1983 年 36 巻 9 号 p. 2364-2382
近年抗生物質の中でも特にCephem系薬剤の開発はめざましく, β-Lactamaseに安定で広域抗菌スペクトルを有する薬剤が次々と市販されている。
1976年塩野義製薬研究所で開発されたLatamoxef (LMOX) はCephamycin系構造を持ちながら, 従来のCePhalosporin系構造と異なるOxacephemの骨格を有し, β-Lactamaseに極めて安定1) で, β-Lactamase産生によるPenicillin系, Cephem系薬剤耐生菌にも強い抗菌力を示し2), 1979年の第27回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウムで成人に対する有用性が論じられ3), その後小児科領域でも基礎的, 臨床的検討が行われ, 優れた臨床成績が報告4~11) されている。しかし本邦では新生児, 未熟児に対する検討はなされていないことから, 私たちは本剤を新生児, 未熟児に投与し, 血漿中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定すると共に新生児, 未熟児の各種細菌感染症に投与し, 臨床効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。