The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCeftizoxime坐剤の基礎的, 臨床的検討
溝口 文子中村 はるひ片山 道弘柴田 元博岩井 直一種田 陽一
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1985 年 38 巻 10 号 p. 2903-2916

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抄録

Ceftizoxime坐剤 (CZX-S) は, 藤沢薬品工業 (株) と京都薬品工業 (株) との共同で開発されたCeftizoxime (CZX) 含有の坐剤である1)。
従来から, 感染症の治療に際しては, 疾患の種類, 重症度, 患者側の種々の要因により主として経口剤あるいは注射剤が選択され, 坐剤による治療はまれであつた。この理由としては, 直腸内投与によつて確実に吸収され, しかも刺激性が少なく, 幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を有する抗生物質坐剤の開発がなされていないことによると考えられる。ところで, 日常の診療では, 静注の困難な症例や, 悪心, 嘔吐あるいは服用忌避等のために経口剤の服用が困難な症例にしばしば遭遇する。
本剤は, 基剤の中にカプリン酸ナトリウムを加えることにより, CZXの吸収を良くし, しかも刺激性が少なく, 排出を少なくすることに成功した坐剤である1)。CZXは, 周知のようにグラム陽性菌並びに陰性菌に幅広い抗菌スペクトラムを有し, 特にグラム陰性菌に対する抗菌力は優れており, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Haemophilus influenzaeに対してはもちろん, Indole陽性Proteus, Serratia, Enterobacterr, Citrobacter, Bacteroides fragilis等にも優れているのが特徴である2)。従つて, 本剤は, CZXが適応となるような症例で, 種々の理由で内服できない場合や, 静注が困難な場合には極めて有用であり, 期待されるところが大きいと考えられる。
今回, 我々は小児科領域における本剤の吸収, 排泄について検討すると共に, 臨床的検討を行つたので, その成績を報告する。なお, 試験期間は昭和57年12月から昭和59年2月までの15ヵ月間である。

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