The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefoperazoneの脳室内髄液移行に関する検討
水頭症に対するDouble dose
加川 瑞夫森 伸彦朝日 茂樹田鹿 安彦
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1985 年 38 巻 1 号 p. 121-127

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抄録

脳神経外科の術後管理では, 頭蓋内感染の予防が最優先されなければならない。急性期の脳血管障害患者が, 持続脳室ドレナージや, 脳槽ドレナージの術後設置により救命される一方で1, 2), 無菌的手術にもかかわらず, 髄膜炎や, 脳室炎などの感染機会が増加していることも事実である3)。このため多くの場合, 術直後から優れた抗菌力を有し, 副作用が少なく, しかも脳組織や髄液内への移行が良好な抗生物質を選択し, 予想される起炎菌のMICも考慮した上で, 適当量を予防的に投与することが肝要である。
Cefoperazone (Cefoperazine®, 略号CPZ) は本邦で開発された代表的なCePhem系の抗生物質の1つで, グラム陽性菌, グラム陰性菌に対してBroad spectrumを有し, これまでCephalosporin系の抗生物質では無効とされたPesudomonas aerudinosaSerratia marcescensにも強い抗菌力を示す4, 5)。又, 比較的高い血中濃度が長時間持続することも特徴の1つである4)。今回, 著者らは小脳出血や脳出血の脳室穿破で急性水頭症をきたし, 持続脳室ドレナージを設置した患者を中心に, 頭蓋内感染予防にCPZ4gを投与し, その血中濃度と脳室内髄液移行を経時的に測定したので報告する。

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