The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
急性白血病感染症におけるCeftizoxime, Latamoxefの単独投与効果
厚井 文一大本 英次郎遠藤 裕小田 康広藤本 修逸内田 耕三郎高岡 和子原 雅道頼 敏裕高橋 功喜多嶋 康一木村 郁郎
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 36 巻 7 号 p. 1645-1652

詳細
抄録

急性白血病の化学療法中に発症する感染症は発症初期には感染巣並びに起炎菌の同定が困難な場合が多く, 且つ不十分な対応下に敗血症を発症すれば予後不良となり易いため, その化学療法は極めて初期の段階から完全且つ早期の制圧を目的として, 殺菌力の強い抗生剤の投与がなされるべきである。
さて最近相次いで臨床導入されているCephem系抗生物質Ceftizoxime (CZX), Latamoxef (LMOX) は別名第3世代Cephem剤と総称されているとおり1), 諸々のβ-Lactamaseに極めて安定であると共に, 従来のCephalosporin剤に比べ広範囲のグラム陰性桿菌 (GNR) に対しより強力な抗菌力を有している薬剤である1~4)。すなわち急性白血病感染症をはじめとするOpportunistic infectionの増加が問題とされ, 且つ広い範囲の抗生剤に対して低感受性であるGNRの出現が指摘されている現在, 本剤の臨床導入は治療上大きな貢献をなし得るのではないかと期待されている。現在のところ急性白血病感染症を対象とした本剤の臨床的検討はほとんど見当らず, 今回我々はCZX及びLMOXをそれぞれ単剤で投与してその有効性を検討すると共に, 従来当教室で行つて来た諸々の併用療法の成績とも比較検討し, 若干の知見を得たので報告する。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top