The Japanese Journal of Antibiotics
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36 巻, 9 号
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  • 滝本 昌俊, 岡 敏明, 吉岡 一, 土田 晃, 早苗 信隆, 丸山 静男
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2297-2301
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は最近開発されたセフェム系抗生剤の1つであるが, 従来のセフェム系抗生剤に比べて異なるところが多い。β-ラクタム環を構成する元素であるS原子が0原子に置き換つていることも著しい特徴である。その抗菌範囲は広く, 特にグラム陰性桿菌に対する抗菌力はCefazolinやCephalothinなどより強く, β-ラクタマーゼに対する安定性などが優れた点として挙げられる。
    新生児期にはグラム陰性の腸内細菌による敗血症, もしくは化膿性髄膜炎が高頻度に認められるので本剤が特効的な効力を発揮する機会も多いものと考えられる。欧米ではすでに新生児期の細菌感染症特にグラム陰性桿菌による敗血症及び化膿性髄膜炎に対する治療効果についての報告1, 2) がなされている。
    この抗生物質が実際新生児の細菌感染症にどのような効力を持つのか, 又新生児における薬物動態がどのようなものであるかは, 新生児を診療する立場から重要な課題と考えられるので, 16名の新生児を対象として検討を行つた。11名での臨床的検討成績では極めて良い治療成績が得られ, 又5名の新生児及び乳児について得られた薬物動態的成績からこの抗生剤の特徴も若干明らかになつたので, その成績を報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 平間 裕一, 成田 章, 中沢 進一, 近岡 秀次郎
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2302-2311
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は, β-Lactam系抗生剤の中で, Cephalosporinの母核の硫黄原子が酸素原子に置き換えられた, しかもCophamycin系にも属すUniqueな第3世代の抗生物質である。すでに成人1) 及び小児科領域2) の検討は済み, 各種グラム陽性, 陰性菌を含め嫌気性菌にも有効な薬剤と評価され, 現在に至つている1)。
    今回, 我々は周産期研究会として新生児並びに幼若乳児での検討をする機会を得, その体内動態及び臨床検討を加えたのでそれらの成績について報告する。
  • 東條 雅宏, 砂川 慶介, 南里 清一郎, 秋田 博伸, 岩田 敏, 岩崎 由紀夫, 金光 岳文, 佐藤 吉壮, 老川 忠雄, 小佐野 満, ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2312-2321
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児は種々の要因により, 重篤な感染症をおこすことがあり, 抗生物質を投与する機会も少なくない。又, その原因菌も多種多彩であるため, 治療には強力な抗菌力を持ち, 広域な抗菌スペクトラムを持つ安全な抗生物質が必要とされる状況下にある。Latamoxef (LMOX) は, 1976年塩野義研究所において開発された注射用抗生物質で, Oxacephem系に属し, 従来のセファロスポリン系に比べ更に優れた抗菌力を有し, 緑膿菌や嫌気性菌に対しても有効であり, β-Lactamaseに極めて安定であるとされている。以前私共は, 乳幼児を対象にLMOXに関して検討を行い報告したが1), 新生児期は肝腎機能の未熟性をはじめ, 数々の因子が薬剤のPharmacokineticsに影響を与えるため, 乳幼児とは別個に検討する必要がある2)。今回私共は, 主に新生児, 未熟児を対象にLMOXに関して基礎的, 臨床的検討を行つたのでここに報告する。
  • 豊永 義清, 黒須 義宇, 杉田 守正, 北川 道弘, 堀 誠
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2322-2335
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児, 未熟児においては抗生物質の進歩した現在でも, 化膿性髄膜炎, 敗血症と言うような重症感染症に日常しばしば遭遇する。しかし, これらの時期の上記疾患は定型的な症状に乏しく, 未だに死亡率が高いことは諸家1~3) により報告されている。又, この時期の起因菌としては, 大腸菌を中心とするグラム陰性桿菌が優性であることも周知の事実4, 5) である一方, β-Lactamase産生株の増加も今日問題となつており, 従来新生児期において頻用されていたAmpicillin (ABPC) についてはEscherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Haemophilus influenzaeなどに対しては耐性株が多く, 第1選択剤として使用するのは困難であると思われる。これらの背景から, 従来のCephalosporin系薬剤 (CEPs) の利点を有しながら, 近年分離菌が増加しており, しかも従来の薬剤では抗菌力が及ばなかつたSerratia, Enterobacter, Citrobacter及びIndole陽性のProteus等にも優れた抗菌力を示す薬剤の開発が進み, 第5群6) のCEPsが登場してきた。更に, 7-ACAの7α 位をMethoxy基に置換した, Cephamycinの開発を行い, 又, 母核の硫黄原子 (S) を酸素原子 (0) に置き換え, Oxacephem系薬剤であるLatamoxef (LMOX) が開発された。このLMOXの乳幼児以降の小児に対する検討は, すでに, われわれも報告7) しているが, その有用性は, 従来のCEPsと比較すれば, 問題にならない程優れており, 特に, グラム陰性桿菌による重症感染症についての臨床効果並びに体内動態には目を見張るものがある。
