The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftazidimeの臨床使用成績
南谷 幹夫八森 啓金田 一孝
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1984 年 37 巻 3 号 p. 377-388

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抄録

Ceftazidime (CAZ) は, 英国グラクソ社で開発されたCephalosporin系の新抗生物質で, Fig.1に示すように, 7位側鎖にAminothiazolylcarboxypropyloxyimino基, 3位側鎖にPyridineを持つている。本剤の特徴としてグラム陽性菌及び陰性菌に対し幅広い抗歯スペクトラムを有し, 特にSerratia, Pseudomonas aerugimsa, ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌に対して強い抗菌作用を示すが, グラム陽性菌に対する抗菌力はやや弱い1, 2, 3)。又各種細菌が産生するβ-Lactamaseに対して極めて安定であり4, 5), 各種細菌に対する抗菌力が他剤に比べ平均しており, in vitroの抗菌力を反映して優れた感染防御効果を認めている6, 7)。本剤は, 一般毒性試験, 腎毒性試験, 生殖試験, 抗原性試験及び一般薬理試験などの動物実験を検討したところ, 安全性が高く, 腎毒性もCephalothin (CET) とほぼ同程度とされている3)。
本剤を成人に静脈内投与すると, 高い血中濃度が得られ, その半減期は90~100分で, 代謝を受けることはなく大部分が尿中に排泄される8)。
欧米における本剤の臨床使用成績に次いで, わが国では成人領域における臨床研究が昭和56年7月から全国的規模のもとに約1年間にわたつて行われ, 1,300例以上に使用された。そのうち効果判定評価に耐える1,206例での有効率は78%であり, 副作用解析対象1,312例における副作用発現率は2,2%であつたと言う8)。
私達は小児科領域における中等度以上の感染症に対しCAZを使用する機会を得たので, その成績を報告する。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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