共に, 呼吸器系感染症に対する臨床評価を試みたので, その成績を報告する
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1863-1870
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年新しい抗生物質とくにβ-Lactam系抗生物質の開発はめざましいものがある。さて抗生物質の投与経路は, 通常静注, 筋注, 経口投与がそれぞれ病態に応じて選択されてきた。しかし直腸投与に関しては, 他の投与経路での使用が困難な場合の必要性も考えられ, 従来抗生物質含有坐剤の検討も行われた。しかし吸収性又局所刺激性, 適確な使用上の問題点など多くの難点があり, 再現性ある実用化には至らなかった。しかし, 今度住友化学工業株式会社及び京都薬品工業株式会社では薬剤の易吸収性に着目し, 基礎となる易溶性の薬剤を用いて, Ampicillin (ABPC) 含有坐剤 (KS-R1) を開発した。そして本剤は基礎的実験成績からも, 臨床応用が可能な抗生物質含有の坐剤であることが明らかにされた1)。そこで著者らも, 本剤について, その基礎的及び臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1871-1876
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R1は, 住友化学工業 (株) と京都薬品工業 (株) によつて協同開発されたAmpicillin (ABPC) 含有坐剤で, 基剤は脂肪酸ナトリウムとウィテプゾールからなり, その動物における安全性は高く, 動物, 成人, 小児において検討された直腸刺激性も軽微で, 挿入後30分以内の排出率は常用されている解熱薬坐剤と大差がなく, しかも吸収はABPC同量経口投与より優れており, Dose responseが認められた1)。
    以上の成績に基づいて, 小児科領域研究会による協同試験が行われた。われわれもその一員として検討を行い, 若干の知見を得たので報告する。
  • 古川 正強, 岡田 隆滋
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1877-1881
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R 1は住友化学工業と京都薬品工業で新たに開発されたアンピシリン (ABPC) 含有の坐剤である。基剤として脂肪酸ナトリウムを含有するウィテプゾールを使用してあり, 従来の坐剤より良好な吸収効果が確認されている。
    われわれは今回, 本剤を小児科領域感染症に使用する機会を得たので, その成績について報告する。
  • 貴田 嘉一, 渡部 雅愛, 松田 博, 村瀬 光春
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1882-1887
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アンピシリン (ABPC) は1961年ROLINSONら1) によつて開発された合成ペニシリンであるが, その広い抗菌スペクトラムにより小児科領域においても多くの感染症に対して第1選択の抗生剤として広く用いられている2, 3)。現在, 使用されているABPC製剤は注射用及び経口用 (カプセル, ドライシロップ) であるが, 注射用製剤は日常の外来診療の場での一般的使用には適しておらず, 又経口用製剤は悪心, 嘔吐のある患者や服薬を拒絶する患児では使用に困難が伴う場合が少なくない。坐剤はこれらのケースに適した剤型と考えられる。
    今回, 新しい基剤を用いた吸収のよいABPC坐剤 (KS-R 1) が住友化学工業 (株), 京都薬品工業 (株) の共同開発により創製されたので, 小児科領域での本剤の有用性について検討を加えた。
  • 坂口 善市, 浅野 恵美子, 宮内 吉男, 大原 克明, 岡本 喬
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1888-1894
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ampicillin (D-(-)-α-Aminobenzylponicillin) 1) は, 6-Aminopenicillanic acid (6-APA) 2) の6位のアミノ基にAminobenzyl基がついたもので, 広域半合成ペニシリン剤として経口及び注射剤で広く用いられている。抗菌スペクトラムは, グラム陽性菌からグラム陰性菌まで分布し, 抗菌力も優れている。
    一方, 小児では, 拒薬や嘔吐のために経口での薬剤の投与が不可能であつたり, 注射剤の使用は, 筋拘縮症の他にも過剰な不安恐怖を与え, ショックなどの思わぬ事故を起し得るなど多くの欠点を持つている。このような点で坐剤の直腸内投与と言う方法は, 小児に対する薬剤の投与方法として非常に有用性の高い方法である。しかし現在市販されている抗生物質坐剤には, 効果が不満足な場合もあり, 優れた抗菌作用を持つ坐剤の開発が望まれている。
    今回, 私たちは, 京都薬品工業, 住友化学工業両社により開発されたAmpicillin (ABPC) 坐剤 (KS-R1) 125mg, 250mgを小児の感染症に対し使用する機会を得たので, ここに報告する。
  • 関口 隆憲, 市岡 隆男, 細田 禎三, 増田 昌英, 宮尾 益英
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1895-1899
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    KS-R1は京都薬品工業及び住友化学工業により開発されたAmpicillin (ABPC) の坐剤であり, 今回我々は小児急性感染症患者にKS-R1を使用する機会を得たので, その臨床効果及び副作用について報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 久田 直樹, 石本 耕治, 富永 薫 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1900-1951
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年β-Lactam系抗生物質の開発はめざましく, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有する注射剤がその中心をなしている。
    しかし小児科領域での急性細菌感染症は新生児, 未熟児を除き易感染性の種々の要因がない限り主な起炎菌は呼吸器感染症ではStaphylococcus aureus, Streptococcus sp.の中ではStreptococcus pyogenes, Streptococcuspneumoniae, Haemophilus influenzae, 尿路感染症はEscherichia coli, 軟部組織感染症ではS.aureusである。