    新生児においては, 発育に伴う解剖学的, 生理学的変動が, 薬物の代謝排泄に及ぼすことが大きく, 特に肝機能の未熟性のために, 抗生物質が不活化されず体内を循環し得る場合もあり, 腎機能の未熟性のため代謝が異なる点なども考えねばならないだけに, 薬剤の日令による体内動態の変動を知ることは, 投与設計を決定するには必要である。
    今回, LMOXを周産期研究会の班員として検討する機会を得たので, 生理的変動が著明である生後1週間に注目し, 新生児, 未熟児とも, 生後3日以内, 4~7日, 8日以上の3群に分けて, その体内動態を検討し, 更に一部の症例について髄液移行の解析を行い, 合せて臨床的検討を加えたので, それらの成績について報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 種田 陽一, 溝口 文子, 中村 はるひ, 田内 宣生, 川村 正彦, 尾崎 隆男
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2336-2348
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 従来の合成Penicillin剤やCephem剤に耐性なグラム陰性菌による感染症が小児科領域でも増加傾向にある。こう言つた感染症は, グラム陰性菌との接触の機会が多く, 感染防御能の乏しい未熟児や新生児, 又年長児であつても抵抗性の減弱をきたすような治療を受けているものに発症してくることが多い。従つて, グラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムと優れた抗菌力を有する抗生剤について, 新生児領域での有用性と安全性を検討することは急務であると考える。我々はすでにCefmetazole1), Cefotaxime2) について検討を加えてきたが, 今回はLatamoxef (LMOX) についての基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 高島 俊夫
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2349-2358
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 周産期医学の進歩, 向上, さらに新生児期における抗生物質の体内動態の研究及び感染防御機構に関する知見の集積などにより, 周産期における細菌感染症の発病並びに致命率の低下がみられるようになつた。しかし, 一方では最近の周産期の感染症においても起炎菌の変遷や高度耐性菌の出現などが指摘され, 治療面で新たな問題が生じている。このような現況においては, 新生児, 未熟児の感染症に対し優れた有効性と安全性を持つ抗生物質の検討が必要とされている。
    さて, Latamoxef (LMOX) は塩野義製薬研究所によつて開発されたオキサセフェム系に属する抗生物質で, 従来のセファロスポリン骨格の硫黄原子 (S) が酸素原子 (O) に置換され, 同時にセファマイシン系の構造をも有するもので, 既存のセファロスポリン系あるいはセファマイシン系の抗生物質とは化学構造的に全く異なるものである。このLMOX はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲の抗菌力を持ち, とくにインフルエンザ菌, インドール陽性変形菌, Serratia, Citrobacter, さらに緑膿菌に有効で, またグラム陰性菌の産生するβ-Lactamaseに安定であり, 強い殺菌作用を示す。一方, 一般毒性は従来のセファロスポリン系抗生物質と同程度またはそれ以下である1~3)。
    すでに本邦でも成人領域, 新生児を除く小児科領域で基礎的及び臨床的検討が行われ, 本剤には優れた評価が得られている4)。
    以上のことから, 昭和56年9月LMOX 周産期研究会が設立され, 本剤の新生児, 未熟児に対する基礎的・臨床的検討が行われるようになつた。著者らは研究会員として, 新生児, 未熟児におけるLMOXの基礎的検討並びに臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。
  • 小林 裕, 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2359-2363
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) はβ-Lactamaseに安定で, グラム陰性桿菌に広く強い抗菌力を示し, 家兎黄色ブドウ球菌性髄膜炎における髄液中移行は既存のβ-Lactam剤のうちで最も優れており1, 2), その後小児科領域における臨床的検討の結果, 化膿性髄膜炎に有用であることが示された3)。
