The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるAztreonamの基礎的並びに臨床的検討
田吹 和雄高木 道生西村 忠史高島 俊夫
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1985 年 38 巻 11 号 p. 3300-3306

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抄録

近年, 種々のOpportunistic pathogenによる感染症の難治化に伴い, その打開のため抗生物質の開発はめざましいものがある。特に最近の感染症起炎菌の動向からみて, 化学療法で主に使用される薬剤はβ-Lactam系抗生物質であり中でもCephem系抗生物質の使用頻度が高い。
今度, 米国スクイブ社で開発されたAztreonam (AZT) はMonobactam系 (単環β-Lactam) 抗生物質で, 全化学合成品であり, その化学構造式はFig. 1に示すとおりである。
本剤は, 特にPseudomonas aeruginosaを含むグラム陰性桿菌及び球菌に対し強い抗菌力を示すと共に, グラム陰性菌が産生する各種β-Lactamase, Dehydropeptidaseに対して極めて安定であるという特徴を有している。しかしグラム陽性菌には抗菌活性が極あて弱い1, 2, 4)。マウスの実験感染においてはin vitroの抗菌活性を上回る効果が認められている。又, 本剤は静注, 点滴静注, 筋注により高い血中濃度が得られ, 体内でほとんど代謝を受けずに未変化体のままで尿中に24時間までに約60~70%排泄される1, 3)。
すでに本邦ではAZTに関する基礎的及び成人領域における臨床検討が行われ, 第30回日本化学療法学会東日本支部総会において, 本剤の評価が行われた3)。今回著者らは, そこで得られた本剤の有効性と安全性の成績に基づき, 小児におけるAZTの基礎的, 臨床的検討を行つたので, その成績について述べる。

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