1984 年 37 巻 3 号 p. 309-317
整形外科領域において, 一般的な感染症の予防は勿論のこと, 特に人工関節全置換手術とか脊椎外科手術の術中, 術後感染防止のためには細心の注意が払われている。一方最近においては, 新しい広範囲抗菌スペクトラムの抗生物質も次々と開発されており, 薬効も著しく向上して来ている。
私たちはこれら抗生物質のうち, セフェム系抗生剤であるCefotiam (Pansporin®, 以下CTMと略す) 及びCefmenoxime (Bestcall®, 以下CMXと略す) が, 実際手術中その術野の骨組織及び骨髄血にどの程度の濃度で移行存在しているかについて調査検討したので, 若干の考察を加え報告する。