    新生児期の重症感染症では, B群溶連菌と並んでEscherichia coli をはじめとするグラム陰性桿菌が多く4, 5), しかも敗血症, 髄膜炎の相互合併率が高い6, 7)。新生児感染症は症状所見に乏しく, 診断が遅れやすいから, 新生児期に適格な抗生剤の1つの資格は, 髄膜炎にも有効であることと言つても過言ではないであろう。本剤はグラム陽性菌に弱く, B群溶連菌に対する抗菌力は6.25μg/ml程度である8) が, グラム陽性菌を他剤で補えれば, 上述の本剤の性格は, 新生児期における使用に適切と考えられたので, 周産期研究会が組織された。われわれもその一員として若干の成績を得たので報告する。
  • 本廣 孝, 田中 耕一, 古賀 達彦, 島田 康, 冨田 尚文, 阪田 保隆, 藤本 保, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄 ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2364-2382
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年抗生物質の中でも特にCephem系薬剤の開発はめざましく, β-Lactamaseに安定で広域抗菌スペクトルを有する薬剤が次々と市販されている。
    1976年塩野義製薬研究所で開発されたLatamoxef (LMOX) はCephamycin系構造を持ちながら, 従来のCePhalosporin系構造と異なるOxacephemの骨格を有し, β-Lactamaseに極めて安定1) で, β-Lactamase産生によるPenicillin系, Cephem系薬剤耐生菌にも強い抗菌力を示し2), 1979年の第27回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウムで成人に対する有用性が論じられ3), その後小児科領域でも基礎的, 臨床的検討が行われ, 優れた臨床成績が報告4~11) されている。しかし本邦では新生児, 未熟児に対する検討はなされていないことから, 私たちは本剤を新生児, 未熟児に投与し, 血漿中濃度, 尿中濃度及び回収率を測定すると共に新生児, 未熟児の各種細菌感染症に投与し, 臨床効果及び副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 由良 二郎, 林 周作, 鶴賀 信篤, 橋本 俊, 村田 行孝, 神谷 保廣
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2383-2390
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は1976年に塩野義製薬株式会社研究所で合成されたOxacephem系の抗生物質で, その化学構造式をFig.1に示す。
    本剤はCephem骨格のS原子を0原子に置換えたOxacephem誘導体で, 各種細菌のβ-Lactamaseに対し安定で, グラム陰性菌には極めて強い抗菌力を示すとされ, 多数の基礎的, 臨床的検討がなされ, その有効性, 安全性については確認されている。しかし, 小児外科領域特に新生児, 未熟児外科においてはまだ十分な検討がなされていない。
    今回, われわれは小児外科的疾患に本剤を使用する機会を得, 以下の基礎的・臨床的検討を行つたので報告する。
  • 石川 睦男, 桜庭 衡, 清水 哲也
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2391-2394
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は塩野義製薬研究所で開発されたOxacephem系に属する抗生物質である。CephalosporinaseあるいはPenicillinaseのいずれのβ-Lactamaseに対して安定であり, 且つ, そのMIC値はβ-Lactamase産生株でも非産生株と同様の値を示した。グラム陽性菌に対しては, 12.5μg/ml以下の濃度で臨床分離菌の90%の株数をカバーする抗菌力を示し, グラム陰性菌のEscherichia coli, Klebsiellaに対しては, Cephalosporin剤より優れた抗菌力を示し, 0.78μg/mlまでの濃度で90%以上のカバー率であつた1)。Serratiaに対しても優れた抗菌力を示し, 12.5μg/ml以下の濃度で80%以上のカバー率であつた1)。又, Pseudomonas aeruginosaに対してはCarbenicillinやSulbenicillinよりも優れた抗菌力を示し, 25μg/mlまでの濃度で75%のカバー率であつた1)。嫌気性菌のBacteroides fragilisに対し優れた抗菌力を示し, 6.25μg/ml以下の濃度で90%以上のカバー率であつた1)。一方, 毒性試験においても一般毒性はもちろんのこと腎毒性も低いことが報告されている1)。
    今回, 本剤の周産期領域での臨床的検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 張 南薫, 鈴木 秀宜, 秋山 敏夫, 河村 栄一, 東郷 実昌, 西本 関男, 日高 輝雄, 福永 完吾, 国井 勝昭
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2395-2404
