The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftriaxoneの臨床的検討
南谷 幹夫八森 啓金田 一孝
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1984 年 37 巻 12 号 p. 2283-2297

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抄録

Ceftriaxone(Ro 13-9904, CTRX)はスイスのF. Hoffmam-La Roche社で開発されたCephalosporin系の注射用新抗生物質で, Fig.1に示す化学構造式, 分子式, 分子量を有する。本剤の特徴は3位側鎖に新規のトリアジン環を持つことで, 抗菌スペクトラムは広領域であり, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniaeはもとより, Proteus mirabilis, Serratia marcescens, Haemophilus influenzaeなどに対して強い抗菌力を認めており, 更にin vitroにおける効果よりin vivoにおける効果が優れているとされる1~8)。本剤の臨床薬理学的特徴として静注あるいは点滴静注により高い血中濃度が得られるばかりでなく, その生物学的半減期は成人において7~8時間とされ, 従来のCephalosporin系抗生物質のなかでは最も長い点が注目される9~11)。そして体内ではほとんど代謝を受けることなく,注射後48時間までに約60%が尿中に排泄される。
欧米諸国では, 本剤の基礎的及び臨床的検討が進められ, すでに多くの臨床成績が集積されており, スイスでは1982年春から一般に使用されている。わが国でも細菌学的検討, 臨床薬理学的試験, 毒性試験, 一般薬理試験などの基礎的検討の後, 臨床試験が行われ, 1981年9月から1年間にわたり全国規模のもとに成人領域における臨床研究が続けられた。
本剤は1,177例に使用され, 評価に耐える全臨床領域1,067例での有効率は78%であり, 副作用解析対象1,154例における副作用発現率は3.7%であつたと発表12)されている。
私達は小児科領域における中等症以上の急性感染症に対し本剤を使用する機会を得たので, その成績を報告する。

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