1983 年 36 巻 7 号 p. 1882-1887
アンピシリン (ABPC) は1961年ROLINSONら1) によつて開発された合成ペニシリンであるが, その広い抗菌スペクトラムにより小児科領域においても多くの感染症に対して第1選択の抗生剤として広く用いられている2, 3)。現在, 使用されているABPC製剤は注射用及び経口用 (カプセル, ドライシロップ) であるが, 注射用製剤は日常の外来診療の場での一般的使用には適しておらず, 又経口用製剤は悪心, 嘔吐のある患者や服薬を拒絶する患児では使用に困難が伴う場合が少なくない。坐剤はこれらのケースに適した剤型と考えられる。
今回, 新しい基剤を用いた吸収のよいABPC坐剤 (KS-R 1) が住友化学工業 (株), 京都薬品工業 (株) の共同開発により創製されたので, 小児科領域での本剤の有用性について検討を加えた。