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は1976年, 塩野義製薬研究所において開発された新しいOxacephem系抗生物質である。本剤は化学構造上特異的で, セファロスポリン骨格の硫黄原子が酸素に置換されている点が最も特異的であり, 又β-Lactam環にMethoxy基を有し, セファマイシン様の構造をも有している。本剤はこの化学構造上の特徴から抗菌力の上で特徴を有し, グラム陽性球菌に対しては他剤よりやや劣るがグラム陰性菌や嫌気性菌に対しては他剤より強い抗菌力を有している。本剤の体内動態は, 筋注, 静注により高い血中濃度が得られ, Cefazolin (CEZ) に類似した血中推移を示し, 尿中, 胆汁中にも高率に排泄される。又, 毒性も低い1)。
    本剤は開発以来, 本邦をはじめ世界各国で多くの検討がなされその価値が認められている7, 8)。
    本邦では, 1979年第27回日本化学療法学会西日本支部総会新薬シンポジウムにおいて本剤の評価成績が報告され1), その有用性が認められ, われわれもこれを報告した2)。
    近年重要視されている周産期医学では, 胎児, 新生児を中心として妊娠末期の母体, 新生児期の諸問題について広く研究が行われているが, この時期における感染症, 化学療法についても重要視され, 研究が盛んに行われている3, 5)。
    LMOXは周産期において選択されるべき抗生物質としての諸条件を備えていると考えられるので, 今回, LMOX周産期研究会が組織され研究が行われた。われわれも上記の観点から研究会に参加し, 以下の知見を得たので報告する。
  • 松田 静治, 柏倉 高, 野島 美知夫, 高瀬 幸子
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2405-2408
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は塩野義製薬研究所で開発された新しい注射用抗生剤であるが, 本剤はグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性桿菌に対しては優れた抗菌力を有し, Escherichia coli, Klebsiella, Proteus groupやEnterobacter, Serratiaなどに抗菌力が強く, 更にPseudomonasaeruginosaやBacteroidesに対しても抗菌活性を示すと言われる。又本剤の吸収性は良く, 体内で代謝を受けず, 尿中及び胆汁中への排泄も良好で且つ低毒性である点が特徴とされている。先に我々はLMOXの臨床的有用性を検討する目的で, 臨床分離菌に対する抗菌力試験と経胎盤移行の基礎的検討を行つたほか産婦人科領域における臨床応用を行い, すでにその成績を報告したが1), 今回はその後の成績を追加する。
  • 二宮 敬宇, 長谷川 幸生, 金本 太珍, 吉元 淑子, 浜谷 恵子, 丹羽 薫子, 西尾 武人
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2409-2422
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX) は塩野義製薬研究所で開発されたOxacephem系注射用抗生物質であり, 本剤の強い抗菌力と広い抗菌スペクトラムについてはすでに高い評価がなされている1, 2)。又, 本剤はすでに広く産婦人科領域及び小児科領域において汎用され, その有効性, 安全性が確認されている3~6)。
    この度, LMOXの周産期妊産婦に対する有効性, 安全性について検討を行い, 以下の知見を得たので報告する。
  • 山元 貴雄, 保田 仁介, 金尾 昌明, 岡田 弘二
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2423-2430
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX, シオマリン) は1976年に我が国で開発された新しい半合成抗生物質である。本剤は化学構造が特異的で, 従来のセファロメポリン骨格の1位の硫黄原子 (S) が酸素原子 (O) に置換されており, 且つ7α 位にMethoxy基を持つことからセファマィシン様構造をも有する。
    本剤はグラム陽性菌に対してはさほど強い抗菌力を示さないが, グラム陰性菌には極めて強い抗菌力を示し, 且つ抗菌スペクトラムも広範囲である。しかも本剤は従来のセフェム系抗生物質が無効であつた変形菌, エンテロバクター, セラチアに対しても強力な抗菌力を発揮し, 緑膿菌に対しても抗菌力を有している1, 2)。又, 本剤は好気性菌由来のβ-Lactamaseに安定であることは周知の事実であるが, 更に嫌気性菌由来のβ-Lactamaseにも極めて安定であることも確認されている3)。
    本剤は投与により高い血中濃度が得られ, 血中半減期も長く, 体内で代謝を受けることなく大部分が未変化体として尿中へ排泄される4)。
    今回, LMOXに関して, 産婦人科周産期領域における有用性並びに安全性を検討する目的で, 本剤の母児間移行性について解析を加えると共に, 臨床例にも検討を行つたので以下にその成績を報告する。
  • 高瀬 善次郎, 河本 義之, 中山 雅人, 三好 敏裕, 藤原 道久, 瀬戸 真理子, 白藤 博子
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2431-2436
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    第3世代Cephem系抗生物質に属するOxacephem系のLatamoxef (LMOX) は広範囲スペクトルを有し, 特にグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を持つている。成人及び小児に対する検討はすでになされており, その有効性, 安全性は高く評価され, 塩野義製薬株式会社からShiomarinとして市販されている。今回, 産科領域の感染症として重要な位置を占める周産期妊産婦における本剤の検討を行い, 若干の成績を得たので報告する。