    前述の種々の細菌に対する本邦でのAmpicillin (ABPC) の感受性はS.aureus1) 及びE.coli2) には耐性株が多く, H.influenzaeに対しても耐性株は増加の傾向にある3, 4)。しかしS.pyogenes及びS.pneumoniaeに対しては未だ優れた抗菌力を有している5, 6)。
    本剤の投与方法には現在のところ, 静注, 筋注, 経口の3方法があるが, 経口での吸収は悪く, 小児では内服を嫌う例があり, 大腿四頭筋拘縮症のおそれがある筋注での投与は行いがたい。そこでABPCを含め種々の抗生物質において投与方法が簡単で経口と同等かそれ以上, できれば筋注に匹敵するBioavailabilityを有する坐剤化が望まれていたところ7), 京都薬品工業株式会社研究所がABPCの坐剤化に成功し, KS-R 1 (Ampicillin suppository) として住友化学工業株式会社と共同開発を行うことになつた。私たちは別稿に述べたとおり本剤を成人, 小児に投与し体内動態及び刺激性について検討したところ経口及び筋注に代り得る成績を得た8)。そこで, 本剤を小児に投与し吸収の確実性と個人差がないことをみる目的で単回投与後に1回採血を行い, 血漿中濃度を測定すると共に本剤の刺激性について既存の唯一の抗生物質坐剤であるErythromycin (EM) 坐剤及び解熱剤の坐剤との比較を行つた。更に, 種々の小児細菌感染症に対する臨床効果, 臨床分離株中2菌種の薬剤感受性, 副作用及び利点について検討したので, その成績を報告する。
  • 倉繁 隆信, 利根 洋一, 倉光 誠, 黒岩 祥男, 森田 英雄, 脇口 宏, 小倉 英郎, 喜多村 勇, 尾崎 寛
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1952-1958
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    日常の小児の診療で, 薬剤の経口投与が困難なことは稀ではない。それ故, 臨床に応用できる坐剤の開発が期待されていたが, 近年になり次第に臨床に応用されるようになつた。
    先ず, スルピリン, アセトアミノフェンが解熱剤の坐剤として開発され, その臨床効果に関する報告は多い1~4)。
    次いで, フェノバルピタールナトリウム坐剤, ジアゼパム坐剤が, 催眠, 鎮静及び抗痙攣剤として臨床応用され, それに関する報告もみられる5~8)。
    しかし, 抗生物質の坐剤は現在までエリスロマイシン坐剤の臨床効果に関して報告があるだけである9)。
    今回, われわれは住友化学工業, 京都薬品工業が開発したAmpicillin (ABPC) 坐剤 (KS-R1) を, 小児の各種感染症に使用する機会を得たので, その結果について報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 久田 直樹, 石本 耕治, 富永 薫 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1959-1972
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児期の尿路感染症に対する化学療法は急性単純性の場合, Escherichia coliが大部分を占めていることから第1選択剤としてPenicillin系はAmpicillin (ABPC), Amoxicillin, Cephem系ではCephalexin, Cefradine, Cefatrizine, Cefaclorなどの経口剤が主に用いられている。しかしながら小児の中でも年少児はこれら尿路感染症に限らず他の細菌感染症でも抗菌剤の服用をきらう例が少なくなく, 注射によらなければならないこともあるが医師及びナースの手をわずらわせ簡便さに欠けることから経口と同等かそれ以上, できれば筋注に匹敵するBioavairabilityを有する抗生物質の坐剤の出現が望まれていた2) ところ, 京都薬品工業株式会社の研究所がABPCの坐剤化に成功し, KS-R1として京都薬品工業株式会社と住友化学工業株式会社が現在共同で開発中である。
    KS-R1はABPCを125mg又は250mg力価含有する2剤型があり, 成人, 小児共にいずれの剤型も速やかに吸収され, 小児の最高血漿中濃度は投与15分後で, 経口の約4倍と高濃度を示し, 個人差はなく, 尿中濃度は経口に比較し高く, 6時間までの回収率も経口と同等かそれ以上で3), 私たちはわずか4例であつたがE.coliによる尿路感染症に対し本剤を投与したところ臨床効果及び細菌学的効果共に良好であつたことを別稿で報告した4)。
    そこで本坐剤が起炎菌によつては小児の尿路感染症に対し有効性が期待できると考え, 今回症例を増し主に尿路由来の細菌に対する薬剤感受性, 臨床効果, 細菌学的効果, 坐剤の排出・排便状況及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 馬場 駿吉, 和田 健二, 欄 哲郎, 村井 兼孝, 木下 治二, 横田 明, 月山 昌夫, 本堂 潤, 羽柴 基之, 福岡 由利子, 河合 ...
    1983 年 36 巻 7 号 p. 1973-1994
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    急性化膿性中耳炎は主としてグラム陽性菌 (Streptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, β-Streptococcus) やインフルエンザ菌 (Haemophilus influenzae) が原因菌となることが多く, その治療 (化学療法) にはペニシリン系あるいはセファロスポリン系の経口抗生剤が第1選択剤として広く汎用されている1)。
    KS-R1は油脂性基剤にアンピシリン (ABPC) を125mg (力価) 又は250mg (力価) 含有する肛門用坐剤で, 経口剤と同等以上更には筋注に匹敵する有効性あるいは安全性を得ることを目的として住友化学, 京都薬品両社で開発された薬剤である。KS-R1についてはすでに小児科領域における基礎的・臨床的検討が進んでおり, 経口に比べて約4倍の血中濃度のPeakが得られ筋注に匹敵するBioavailabilityを有する2) と言われている。
    これらの成績を踏まえ, KS-R 1は急性化膿性中耳炎に対し経口剤に匹敵する効果を期待できるものと考え, 上記9施設において, 経口剤を対照としてWell-controlled method (封筒法) による比較試験を実施したので, その成績を報告する。
  • 1983 年 36 巻 7 号 p. 1995-1996
    発行日: 1983/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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