The Japanese Journal of Antibiotics
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Cisplatinの腎毒性に対するFosfomycinの予防効果
早坂 弘康佐々木 斉暮部 勝三田 美智子新里 鉄太郎
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1985 年 38 巻 1 号 p. 62-68

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抄録

Cisplatin (cis-Diamminedichloroplatinum) はRNAや蛋白の生合成に影響しない用量で特異的にDNA合成を阻害し抗腫瘍効果を引起すと示唆され1), 抗腫瘍効果は実験動物1, 2) だけでなく臨床3~8) でも明らかにされている。しかしながらCisplatinには消化管障害, 造血障害, 腎障害及び聴覚器障害等の副作用9~13) があるために, 臨床投薬量が制約される。特にCisplatinの腎毒性は低い用量で起るために臨床上重要な問題である14, 15)。DOBYAN等はCisplatinが近位尿細管で有機酸の分泌排泄機構によつて能動的に輸送されることを示唆し16), 又, Cisplatinによる腎尿細管上皮細胞の壊死15~17) は細胞内にPlatinumが長時間貯留するためと考えている18)。更に多数の研究者は尿のCisplatin濃度と腎障害との相関性を示唆している19~24)。
一方Fosfomycin (FOM) は静脈内投与後そのままで腎から速やかに排泄され25), アミノ配糖体抗生物質の腎毒性を軽減すると報告されている26~28) ことから, 本研究ではCisplatinの毒性, 特に腎毒性に対するFOMの影響について検討し, 二三の知見を得たので報告する。

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