  • 早崎 源基, 高田 恭宏, 近藤 英明, 伊藤 邦彦, 野田 克已, 飯田 光雄, 陳 超権, 山田 新尚, 大杉 智, 加藤 隆治, 林 ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2437-2449
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Latamoxef (LMOX, Shiomarin) は従来のCephalosporin骨格の硫黄原子 (S) が酸素原子 (0) に置換されたもので, 同時にCephamycin系の構造をも有しているOxacephem系に属する注射用抗生物質である1)。本剤の女性性器感染症に対する有効性と安全性についてはすでに確認されている2~13) が, 周産期感染症の治療においては治療効果と共に胎児あるいは新生児に対する安全性に充分な配慮が必要である。
    我々は前期破水症例にLMOXを使用し, その臨床的効果及び母児に対する安全性を検討すると共にLMOXの母児間移行を薬動力学的に解析, 検討を行つたので報告する。
  • 千村 哲朗, 森崎 伸之, 後藤 正, 井上 公俊, 舟山 達
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2450-2454
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporanic acidの7位にMethoxy基を有する7-Methoxycephalosporineの誘導体は, Cephamycin系抗生物質として注目されてきた。これらの系統としては, すでにCefoxitin (CFX) やCefmetazole (CMZ) が産婦人科領域の感染症に対しても使用され, 特に嫌気性桿菌に対する効果が注目されている。
    Cefotetan (CTT) は上記同様Cephamycin系抗生物質の1つとして開発されたが, 本剤の特徴は従来のCephamycin系抗生物質に比較し抗菌力の増強, β-Lactamaseに対する安定性で優れ, 且つ血中濃度の持続時間が長く, 血中半減期が従来のβ-Lactam系抗生物質の中で最も持続性を有すると言われている1, 2)。
    今回, われわれはCTTの産婦人科領域での各種感染症に対しその臨床効果を検討したのでここに報告したい。
  • 保田 仁介, 山元 貴雄, 伊藤 将史, 本庄 英雄, 岡田 弘二, 金尾 昌明
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2455-2460
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいセファマイシン系抗生物質であるCefotetan (CTT) は従来のセファマイシン系抗生物質に比べ, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有し, 又血清中濃度の持続時間が長く, ヒトに静注した時の半減期が約3時間と従来のβ-Lactam系抗生物質に比べ持続的であることなどがすでに報告されている1, 2)。
    今回, CTTに関して, 産婦人科領域での有用性を検討する目的で, 本剤の性器組織への移行性を調べると共に, 臨床例につき検討を行つたので, その成績を報告する。
  • 小幡 功, 今川 信行, 落合 和彦, 小池 清彦, 蜂屋 祥一
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2461-2473
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    A new cephamycin antibiotic, cefotetan, was administered intramuscularly to 45 patients with female genital infections including 2 cases with abscess of BARTHOLINGSL and, 14 cases with endometritis, 23 cases with adnexitis and 6 cases with pelvic peritonitis.
    The daily doses of the drug were 1 to 3 g, with 2 g daily being the most frequent regimen. The treatment was given twice daily in most patients.
    All cases responded to the drug, and marked response was seen in 22 cases and moderate response in 23.
    The eradication rate for causative organisms was 64.3%.
    In 16 cases of S. faecalis, it was rather low at 37.5%.
    Neither side effects nor abnormalities in clinical laboratory findings attributable to the drug were seen.
