The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科周産期領域におけるLatamoxefの基礎的・臨床的研究
山元 貴雄保田 仁介金尾 昌明岡田 弘二
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1983 年 36 巻 9 号 p. 2423-2430

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抄録

Latamoxef (LMOX, シオマリン) は1976年に我が国で開発された新しい半合成抗生物質である。本剤は化学構造が特異的で, 従来のセファロメポリン骨格の1位の硫黄原子 (S) が酸素原子 (O) に置換されており, 且つ7α 位にMethoxy基を持つことからセファマィシン様構造をも有する。
本剤はグラム陽性菌に対してはさほど強い抗菌力を示さないが, グラム陰性菌には極めて強い抗菌力を示し, 且つ抗菌スペクトラムも広範囲である。しかも本剤は従来のセフェム系抗生物質が無効であつた変形菌, エンテロバクター, セラチアに対しても強力な抗菌力を発揮し, 緑膿菌に対しても抗菌力を有している1, 2)。又, 本剤は好気性菌由来のβ-Lactamaseに安定であることは周知の事実であるが, 更に嫌気性菌由来のβ-Lactamaseにも極めて安定であることも確認されている3)。
本剤は投与により高い血中濃度が得られ, 血中半減期も長く, 体内で代謝を受けることなく大部分が未変化体として尿中へ排泄される4)。
今回, LMOXに関して, 産婦人科周産期領域における有用性並びに安全性を検討する目的で, 本剤の母児間移行性について解析を加えると共に, 臨床例にも検討を行つたので以下にその成績を報告する。

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