1983 年 36 巻 8 号 p. 2098-2102
私たちは, 1981年に女子急性淋疾に対するSpectinomycin (SPCM, Trobicin (R)) とAmpicillin (ABPC) の併用に関する検討を行い, 主に臨床的検討成績について, Jap., J.Antibiotics1) 誌上で報告したが, 本検討では, 頸管分泌物内の淋菌以外の好気性菌, 嫌気性菌の検索, 各種分離菌のSPCM, ABPCに対する感受性 (MIC), そしてSPCMとABPCの試験管内抗菌協力作用について検討を行つた。
検討の結果, 淋菌を検出した20症例の頸管分泌物からは, 好気性菌は, Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus, GBS), 嫌気性菌としては, Peptococcus spp., Peptostreptococcus spp.を高率に検出した。又, 検出した20株のNeisseria gonorrhoeaeのうち, 5株 (25%) は, β-Lactamase産生株だつた。そしてSPCMとABPCの試験管内抗菌協力作用は, 相加的な効果を推察できる結果が得られた。以上の検討成績について報告する。