  • 高瀬 善次郎, 藤原 道久, 河本 義之, 瀬戸 真理子, 白藤 博子, 清水 哲也, 山田 隆一, 真木 正博, 小川 英弐, 千村 哲朗 ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2474-2493
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefotetan (CTT) は, 山之内製薬中央研究所において開発された新しいCephamycin系抗生物質であり, Fig.1に示す化学構造を有する。
    本剤の細菌学的な特徴としてはβ-Lactamaseに対し極めて安定なことで, 特に従来のCephamycin系抗生物質に比べ, インドール陽性Proteus, Citrobacter, Enterobacter, Serratia 等のグラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有することである。又, 体内動態では血中濃度が長時間持続し, ヒトに静注した場合の血中半減期が約3時間と, 従来のCephem系抗生物質の中で最も持続的であることを特徴としている1~3)。
    本剤の基礎的臨床的成績については, 昭和55年12月の第28回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウムにおいて評価された1)。今回, われわれは, 本剤の婦人性器感染症に対する有用性を検討することを目的として, 全国的規模の研究会を組織し, 基礎的, 臨床的研究を行つたのでその成績を報告する。
  • 小田 恂, 二木 隆
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2494-2496
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近の抗菌化学療法は, 従来の抗生物質よりも優れた抗菌力を持つ新しい誘導体の開発によつてめざましく進歩発展してきている。
    しかしながら, 依然として緑膿菌や大腸菌などのグラム陰性桿菌の感染症の治療に対しては, しばしば困難を感じているのが臨床医学の現状であり, 殊に外科領域における院内感染症は年々増加の傾向をたどり, このことは, 私達の耳鼻咽喉科領域においても例外ではない。
    今回, 私達は抗緑膿菌作用を持つ初めての注射用合成セファロスポリン製剤であるCefsulodin (CFS) を使用する機会を得たので報告する。
  • 飯野 ゆき子, 小林 俊光, 河本 和友
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2497-2501
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質であるCefadroxil (CDX, 商品名セドラール) は, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に広い抗菌スペクトルを有し, その抗菌力は従来のCephalexin (CEX) に比較し, グラム陰性菌群ではほぼ同等であるが, Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae等のグラム陽性菌群に対しては, 2~4倍を示し1), 又他経口用セフェム系抗生物質CEX, Cefaclor, Cefroxadineに比べ生物学的半減期は1.5~2倍で, 長時間血中に持続することが報告されている2)。
    今回われわれは, このCDXを耳鼻咽喉科感染症の治療に使用し, その臨床効果と副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 金子 晴生, 間崎 民夫, 山口 了三, 高橋 信夫, 梅田 正法, 白井 達男
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2502-2514
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器腫瘍・再生不良性貧血等の血液疾患では, その病態での免疫不全柵) 更に抗腫瘍剤やステロイド剤などによる治療の影響から感染症合併はほぼ必発と言つてよく, 予後不良の主要因となつている。
    これら宿主側要因よりグラム陰性菌による感染が大半を占めており2, 9), この原因菌に対する感染対策が必要となつている。
    われわれは従来のセファロスポリン系抗生物質が無効あるいは作用の弱いグラム陰性菌に対しても抗菌力を有するCefbtaxime (CTX, クラフォラン) の血液疾患に併発した感染症に対する治療効果について検討した。
  • 阿部 伸夫, 桜井 健司
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2515-2520
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) はスイスチバガイギー社にて合成された新経ロセフェム系抗生物質で, その構造式は図1に示すとおりである。
    CXDはグラム陽性菌, グラム陰性菌に広い抗菌力を有し, Cephalexin (CEX) に比べ殺菌力が強いと報告されている。又経口投与により速やかに高い血中濃度が得られ, 活性のまま主として尿中に排泄される1~3)。
    CXDに関する各科領域での臨床試験により, 気管支炎4), 扁桃腺炎5), 膀胱炎6), 急性皮膚感染症7) などに対する高い有用性が報告されている。今回我我はCXDカプセルを外科領域の浅在性化膿性疾患に対し臨床試用をする機会を得たので以下にその結果を報告する。
  • 相川 隆夫, 野口 貞夫, 藤本 直樹, 水嶋 肇, 柴田 信博, 冨田 尚裕, 堀井 明
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2521-2528
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) はCiba-Geigy社で新しく開発された経ロセファロスポリン系抗生剤で, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に抗菌力を有し, 広域スペクトラムを示し, その抗菌力はCephalexin (CEX) より強く, 短時間で強い溶菌作用をあらわすと言われている1, 2)。本剤はカプセル剤として経口投与されるが, その吸収は食物摂取による影響が少なく, 生体内ではほとんど代謝されることなく, 活性のまま主として尿中に排泄される3, 4)。
    今回, われわれは外科領域, 特に創傷感染を中心に31症例に投与し, その臨床効果, 細菌学的効果, 副作用などを検討し若干の知見を得たので報告する。
  • 高田 直樹, 山田 毅, 窪田 剛, 金子 正
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2529-2534
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD)(Fig.1) は, スイス・チバガイギー社で開発された経ロセファロスポリン系抗生物質で, 3位にメトキシ基を導入することによつて従来の同系抗生物質より, グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対し広域で且つ優れた抗菌力を示し, 又高い安全性を有するとされている1~3)。
    今回, CXDの外科領域感染症, 特に表在性軟部組織感染症に対する臨床的及び創滲出液移行性の検討を行つたので報告する。
  • 張 南薫, 荒木 日出之助, 石川 禎三, 国井 勝昭, 福永 完吾, 出口 浩一
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2535-2548
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, 種々のCephalosporin系抗生剤が開発され, 臨床に供せられているが, 経口投与可能な薬剤はCefadroxil, Cefaclorなど数種を数えるにすぎない。この中でCefroxadine (CXD) は殺菌力に優れ, 吸収に食事の影響を受けないことなどが特長とされている1~7)。
    我々はすでにCXDの抗菌力及び血中濃度, 臍帯血, 羊水中移行などの基礎的検討と共に膀胱炎, 乳腺炎などを含めた産婦人科感染症に対する臨床的検討を行い, 本剤の産婦人科領域の有用性について報告した。
    今回, 我々はCXDの子宮組織への移行性の検討並びに主として子宮内感染症を対象として臨床検討を行つたので以下報告する。
  • 内田 智, 林 博昭, 富永 衛, 高野 和章, 松永 雅雄, 工藤 誠二, 川村 良
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2549-2555
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, Penicillin系, Cephalosporin系抗生物質を初めとして, 種々の抗生物質が開発されてきている。しかしながら, 経口投与されるCephalosporin系抗生物質は少なく, Cefroxadine (CXD) はこの中の1つである。この構造式をFig.1に示した。
    本剤の抗菌スペクトラムはブドウ球菌属などのグラム陽性菌並びにインフルエンザ菌, 大腸菌, クレブシエラ属などのグラム陰性菌に対して幅広く, その抗菌力は他の経口Cephalosporin系抗生物質のCephalexin (CEX) やCePhradineよりやや優れ, 特に殺菌力が強く, 又吸収に食事の影響を受けず, 速やかに高い血中濃度が得られると言われている1)。CXDは各科領域でその有用性が認められ, 産婦人科領域においてもすでに種々の検討がなされている2~5)。
    今回, 我々は主として内性器感染症を対象としてCXDの臨床的価値を検討し, 若干の知見を得たのでここに報告する。
  • 岡田 直樹, 杉本 幸美, 須野 成夫, 鹿戸 陽一
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2556-2561
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) はスイスCiba-Geigy社において開発された経口用セファロスポリン系抗生物質である1)。CXDの化学構造はFig.1に示すとおりCepbalexin (CEX) に類似しており, 抗菌スペクトラムもCEXと同様にグラム陽性菌, 陰性菌に対して抗菌力を有する2, 3)。しかしながら, CXDの抗菌作用の特徴は殺菌力にあり, その殺菌及び溶菌作用がCEXと比較して強いと報告されている4)。
    産婦人科領域における経口用セファロスポリンとしてはCEXが広く繁用されているが, 今回これに比べ, 上述の特徴を有するCXDの臨床的検討を行う機会を得たのでその成績について報告する。
  • 本森 良治, 高橋 英博, 山本 穣一, 山崎 史行
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2562-2570
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Ceffoxadine (CXD) は, 1972年スイス・チバガイギー社において開発された新しい経ロセファロスポリン剤で, 化学的には, 7β-[D-2-Amino-2-(1, 4-cyclohexadienyl)-acetamido]-3-methoxy-ceph-3-em-4-carboxylic acidである (Fig.1)。本剤は, グラム陽性及び陰性菌に抗菌力を有し, そのED50値はCephalexin (CEX) より低く, 経口投与後, 速やかに吸収され食事の影響を受けないなどの特長があること, 又安全性も高いことが認められており1~3), すでに各科領域で使用されている。
    又, 本剤の産婦人科領域での高瀬ら4), 松田ら5), 張ら6), 青河ら7), の基礎的, 臨床的検討で, 中等症ないし軽症感染に対し有用で安全性の高い経口セファロスポリン剤であるとの評価がなされている。
    今回, われわれわれは, CXDの有用性を検討する目的で, 産婦人科感染症に対する臨床的効果, 細菌学的効果と副作用について検討したので, その成績を報告する。
  • 守殿 貞夫, 原田 益善, 石神 襄次, 高崎 登, 宮崎 重, 古澤 太郎, 水之江 義充, 伊東 健治, 百瀬 俊郎, 中牟田 誠一, ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2571-2594
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD), 7β-[D-2-Amino-2-(1, 4-cyclohexadienyl)-acetamide]-3-methoxy-ceph-3-em-4-carboxylic acidはスイスCiba Geigy社で開発された経口用セフェム系抗生物質である1)。Cephalexin (CEX) との化学構造上の大きな違いはFig.1のとおりCEXの3位のCH3基がOCH3基に置換されている。抗菌スペクトラムはCEXと同様にグラム陽性菌及び, PseudomonasSerratia属等を除くグラム陰性菌に抗菌活性を示し, CEXと比較しCXDは殺菌作用の発現が速く, 且つ強い点が特徴と言われている2)。
    本剤は経口投与により, 消化管から速やかに且つ良好に吸収され, CEXとほぼ同様の血中濃度が得られ, 体内で代謝されることなく尿中に排泄される3)。
    著者らはこのような特徴を持つCXDを尿路感染症に用いその有用性を報告した4, 5)。
    複雑性尿路感染症は尿路系に基礎疾患を有するため, その治療成績には背景因子の影響が想定される。すなわち, 本症を対象とした場合の薬剤の評価はその病態の違いにより著名な差が観察される。例えばUTI薬効評価基準において疾患病態群別分類のカテーテル留置症例の第1群及び第5群における薬剤の治療効果は一般に低い。セフェム系経口剤にあつてはこれら疾患群に対する評価が高くないため, これらを対象疾患とすることは不適当と考えられた。従つて, 対象を後述のような疾患に限定し, 本剤の複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置症例) に対する有効性, 安全性及び有用性をCEXを対照薬剤とした群間比較による二重盲検比較試験を行い, 客観的に評価したのでその成績を報告する。
  • 馬場 駿吉, 村井 兼孝, 木下 治二, 河合 岩, 小山 賢吾, 月山 昌夫, 丸尾 猛, 和田 健二, 稲垣 光昭, 松下 隆, 玄 利 ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2595-2634
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) はCiba-Geigy社のR.SCARTAZZINIらによつて合成された経口用新セフェム系抗生物質である1)。本剤はGram陽性菌, Gram陰性菌に幅広く抗菌Spectrumを有し, 作用は殺菌的である。又, 経口投与により速やかに吸収され高い血中濃度が得られ排泄も比較的速やかで, 大半が尿中へ排泄される。臨床的には, 呼吸器科2), 皮膚科3), 泌尿器科4) 等の各科領域でその有効性と安全性が確立され広く使用されつつある。本剤の基礎的特性から見て, 耳鼻咽喉科領域においても十分な有用性が期待され, すでに発表された2, 3の報告5~7)からも扁桃炎, 化膿性中耳炎等に有用性が示唆されている。
    今回我々はこのうち化膿性中耳炎に対する本剤の有効性と安全性を客観的に評価する目的で, すでに中耳炎に適応の認められているCephalexin (CEX) を比較対照薬とした二重盲検比較対照試験を実施したので, その結果について報告したい。
  • 大石 正夫, 永井 重夫, 西塚 憲次, 田中 令子, 高木 久美子, 原 二郎, 田中 康夫, 市橋 賢治, 広瀬 安代, 明石 信子, ...
    1983 年 36 巻 9 号 p. 2635-2650
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefroxadine (CXD) は, スイスCiba-Geigy社で合成された経口用のセフェム系抗生剤である。
    本剤はブドウ球菌属などのグラム陽性菌及びインフルエンザ菌, 大腸菌, クレブシェラ属などのグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを有し, Cephalexin (CEX) より強い殺菌, 溶菌作用を示す。感染動物の治療実験でCEXより優れていることが認められている1)。
    本剤の臨床的評価については国内外において検討され, 本邦では第27回日本化学療法学会において新薬シンポジウム2) でとりあげられ, その有用性, 安全性が確かめられている。
    眼科領域においては大石らの基礎的, 臨床的検討の報告がある3)。
    今回, CXDカプセル並びにドライシロップについて, 眼科感染症に対する有効性と安全性を検討することを目的として, 本研究を行つたものである。
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